106 創立100周年記念パーティー(34)
「美久子、何処にいたんだ?なかなか捕まえ……探してたんだぞ」
「あっ!ごめんなさい。私も流青くんを探してたんだけど、
携帯繋がらないし全然見つからなくて。
……それで、その赤いほっぺたどうしたの?大丈夫?」
「……」
「ふふっ。あまり聞かないでやってね」
信彦が美久子に話し掛けた。
瞬時に美久子の顔が赤くなる。
きゃー!やっぱり格好いい……。
だって、流青くんの20年後はこーんなに格好いいのかもと思ったら、あかん!つい見てしまう!自然に顔がニヤけてしまうー!
「父さん」
やっぱりそうかー!!
そりゃ、こんなに似てたら親子だよね。
ん?
前が、見えない。
「「「「きゃ!」」」」
「……流青。お前は何をしてるんだ」
流青は後ろから美久子の目を両手で目隠ししていた。
「……美久子が、父さんを見るから……」
そりゃ、見るでしょ!
こんな流青くんそっくりな格好いいイケメン男性!
「……ぶほっ!わーっはっは!」
「「「「「!?」」」」」
「……お父さん?」
「名誉院長?」
「あー、愉快だね!僕が生きている内に流青の嫉妬を見られるなんて!」
目尻に涙を溜めながら爆笑する一彦に、会場中がざわついた。
流青は決まりが悪そうに目を逸らし、美久子を目隠ししていた手を離した。
「正彦兄さん、もうそろそろ泣き止まないと……泣き虫なんだから」
「この歳になると涙腺が弱くなるんだよ」
「昔からよ。仕方が無いわね」
ずっと涙ぐんでいた正彦の背に、藤色の着物姿の美しい女性が寄り添った。
「ぐすっ。理乃ー」
「はいはい。皆さまの前よ。もう泣き止まないとね」
「流青くん…」
「正彦伯父さんの奥さんだよ。人前関係無くいつもああやって理乃伯母さんに甘えるんだ」
流青が美久子にこっそりと教えた。
周りを見ると皆ニコニコ笑っていた。
なんだか微笑ましくて正彦と理乃を見つめていると、理乃が美久子を見てにっこりと微笑んだ。
美久子も小さく会釈をして、にっこり微笑んだ。
「美久子ちゃんっ!」
可愛い女性の声に呼ばれたかと思った瞬間、いきなり誰かに抱きつかれた。
「うわっ!」
「母さんっ!」
ばっと顔を上げて美久子を見た女性は、超絶可愛い妖精さんだった。
「かっ、かわいいー!!」