114 美久子の歓喜
流青くんとの婚約が決まった。
今日から流青くんは私のこ、こ、婚約者!!
信じられない……。
ついこの間まで、教室でチラ見するだけでも必死だったのに。
信じられない!信じられない!!
まじかー!どきどきするー!
きゃー!やばい!うれしいっ!しあわせだー!!
美久子は孝とゆり子とタクシーで自宅に戻り、シャワーを浴びて早々に自分の部屋に入り、興奮の余りベッドの上でバタバタと悶えていた。
ホテルからの帰り際、流青が一緒に送ると言ってくれたが、家族全員で丁重にお断りをした。
ホテルの車寄せで乾家御一行様を待っていた数台の車を見て、宇佐美家三人は後退りし、逃走犯のようにタクシーに飛び乗った。
あの外車ショーみたいな光景はなんだ!?
本当にびっくりした。
カーブ曲がれるのか心配になりそうな長ーい外車や、
デ○ィ夫人が乗ってそうな真っ白なゴージャスな外車……他にもなんだか、すごい車。
きっと多分アレは、土足で乗ったらダメなような気がする。
乗り難すぎる……。
いつも送ってくれる平松さんは、私が無事で喜び過ぎてパーティーで飲んだくれたらしい。
またお会いした時にお礼を言おう。
……お父さんに婚約許してもらえて、ほんとにうれしいな。
よく、許してくれたな……。
流青くんや乾家のみなさんがあれだけ言ってくれたお蔭だ。
見た目も中身も素晴らしいご一族だ。
なんて素晴らしい人達なんだろう。
本当にありがたいな……。
流青くん……めちゃくちゃかっこよかったな。
あんなに何度も頭を下げて、お願いしてくれた。
私、本当にしあわせだ。
お父さん、帰りのタクシーの中でずっと無言だったな。
後部座席の真ん中に座って、私とお母さんの手をずっと握ってた。
……今頃お母さんに縋り付きながら、泣いてるんだろな……。
明日はまだきっとスネてて、面倒くさい状態だろうから、いつも以上に甘えよう。
怖いこともあったけど………
すごく幸せな一日だったな…………
また明日、みんなにお礼を言おう…………
美久子はぐっすりと眠り、朝の目覚ましアラームが鳴ってもなかなか起きなかった。
流青やきのぴい、七海のRINEにも気が付かず、爆睡した。