117 美久子 本気の初デート
皆さま方、ごきげんよう。宇佐美美久子です。
私は今、学校帰りで地下鉄赤坂駅に向かっています。
な、な、なんと!
今から流青くんと二人だけの初デートです!
今日は月に一度のクラブ活動の無い貴重な土曜日!
人生初の、ちゃんとした本気のデート!!
今まで、学校帰りに待ち合わせして二人で会ったことは何度もあります。(平松さん運転の車でお迎え=膝の上抱っこ→予約済のなんだか高級なお店でご飯 with 平松さん)
めちゃくちゃありがたいんです!
お食事はすごく美味しいし、平松さんが一緒なのも楽しいし、何より平松さんが教えてくださる小さい頃の流青くんネタとか超貴重でいつも悶える…。
だが、しかし!
普通の高校生デートもしてみたい!
きゅんの初級『普通の高校生デート』をすっ飛ばして、『婚約』というほぼ上級にいきなりいってるから、もう普通が何だか分からなくなってきました。
で!先日、流青くんに『何かしたいことやお願いは無いか?』と聞かれたので、即座にお願いしました!
……苦節17年。長かったー。
ラノベと少女マンガで学び、妄想では何度もしていた『本気の普通デートプラン』はこちら!
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◎学校帰り→学院の誰にも見つからないように、離れた駅で待ち合わせ→歩きながら自然と手を繋ぐ→何か食べる(食べながら歩くでもOK!寧ろめっちゃしたい!)→お店を見ながらブラブラ歩く(お揃いの何かを買う)→プリクラを撮る(バックハグで)→かなり暗くなった頃の公園で、ちゅう(これは経験済。きゃー)→駅で名残惜しいけど『また明日ね』と手を振って(2回くらい振り返る)電車で帰る(ココ、大事!)→帰りの電車の中で『今日は楽しかった』RINEを送る。以上。
コレです!
コレがしたかったー。
お手本の様な、健全な高校生のデート!
きゅんきゅんするー!
ではっ!いざっ!
あ!流青くん、いた!!
待ち合わせの改札口前にいるー!
柱に背中をもたれ掛けて立ってる。
背が高いし、オーラ放ってるからすぐにわかった。
……一緒に、沢山の制服女子も、いたー。
可愛い子がいっぱいいる。
どうしよう……帰ろっかな……。
いやいやいや、だめだめ!
流青くんと普通デートしたい言ったのは私だ!
しかし!
怖くてまだあの中に突撃は出来ないよお。
……流青くん、めっちゃ顔怒ってるー。
不機嫌極まりない。
よし!RINEのメッセージを送ろう!
『改札口に着きました!』
『流青くんの左斜め前にいます』
眉間に皺を寄せた流青くんがスマホを見て、ぱっとこっちを見た。
ふにゃっと笑顔になった!
きゅん!
「「「「「「「「きゃーー!」」」」」」」」
ひゃー!
流青くんのふにゃ笑顔、可愛いー!!
私を見てあんな笑顔になってくれるなんて、ほんと感動だよ…。
可愛い制服女子達を置いて、笑顔の流青くんが来てくれた。
「美久子。おつかれ」
「うん。流青くんもおつかれさま。お待たせしてごめんね」
「大丈夫。行こうか。こっち」
流青くんが自然に手を繋いでくれて、二人で歩き出した。
後ろから悲鳴と溜息と悪態が聞こえた。
流青くんが傍にいてくれるから、怖くない。
流青くんとの婚約は、少しの自信と大きな安心感を与えてくれた。
※もちろん、美久子を学院からずっと常盤のボディーガードさんが付いて護ってくれています。安心してくださいね!