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40  流青の怒り ◇

「で、何だ。俺はこの部屋にあまり入りたくない。」


「いいんだよ。親父から流青と湊人には社会勉強になるから入れとけって言われてる。」


「社会勉強…。」


何だか納得いかないが。



「いいから。とりあえず、流青。これを見ろ。」


健二に示された画面を見る。

そこには驚くべきものが写っていた。



「何だこれはっ!健二!これは今の映像かっ!?」

「違う。お前にRINEを送った5分前だ。」


画面には、校舎の横で宇佐美 美久子と女子生徒3人が映っていた。


3人が彼女を取り囲み、どう見ても詰っている様にしか見えない。


「健二、もっと音声ボリュームを上げてくれ!」


健二がボリュームを上げると、3人は彼女に対して、調子に乗るな、流青と話すな等々酷く理不尽な暴言を吐いていた。


健二が映像を更にズームにする。


彼女は泣きそうな顔で俯いていた。


流青は怒りで目の前が真っ赤になった。


「…おい、流青。お前、今すごい顔してるぞ。」

「こわっ!流ちゃん、悪鬼みたいな顔だよ。流ちゃんのそんな顔、初めて見た…。」


流青は憤怒の形相で映像を見続ける。

途中で彼女の友人の木下恵が割って入ってきた。

木下の事は幼稚園から知っている。

正義感のある姉御気質で、昔から流青や健二に対して対等に話してくる希少な女子だ。

湊人のことは下に見ていて、湊人はずっと根に持っている。


木下が間に入って、3人の女子は走って逃げて行った。


彼女が怪我などしていないようで安心したが、流青の怒りは収まらず、目を細めて奥歯を噛み締めながら、逃げた3人の顔をもう一度思い返した。


「健二。」

「わかってる。3人とも全員確認済だ。気になるのがCクラスの大島。あいつは小学生の時からお前にずっと懸想してるからな。今回は俺に任せろ。とりあえず流青は何もするな。お前はキレると何を仕出かすかわからん。」

「そうそう。流ちゃん、アノ3人の女の子のことは俺にも任せてねー!」

「…二人とも、悪い。頼む。」


流青はドサッとなおざりに椅子に座った。


「しかし…お前、バレバレだぞ。」

「…?」

「流青、バスケで手首捻ったあの頃から。お前、宇佐美さんのこと」

「そー!そー!すっごい目でめっちゃ見てるよね!美形があの目で見ると、マジでやばいから!流ちゃんはうさみみちゃん好」


ゴンッ!!!


「痛ってー!!!流ちゃんっ!何すんだよ!頭痛ってーよ!!」

「うさみみちゃん言うな。」

「はあっ!?何で流青に止められるの!?別に良いじゃん、うさみみちゃん、呼び方可愛」


ドゴッ!!!!


「いっ痛っだーーーっ!!脛蹴るなよ!!マジで痛いじゃねーか!!!」

「黙れ。」

「流青。それくらいにしとけ。湊人は流青を煽るな。」

「だって!うおー、めっちゃ痛い。まだ痛い。流青のバカ」


バシッ!!


「痛ったーーー!!また頭叩いたっ!!ぜってーうさみみちゃんにチクッてやる!流青はバカが付くくらい焼きもち焼き…」

「湊人!!!」


湊人は走って逃げて行った。


「流青。頭冷やせ。…お前…マジなんだな。」

「…何が?」

「!?…。」

「だから何がだよ。」

「……。」

「…?とりあえず健二、助かった。ありがとう。悪いが今回は頼む。俺の方でも裏で手を打つ。二度目は無い。」 

「そうだな。」

「…でも。何で宇佐美のこと…」

「ああ。流青、お前実はわかりやすいんだな。初めてだろ、女子に対してこんな感じ。宇佐美さんのこと見過ぎて俺達にはバレバレだ。周りはまだ気付いてないようだが…今のお前じゃバレるのは時間の問題だ。

だから宇佐美さんをマークしてた。お前を好きな女子はわんさかいて、流青次第で彼女に何が起こるか分からんからな…。」

「…。」

「とりあえず流青、お前は行動には気を付けろ。小さい頃から嫌というほど経験してるだろ?お前が誰か一人を構うと、その子は周りから集中攻撃を受ける。悲惨だ。」


流青は痛いほど身に覚えが有り、何も言えない。


「今は宇佐美さんには必要以上に近付くな。周りを固めてからにしろ。時期を待て。」


「…わかった。…で、何で俺が宇佐美さんのこと…気になってるって分か…ったんだ?」


「…。お前、湊人の言うとおり、結構馬鹿だったんだな。」


他の奴なら即殴るが、健二には喧嘩で勝った例しが無いので黙ったままでいた。


※流青くんは超絶賢いですが、初恋検定は10級(なう。=美久子)くらいです。

ちなみに湊人は5段(幼稚園の時)、健二は初段(幼稚園の時)…くらい?な感じです。

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