101 創立100周年記念パーティー(29)
「はあーっ…七海、綺麗だったねぇ」
「ほんと!今日は今までで一番良かった気がする」
美久子と恵が七海の踊りの余韻に浸っていると、後ろから声を掛けられた。
「メグミチャーン!ミクチャーン!」
「あっ!パパー!!」
振り返ると、レオンが黒のタキシードの正装姿で立っていた。
肩まである柔らかい天然パーマの薄茶色の髪をすっきりと一つに結わえた筋肉巨体のタキシード姿のレオンは、ハリウッド俳優の様な絶対的オーラで周りの視線を集めていた。
恵は父に抱きつき、満面の笑みでお礼を言った。
レオンは恵の額にキスをして、しっかりと抱き締めた。
「パパ!Thank you so so much for helping Miku!」
「Of course! It's my treasure daughter's request! Anything will come true!」
「I love you daddy!」
「I love you more メグミチャン!」
美久子は美しい親子の抱擁をうっとりと眺めていた。
「ミクチャン!トッテモ、キレイダネ!」
「あっ!あ、ありがとうございます!きのぴいパパ、今日は助けてくださって本当に本当にありがとうございましたっ」
深くお辞儀をして、レオンにお礼を言った。
「オヤスイゴヨウ、ダヨ!マタ、ナニカアッタラ、イツデモイッテネ!」
「そうよ!美久!パパはめっちゃ強いから大丈夫。健二より強いからね!」
あはは!と、のんきに笑っている美人親子は、ハリウッド的オーラを周囲に撒き散らし、天井の豪華シャンデリアの光と共に恐ろしくキラキラしていた。
はあああっ!
異世界の戦う皇帝が鎧を脱いで、宮殿の舞踏会で正装してるー!
めちゃくちゃ格好いい!
タキシードの上からも素晴らしい筋肉がわかるって、何!?
人間超えてる。人狼かな?
娘の傾国の美女との抱擁は美しすぎる!
やばい!写真撮りたいっ。
撮らなきゃ後で絶対に七海に怒られるし!
ラノベの題材集めを損ねると、七海は本気で怖いからね!
二人に『今日の記念に!』と断り、ちゃっかり連写で写真を撮った美久子は大満足した。
お手洗いに行きたくなった美久子はきのぴいに告げ、ずっと近くで付いていてくれている一橋と一緒に会場の外に出た。
お手洗いから出て待っていてくれた一橋にお礼を言い、会場に戻ろうとした美久子は、ふと視界に入ったソファーに座っているタキシード姿の男性に釘付けになった。
驚愕で目が離せなかった。
その男性は、亮介にそっくりだった。
★「パパ!Thank you so so much for helping Miku!」
(パパ!美久を助けてくれて本当に本当にありがとう!)
★「Of course! It's my treasure daughter's request! Anything will come true!」
(もちろんだよ!僕の宝物の娘のお願いだよ!なんでも叶えちゃうよ!)
★「I love you daddy!」
(パパだいすき!)
★「I love you more メグミチャン!」
(僕はもーっとめぐみちゃんの事愛してる!)