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118  流青くんとたまごかけごはん

「ふふっ」

「ん?どうした?」

「夢、早速叶っちゃったなーと思って。

昨日RINEしたデートプランね!」



そう、昨日の夜に流青くんに私の希望のデートプランをRINEで送った。

そうじゃないと、流青くんが先に提案してくれたプランが高校生らしからぬゴージャスデートだったから。

ほんと、危なかった。


プラン内容で『公園でちゅう』『駅で名残惜しいけど"また明日ね"と手を振って(2回くらい振り返る)』『帰りの電車の中で"今日は楽しかった"RINEを送る』は、さすがに恥ずかしいから入れなかった。

こっそり実行しよう。



「ふっ。美久子は可愛いな」

「か、可愛い!?……ですか?」

「うん。めちゃくちゃ可愛い」

「っ!……ありがと」

「!……美久子っ…」



ダメだ……照れる。

きのぴいと七海から『誉められたら謙遜し過ぎず、喜んでお礼を言うべし!』と教えを受けた。

そうじゃないと、本気で誉めてくれた人に対して失礼だからって。

すごく納得した。

さすが、モテ女子上級クラスのお言葉だ。

けれど、生憎モブ下級クラスの私が使いこなすにはレベルが高すぎた。

頑張ってお礼を言ったものの、顔を赤くしたまま固まってしまった。



「…美久子っ!先に部屋にっ」

「あああっ!」「(ビクッ!!!)」

「あのお店はっ!『てんごくのたまご』だ!流青くん、覚えていてくれたんだ…」

「え。…ああ。美久子、ここのたまごかけごはんが食べたいって言ってただろ?」

「うんっ!そうなの!七海に聞いてからめちゃくちゃ食べたかったから、ほんっとにうれしい!ありがと!!」

「ふふっ。よし、では入ろう。我が婚約者殿」

「こっ!それ、今言う!?」

「ふふっ!」



流青くんはたまにいじわるだ。



「いらっしゃいませ~………っ!!?」

「二人ですが、いいですか?」

「あ、は、はいっ!こ、こちらのお席に、どうぞっ……」



明るい木目調の店内を丁寧に案内してくれた女性店員さん、お顔が赤くなってる。

中のお客さんの女性がチラチラ見ながら少しざわざわしてる。

流青くんと初めて入るお店では、よくこういう感じになる。

お店の人がオマケしてくれたりするから、ほんっとに美男子はお得だ。



私は念願のたまごかけごはん、流青くんは親子丼の大盛りを頼んで半分こして食べた。

もう、たまごが新鮮で濃厚で、ごはんも私の好きなしゃっきり固めごはんで最高っ!

親子丼もたまごがトロトロでおいしい!


こんな、可愛い庶民派のお店にいても、流青くんはやっぱり流青くんで。

美しい貴公子がたまごかけごはんをとても綺麗な所作で食べてるから、何だかシュールで笑ってしまった。



「ん?何で笑ってるんだ?」

「んーとね、ふふっ。なんかね、しあわせだなーと思って」

「俺もだ」



にっこり笑った流青くんが私が大口開けて食べてるのをじーっと見るから、恥ずかしくなってちょっと睨んだら、プイッて変な方向を見た。

お蔭で私は食べやすくなった。



「あー、おいしかったー!お漬物たくさん入れてくれてたよね!流青くんのお蔭だよー。ラッキーだったなあ」

「ふふっ。そうか?きっと美久子が可愛いからだな。

満足してくれたならよかった。美久子は本当にうまそうに食べるな」

「わ、私は可愛い…って流青くんが思ってくれるならうれしい!本当においしかったー。また来ようね」

「っ!ああ。何度でも来よう」



楽しくてうれしくて笑顔の二人は、また自然に手を繋いで歩き出した。


こうして着々と『本気の普通デートプラン』をクリアしていった。



「じゃあ、次は俺が行きたい場所に行こう」

「うん!行こう!どこかなー?」


※この『てんごくのたまご』は作者の妄想のお店です。

 たまごかけごはん、食べたくなってきました。

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