3 七海ときのぴい
七海は書道部。きのぴいはダンス部所属。
二人とも幼稚園からこの学院に通っている。バリバリのお嬢様達だ。
七海はおばあちゃんが書家で幼稚園から書道を習っていて、今は準師範だ。すごい。JK準師範。かっこいい。
当たり前だけど字がめちゃくちゃキレイ。『名は体を表す』を地でいってる。
小柄でスリムで可愛い小動物みたいな女の子。
腰近くまである艶々の黒髪ストレートをよく触らせてもらっている。サラッサラだ。気持ちが良い。
男子からモテモテで、告白されてはいつも困っている。
そして申し訳なさそうに断っている。
断り方も可愛い。あんなに可愛いのに優しい。ほんと大好き。
きのぴいは才色兼備でびっくりするくらい美人で背が高くてスタイル抜群。
お父さんが欧州の方らしく、少し緩くウェーブした背中までの髪と目の色は薄茶色。自前だ。
肌の色は透けるように白い。
小さい頃はモデルをしていたらしいけど、今でも街を歩いているとスカウトされてはすっぱり断っている。
クラブに青春を掛けたいらしい。ほんとかっこいい。
ダンス部でも一際目立つ。元々バレエを習っていたから立ち姿からしてもう凄い。美人オーラってほんとにあるんだなあって思った。
あんなに綺麗なのに優しい。ほんと大好き。
もう、天は二人に二物を与えすぎです。
ちなみに私、宇佐美 美久子は茶道部。
160センチの中肉中背。ちょっと焦げ茶色の髪と目。
顔も含め、何もかもが普通。良くて中の下だ。
小っちゃい頃から唯一続けてきた習い事は茶道のみ。後は広く浅く。
地味にお茶立てて、御菓子食べて、はい、今日はここまで!解散!を週二でがんばっています。細々と。
でも、その貴重な二日間の内、今日は休んじゃった。
クラブは一度も休んだこと無かったんだけどな。
あっ!お弁当、残しちゃった。
今日はお母さん手作りの大好きなだし巻き卵があったのに。
せっかく作ってくれたのに申し訳なくて余計にへこんだ。
色々考えているとかなり体も心も落ち着いてきた。
けれども現実は容赦ない。
私には前世の記憶がプラスされてしまった。
昭和生まれの35歳独身女性の記憶が。