124 みんなでアニマルプリン(3)
「もー、また来たー」
「また来たとは、どういうことだ?」
「常に乱入してくるってことよ」
「嬉しいくせに」
健二が恵の口もとを親指で拭って、指に付いたプリンをそのまま口にした。
「「「「「「きゃー!」」」」」」
「な、なっ!」
「うまいな、このプリン。恵、食わしてくれ」
「ええっ!?もうっ!……はい」
女性のお客さんの小さな悲鳴が響く中、
頬を赤く染めた恵がスプーンで差し出したプリンを、健二がパクリと食べた。
「「「「「「きゃー!!」」」」」」
「本当にうまい。俺も1個食べよう」
健二はショーケースのあるカウンターに向かって行った。
「俺も食ーべよ」
ニヤニヤ見ていた湊人もカウンターに向かった。
「美久子はもう1個いるか?」
「え!?ううん、これで大丈夫」
「そうか。美久子、今夜もウチに来て夕食を食べよう。
父さんと母さんと弟が待ってる。ご両親には了承済だ」
「へっ!?また?今夜!?」
いやいや、聞いてないよー!
一昨日も乾家でご馳走になったとこだよー!!
いつの間にお父さんとお母さんの了承を!?
プリンセットを持って健二と湊人が戻ってきた。
「何なにー?うさみみちゃん、ガーンって顔してるけど」
「大丈夫か?この世の終わりみたいな顔だな」
ははは!と笑いながら席に座った二人のプリンは、
湊人がクマで、健二がチワワだった。
「えー!そのセレクト、逆な気がするー」
「えー、俺、結構クマ好きなんだけど。ダッ○ィーとか激カワだよねー。
ま、ほんとはうさぎが一番好きなんだけど無かったからさー」
流青が一瞬ピクッと反応した。
「俺は食えれば何でも良い。目の前にあったからこれにした。
店員は失笑してたな」
健二は三口でチワワを食べた。
ほぼ飲んでるようにも見えた。
美久子は乾家での夕食話をスルーするために、
チワワを飲んだ健二にビビりながらも話題を変えた。
「そ、そうだ!皆さまお揃いなので、あの、改めまして、
パーティーの時は常盤くんも八木くんもきのぴいも七海も、流青くんも本当にありがとうございました!
お陰様で無事で、こうして美味しくプリンを頂いています」
「ほんと…無事でよかったわよね。
男子達、今回は大活躍だったわよね。凄かったわ。ありがとう」
「ほんとだよー!凄いよ。見直しちゃった。ありがとう!」
めったにこの男子達を誉めないきのぴいと七海に誉められて、
男三人はまんざらでも無い表情をした。
かなり嬉しそうだ。
「パーティーの時のきのぴいと常盤くんの写真見てびっくりしたよ!
常盤くんのポケットチーフ、ワインレッドだったね!きのぴいとお揃いだったんだね」
「そうなの!2着目のドレスもワインレッドだったから、
どーしても私とお揃いにしたかったのねー、ペアルックにね、健二!って……あれ?」
健二の顔が赤くなっていた。
全員、初めて見る健二の照れ顔に固まる。
「「「「「「きゃー!!」」」」」」
「そうだ。ペアルックだ。悪いか。お前の白い肌にはあの色が似合うと思ったんだ」
「わ、悪くない。すごくうれしかったよ……ありがと」
何とも言えない甘酸っぱい雰囲気に、きゅんきゅんした。
美久子は七海と目を合わせ、二人とも自然と顔がニヤけた。