39 SSR ◇
『至急、SSRに来い。10分以内。』
バスケ部の朝練がいつもより早く終わり、部室で着替えていた時に健二からRINEが届いた。
健二は時々こうして急に呼び出す。
要件だけのRINEがアイツらしい。
学院の警備室のその奥にある、かなり頑丈な扉の番号、指紋、虹彩認証の三つのセキュリティを外し中に入る。
「遅い。」
「知るか。朝練だったんだ。これでも急いで来た。」
「流青、俺もー」
壁一面、無数のモニターがある手前のデスクに、健二と湊人が座っていた。
他には誰もいない。
ここは、健二の仕事場でもある。
このSSRでは学院内に設置されている音声機能付きの超高性能監視カメラの映像で、全ての箇所が見られる。
凄腕の常盤スタッフが常駐している警備室でも、殆どの箇所は監視出来るが、全てでは無い。
SSRに入室出来るのは、健二と俺と湊人、常盤の本社の社員が数人と学院の警備部長のみだ。
元々は公安部出身の警備部長が一人でここを担当していた。
健二は異常を察知し、状況を把握し、素早く判断を下す能力が突出していて、何度か有事を事前に収めている。
早くからその能力を高く見込まれて、高校からは警備部長と健二でこの部屋を管理している。
詳しい仕事内容は知らない。企業秘密だ。
カメラが追えないトイレの中と更衣室には集音マイクが設置されており、SSRでのみ確認出来る。
いつの時代でもトイレや更衣室は良くないことが起こりやすい場所なのだそうだ。
もちろん有事以外ではソレを使うことは全く無いらしいが。
此処ではプライバシーなんて無いに等しい。
生徒全員の安全を完璧に守るためには致し方ないのだろうが、何とも言い難い。
※SSR Special Security Room の略です。
※警備システムも作者の完全な妄想です。
すみません。。。