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19  失恋報告

「で、何があったの?美久。…話してごらんよ。」


「どうしたの?美久…。泣きすぎて目が腫れてるよ…」


お昼休み、今日は空き教室で三人だけでお弁当を食べている。

泣いて落ち込んだ私を気遣って、きのぴいと七海がここまで連れて来てくれた。


二人が私を心配そうに見つめている。

心配ばかりかけてほんとに申し訳なくて情けない。



「ごめん…。ほんと悲しくて情けなくて…なんて言ったらいいんだろ…。私もわからないの。」


もう、どうしようもなくて俯いてしまう。


「うん、そうだね。言ってること、全っ然わかんないけど…。まあ多分、乾くん絡みだね。

美久、乾くんのこと、本気で好きでしょ?」



きのぴいの顔をバッと見上げる。



「なっ、なんで!?バレてた!?」


「丸わかりに決まってるでしょー!言ったじゃん!美久の初恋だって!」


「そうそう!バレバレだよー!顔と態度と行動に出過ぎだもん!笑っちゃうくらい出てるよ!毎日乾くんのこと、チラチラッとめっちゃ見てるし!」


「うっそ!やばい。キモすぎる、私。」 



二人にバレてるってことは、周りにも乾くんにもバレてるのっ!?

今朝の睨まれ失恋プラス、本人にはまだ告白すらしてもないのに好きなことがバレてて、しかも睨まれるくらい嫌われてるなんて。サイアクだ…。

いや、畏れ多くて告白なんて出来ないけど! 


まだ何にもしてないのに、乾くんに今日一日で2回失恋した気分だよ…。ほんとにサイアクだよ…。



「もー、美久!一人脳内反省会はもういいから、お弁当食べな!」


「そうそう!今日は朝から変な女子達に絡まれて大変だったんだから、いっぱい食べて元気付けよう!で、しっかり白状してね。泣いてた訳と乾くんを好きになったきっかけも…ね!」



私が乾くんを好きってことを、二人に秘密にしていて申し訳なかった。自分に自信が無くて、言えなかった。

でも、こんな私を二人は笑って許してくれた。

寧ろ凹んで落ち込んでる私を慰めてくれている。


なんて優しい子たちなんだろ。

こんなに綺麗で優しい二人が友達でいてくれて、私は本当に幸せ者だ。


乾くんの睨みが余りにもショックで、今朝のキラキラ女子達のこと、すっかり忘れてた。

きのぴいが守ってくれて助かったのに…。



私、駄目だ。自分の事ばっかり。

二人にきちんと話さなきゃ。

二人はいつも私の味方でいてくれてる。

だから私も二人に誠実に話さなきゃ。



私は二人に乾くんとのことを話した。

入学式の時、壇上ではにかんだ笑顔を見て一目で好きになったこと。


好きになったけど、私は聖陵学院の最下層にいるから、畏れ多くて告白なんて絶対出来ないこと。


前に話した、ミニ球技大会の時に乾くんを手当てした保健室での出来事は、ほんとはめちゃくちゃ嬉しかったこと。


翌日、手当てのお礼を言ってもらえて、感動して泣きそうになるくらい嬉しかったこと。


なのに今朝、席について目が合ったら、眉間にシワを寄せて睨まれてしまったこと。


だから、理由は分からないけど…きっと嫌われてしまって失恋してしまったこと…。



…最後はやっぱり少しなみだが出ちゃったけど、二人になんとか話せた。

凄くすっきりした。

二人は最後まで黙って聞いてくれた。



「…うーん。なるほど…。美久の気持ちはわかったよ。なるほどね…。」


「そっか…。好きなひとに睨まれたらそりゃ凹むよね…。」


「…。」「…。」


「でもさ。私、乾くんは美久のこと、多分、嫌いになんかなって無いと思う。寧ろ、気になってると思う。」


へっ!?

今、何と仰いました?きのぴいさん!?


「うん。私もそー思う!乾くん、昔から大体クールで滅多に笑わないし、特に女子には用事無いと自分からは話しかけないもんね。なのに、美久には話しかけて微笑んでるし!」


ニヤニヤしながら七海がこっちを見る。


「美久、入学式に学院の美男子に一目惚れか~!そんな最初っから好きだったなんて…。きゃー!テンション上がる!めっちゃきゅんきゅんする~!良いわ!次のラノベのネタに使える…」


「だね!アレは絶対美久のこと気に入ってると思う。睨みは何か勘違いだよ、きっと。よし!私が今から聞いてこよっか?乾くんに!」


「ち、ちょっと、七海!落ち着いて!!

きのぴいも!乾くんのことアレって!で、だめっ!聞かなくていいから!ちょっと二人とも!落ち着いて!!」


私はすっかり生き返った。

全て二人のお蔭だ。




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