20 仲良くなったきっかけ
私たち3人が仲良くなったきっかけは2つある。
高校1年生から同じクラスになり、学院に入ってばかりで友達もいない私は、初めは独りぼっちだった。
休み時間は大好きなラノベを読んで過ごしていた。
たまたま横を通った七海に『何を読んでるの?』と聞かれて、本のタイトルを言うと『同士だ…。きのぴい!同士を見つけたよー!』と、キラッキラしたお目目でガン見されながら手を握られた。
七海もきのぴいも大のラノベ好きで、読んでる異世界シリーズはほぼ被っていた。
七海はラノベが好きすぎて最近は自分でも書き始めた。
一度原稿を見せてもらったけど(七海はスマホ操作がかなり苦手)余りにも達筆な字に感動して肝心の内容が殆ど入ってこなかった。
後で感想を聞かれてもあんまり答えられなくて、七海にめっちゃ叱られた。
お互い好きなアーティストも被っていた。
もちろん No × doubtだ。3人で語り始めると1人につき最低2時間は頂きたい。
去年の夏のドームツアーライブは最高だった!
3人ともライブ限定グッズを買い過ぎて、持って行ったビニール袋の取っ手が破けてしまい抱っこ状態で持って帰った。お互いの姿を見て大爆笑した。
きのぴいと七海がいなかったら、私はどんな高校生活を送ってたんだろう。
想像すると恐ろしすぎて身震いがする。
とりあえず今は、乾くんのことは考えないようにしよう。
元々、遠くから見てるだけだった。
なのに、少し話せて嬉しくて調子に乗ってしまった。
今朝のキラキラ女子達が言った通りだ。
睨んでた理由はわかんないけど、失恋しても仕方が無い。
私は中の下、地味な普通の一般庶民だ。
こんな私が学院カーストのトップにいる乾くん、そして、きのぴいや七海と一緒のクラスにいられるだけでも有り難い話だ。
自分の立場を弁えよう。
藍子おばあちゃんの言うとおり、身の丈に合った生活をしよう。
自分の立場を見失わないように。
過度な期待をして、失って、
心がボロボロに傷付かないように。
でも。
ただ、好きでいることは許して欲しい。
ただ、思っているだけだから。
でも。
まさかこの後直ぐに、
自分が前世の記憶を思い出して倒れ、
保健室で休んでいる時に乾くんが心配して様子を見に来てくれる…なんてことになるなんて、全く思ってもみなかった。
人生とは驚きの連続だ。
本当に。