表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/129

36  流青の気持ち(3)◇

「乾くん、どう?痛い?大丈夫?」


優しくちょうど良い高さの声。

少し緊張しているようだが、俺のことを本気で心配してくれているのが伝わってくる。


他愛も無い会話をする。

自分でもかなり珍しく、女子と普通に会話していることに驚く。

なんだか、とても穏やかだ。


ふと、気が付いた。

この部屋には二人っきりだ。

そう思うと、急に落ち着かなくなってきた。

思わず少し顔を背けると、彼女が養護教諭の川北先生を呼びに行くと慌てだした。

この時間が終わってしまうのは…何か嫌だ。

慌てて彼女を止めて、このまま待つと伝えた。


少し固まった彼女が

優しく微笑んだ。



「!?」



目の前に衝撃が走った。



何だ、今の、は。



顔を真っ赤にして慌てる彼女。

もっと見たい。

もっと照れさせたい。


彼女が丁寧に自己紹介をしてくれた。

ちょっと昭和のサラリーマンみたいな言い方で。

思わず笑ってしまうと、彼女が更に真っ赤になって照れて慌てる。


可愛い。


女の子を可愛いなんて、初めて思った。

自然で優しい笑顔に…胸が痛くなった。

こんな女の子、初めて見た。



「…俺は乾 流青です。宇佐美…さん。…宇佐美。これからもよろしく。」


俺も自己紹介をした。

彼女の焦げ茶色の綺麗な目をじっと見つめながら。



この子が気になる。


この子が…欲しい。



心の奥底に隠れていた、

何かどす黒い感情が溢れ出してきた気がした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ