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64  恋する高校生たち

常盤くんときのぴいが、両想いになった!


すっかり彼氏モードな常盤武将は、傾国の美女きのぴいを自分の脚の間に斜めに座らせて大事そうに抱えながら美女の涙を指で拭ってる。

素敵だ…。ラノベの素敵なツーショット絵表紙みたいだ。

表紙の絵が素晴らしいと読み手のテンションは更に上がる。あー写真撮りたい。



「美久子。はい、あーん。」

「……。あーん。」


そんな私は、きのぴい恋愛成就感動タイムの後、流青くんの膝の上に横抱き抱っこされて、靴もいつの間にか脱がされて、流青くんが追加オーダーしたローストビーフ丼を流青くんに食べさせられている。

みんなニヤニヤ見てるけど、もう諦めた。

食べないと流青くんはいつもは芸術的なキリッとしたまゆ毛をふにゃり下げて、とても悲しそうな顔で私を見るという大変卑劣な手口を使ってくる。

めちゃくちゃ可愛いじゃないか。卑怯者め。



ああっ!きのぴいも、あーんされてるー!

ほっぺもお耳も真っ赤になって…なんて可愛らしいんだ、美女。

そりゃこんな可愛い顔されちゃ、鬼武将のイケメンゴツ顔も溶けたお顔になるよねー。ツンデレデレ多めだな。



八木王子も七海にあーんを頼んでる!

『ごめーん!今私、ちょっと忙しいのー』って断られた!

今忙しいって!言い訳が雑だよ七海さん。王子、自分で食べた。残念!





「美久子。」

「ん?(モグモグ)」

「俺にも食べさせて。」

「!?」

「ほら。」


まじかー。みんな見てるー。


「…。はい。あーん…」

「あーん。…美味しいな。もっとしてくれ。」

「!?」


結局、最後までがんばりました。拷問。




完璧ラブラブモードな武将と傾国の美女カップルと、王子様と黒髪美少女公爵令嬢系カップルの写真がどうしても欲しくて。

そしてやっぱり流青くんとの写真が心底欲しくて、私は勇気を出してお願いをした。



「…流青くん。」

「どうした?」

「わ、私ね、二人の写真が欲しいな。わがままだけど今、撮ってもらっていいかな。」

「…っ!なんて可愛いわがままだ。もちろんだ。健二、撮ってくれ。」

「ああ。次は俺達も撮ってくれ。」

「えー!いいなー。俺と七海ちゃんも撮ってよ!」


その後は全員で写真撮影大会になって、ここぞとばかりに美久子は美形達の写真を撮りまくった。

それはもう、グラビア写真界の某巨匠カメラマン級に撮りまくった。

店員さんにお願いして全員でも撮ってもらったり、きのぴいや七海に流青くんとの二人の写真もたくさん撮ってもらった。涙出そう、うれしい。


その間に、こそっと流青くん一人の写真も撮った。

横顔で本当に楽しそうに笑っている。

この写真は私のひみつの宝物だ。



「ほんと、楽しかったねー!」

「ほんとに!まさか今日、健二とこうなるなんて思わなかったわ。恥ずかし過ぎるー!」

「あはは!でも、ああいう究極に追い詰められた時しか、きのぴい覚悟出来なかったと思うよー!多分常盤くんはその辺分かってて告白したと思うんだ。やっぱり若き武将は策士だね!」

「…やられたわね、私。」

「ふふっ!両想い、よかったね!」

「…うん。よかった。ありがとう。」


「それにしても、乾くんのデレっぷりは凄かったわね。あんな乾くん初めて見たわ。」

「ほんと!いつも飄々としてて何でも冷静にこなしてー。

なんか出来過ぎだアンドロイドみたいな感じだったもんね。

だから、美久といるときの乾くんは今までとはぜーんぜん違う!やっと人になった!」

「あはは!本当よね。乾くんは美久だけが異常に大好きなのがよーく分かったわ!

…もうすぐ、ちょっとややこしいのが帰ってくるけど、美久は思いっ切り愛されてるんだから堂々と乾くんの彼女してたらいいんだからね!ややこしいのの説明は後でするから、そんな気にしないで!」

「そうだよ!あれだけ溺愛されてたら全く心配しなくておっけー!あー、うらやましいなあ、ふたりとも。私も恋愛したいなあ」

「次は七海だ!七海はどーなのよ!?」

「えー?あはは!」

「恵!帰るぞ。」

「美久子。送るから。」

「七海ちゃーん!お家まで送るねー」



それぞれの男子に女子達は捕獲された。

道路にハザードランプを点けた車が3台停まっていた。

1台は美久子がここ連日お世話になっている、平松さん運転の黒い車だ。見覚えが有り過ぎる。


「じゃ、みんな、おやすみなさい!」

「おやすみなさい!また月曜日ね!」

「ばいばーい!おやすみなさーい!」


七海の鞄を持ってあげてる八木くん、やっぱり王子様だ。すごい!リアルエスコートだ!


常盤くんが、きのぴいと手を繋いだその手を上げてバイバイって振ってる!

きゃー!武将-!美女の手を掴みながらのその姿、なんか砕けた感じが良い!




「美久子。」

「はっ!はい…。」

「今日はちょっと、俺以外を見過ぎだな。」

「へっ!?」

「わがまま美久子には、お仕置きをしないとな。」

「おっ、お仕置き!?」

「ふふっ。」



美久子は家までの道中、車の中でお決まりの膝の上横抱き抱っこをされ、顔中にちゅうをされ、ヘロヘロになって帰った。

平松は見て見ぬふりをしながら、今日も仲良くてよかったとほっとしていた。


その頃、美久子父は接待中で三軒目のスナックに行っており、流青は今夜も敵とは出会わなかった。




その日の深夜、きのぴいが長いRINEを送ってくれた。

実は気になって仕方がなかった、百合奈の事を知った。

内容を知って、内心焦る。

嫌な予感は的中するものだ。





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