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27 前世の私(6)
学校でも静子は勤めて明るく振る舞った。
勉強も頑張った。
特に英語には力を注ぎ、母親に頼んで自宅に外国人の先生に来て頂いて英会話のレッスンを受け、半年後には日常会話程度なら話せるようになった。
米国で頑張っている亮介に恥じないように、静子も日本できちんと過ごし、少し成長した姿で亮介を迎えたいと思っていた。
周りには元気を取り戻したように見えている静子は、以前にも増して男子生徒から好意を寄せられた。
きっぱり断っても亮介が傍にいないため、諦めずに何度も告白をしてくる猛者もいたが、断固として断った。
初めは遠巻きに見ていた女子生徒の中には、静子が本気で困っている様子を見かねて味方をしてくれ、次第に仲良くなった友人もいた。
このことを亮介にエアメールで伝えると、とても喜んだ返信が届いた。
あともう少し。
あともう数ヶ月で亮介に会える。
ゴールはもう目の前だった。
しかし、試練は突然やって来る。
静子の家族にとって予期せぬ出来事が起こってしまった。