34 流青の気持ち(1)◇
PVの多さにびびっています。
拙作を読んでくださって本当にありがとうございますm(_ _)m
乾 流青には、人生で初めて気になるひとがいる。
それは、同じクラスの宇佐美 美久子だ。
彼女は学院では珍しい、普通の女の子だった。
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流青が通っている聖陵学院高校は成績も授業料も大変レベルが高く、それ故日本のトップクラスの家庭の子女が多く通っている。
流青の父親の信彦は税理士で、独立系税理士法人を経営していた。
堅実で無駄を嫌うが使うべき時は使う、所謂まともな金銭感覚を持っていた。
父親の影響を大きく受けた流青は、学院に多くいるような親の金を湯水の如く使い自分自身を着飾る女子達には一切興味が湧かなかった。
長男である流青は将来父親と同じ税理士か公認会計士になり、実家の稼業を継ぐ決心をしていた。
流青の容貌は周りから見るとかなり整っている。
端整な顔立ちの父親にそっくりで、夫を深く愛する母親は流青の顔を見ると喜び、本人はいつも困惑している。
五歳下の弟の快成は母親似だが、母はやはり可愛いようで構いすぎては嫌がられている。
その容貌に加え学業もスポーツも優秀で上背がある流青は、小さな頃から女子に好かれて何度も告白された。
しかし、流青は全く興味が無く全て断っていた。
ある時、流青を巡って知らないところで女子達が揉め事を起こし怪我人が出た。更には強引に家にまで押し掛けられて居座られたり、付き纏われたり、物を盗られたり、流青にとって女子が絡むと災難ばかりだった。
流青は疲れ果ててしまい、女子に対しては必要以上に関わることをやめた。
それでも元々は優しい性格なので、必要な時はごく普通に優しく接した。
この態度が女子には余計に受けてしまい、流青はかなりクールだけど優しい美男子と位置付けられ、ますます好意を持たれてしまった。
ただ…流青は幼い頃から漠然と思っていた。
何かが足りない。
それが何かわからないけれど、
絶対に必要な気がする。
早く探さなくてはいけないのに、
何を探していいのかわからない。
足りない何かが見つからない。
日ごと焦る。
この気持ちは何だ。
何が足りない。
俺はずっと、何を探しているんだ。
流青目線の話です。
少し長いですが、お付き合いください。