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10  タクシーで帰宅

保健室に戻って来た養護教諭の川北先生と、一緒に様子を見に来てくれた担任の後藤先生に挨拶をして、学院の校門前からタクシーに乗って母親と自宅に帰った。

なんて贅沢。なんて楽ちんなんだろう。

今日だけは甘えさせてもらおう。



「お母さん、せっかく朝からだし巻き作ってくれたのにごめんね。

お弁当、途中で残しちゃった。」 


「そんなのいいのよ。本当にもう大丈夫なの?顔色は少し良くなったみたいだけど、まだしんどそうよ。やっぱり病院に行く?」


「ううん。今はもう大丈夫。なんか急に眩暈がしてクラクラしちゃった。今は治まってるし今日は帰ったらすぐ寝るね。」


「そうね。今日はゆっくりして、明日も無理しちゃダメよ。パパったら美久ちゃんが心配で会社早退するって大変だったの。あっ!大丈夫でしたってRINE送らなきゃ!」


「あー。ごめん。今日は大人しく早く寝ます。」


タクシーの車窓を眺めながら、父親の慌てまくっている姿を想像して、会社の周りの皆さんにご迷惑を掛けていないか少し不安になった。



いきなり溢れ出た前世の記憶。

私は35歳の普通の日本人女性だったんだ。

高度経済成長期に生まれ、

もうすぐ昭和が終わるかという頃の35歳の記憶までしかない…。

と、いう事は…前世は長生き出来なかったんだ…。

考え出すと、なんか…すごく苦しい記憶がどんどん増えていく。

また眩暈が起こりそうだ。


とりあえず今はやめておこう。

家に帰って一人でゆっくり整理したい。


何か大切なことを、ちゃんと思い出さなきゃいけない気がするから。



※※※※※※※※



美久子の事が心配で、きっと仕事が手につかないであろう父。

プラント開発会社で部長をしている父親の(タカシ)は、かなりの美久子ラブだ。

母親のゆり子のことが何よりも一番ラブだけど、かなりの僅差で美久子ラブだ。

父親に無理矢理される毎朝毎晩のご挨拶ハグは未だ継続中。

これを話すと大体の友達には引かれる。

七海ときのぴいには同意される。類は友を呼ぶなのかな?


因みに両親のハグも朝夕関係無く実行されている。仲良きことは美しきかな。


続いて父親の家庭内ラブ順位は、3位と4位は同列でわんこ2匹(大人しいチワワのロミオ♂と、これまた更に大人しいパグのプリオ♂ どっちもお母さん命名)、最下位はアメリカの大学に留学中の4つ年上の兄、(ツカサ)。以上。



帰ったら父親をどう宥めようか悩む美久子は、ふと保健室に来てくれた流青のことを思い出していた。




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