オークに怪しい薬を飲まされて幼女と化した女騎士は今日も子どもらしくアヘってます。
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の続編となります。
天井から滴る水音で目を覚ました女騎士。土の感触は良いとは言えず、直ちに身体中が疲労と虚無感に襲われた。
(……確か鎖に繋がれていた筈だが)
壁から延びる鎖の先には手枷足枷が着いてはいるが、女騎士の身体を束縛する物は何一つ着いていなかった。
(……この牢獄、こんなに広かっただろうか?)
女騎士は自分の身体に違和感を覚えた。何より、唯一与えられたボロがとても大きく感じ、立つと床をするびる様になっていたのだ。
(これは……私が小さくなっている……のか!?)
牢獄の格子の間から身を乗り出し女騎士は確信した。どうやら一夜の間に女騎士の身体は、五歳くらいの少女へと変貌してしまったのだ!!
そして、女騎士は未だ寝静まるオークの巣窟から静かに脱出した―――
「―――と言う訳だ」
女騎士お付きのメイド『アリサ』は生還した女騎士の報告に酷く困惑した。
「生きて戻られた事はとても喜ばしい事ですが、これは一体……」
「分からぬ……ただ、オーク出された食事の中に何か入っていたのかもしれん……」
「何はともあれ先ずはこちらを……」
アリサが取り出したのは、今の女騎士にピッタリなサイズの可愛らしい服だった。
「準備が良いな……」
「またこんな事もあろうかと思いまして、色々と取り揃えておきました」
用意されたお手製の子供服に袖を通し、ボタンを留めキリッとした表情を見せる女騎士。
「女騎士様。ボタンが一つズレております」
「むっ、すまん」
アリサは素早く女騎士のボタンを留め直し、ポケットからグミを一つ取り出した。
「グミィィィィ!?」
──バッ!
「んほぉぉぉぉ!!!! んまぃぃぃぃ!!!!」
グミを口に入れあまりの美味しさに顔が蕩ける女騎士。そこには普段の威厳は微塵も感じられなかった。
──コンコン
「私だ。失礼するぞ」
──ガチャ
「む、奴は留守か?」
現れたのは女騎士の長である【アガーサ・ワシジャヨ】だった。アガーサは大変厳しい事で有名であり冗談が一切通じない筋金入りの真面目オブ真面目イン真面目マシマシつゆだくである。
「む? その子どもは何だ? ココは関係者以外は立入禁止の筈だが……」
「申し訳ありません。先程庭園に迷い込んだ子どもを保護致しました故……」
「ならば公務へと連れてゆけ。平和を守る我等に子守は不要だ」
「はい」
アガーサが女騎士をジーッと見つめる。女騎士はバレないかと思いハラハラした。
「因みに、名前は何だ?」
「えっ?」
「名前が分からねば親を探せまい」
「……カ、カナン。利根川カナン」
「……そうか。私も何かあれば名を伝えておこう」
「宜しくお願い致します」
「それと、奴が戻ってきたら経費精算書をさっさと提出するように伝えておけ。とっくに期限は過ぎている」
──バタン……
アガーサが去ると二人は安堵のため息を漏らし、アリサは二つ目のグミを女騎士の口へと放り込んだ。
「んまぃぃぃぃ!!!!」
──ガチャ
「それともう一つ―――」
「!」
「!?」
グミをキメてアヘっている女騎士は直ぐさまに表情を戻すことは出来ず、女騎士特有の優れたアヘフェイスをバッチリとアガーサに見られてしまった。
「……キメセクー教授にお出ししようと取って置いた羊羹が見当たらないのだが、知らんか?」
アリサが部屋のゴミ箱へチラリと目線を逸らすと、そこには抹茶羊羹の空き箱が突き刺さっていた。
「……いえ」
「そうか。犯人は極刑と伝えておけ」
──バタン……
アガーサが去ると二人はまたもや安堵のため息を漏らした。しかし女騎士はゴミ箱の羊羹の空き箱を直ぐさまクチャクチャに丸め奥底へと押し込んだ。
「しまったぁぁぁぁ……アガーサ団長の羊羹だったかぁぁぁぁ…………!!」
「自業自得です」
アリサは優しく微笑んだ。しかし内心は極刑に課せられる女騎士が見たくてウズウズしていた。
「こうなったら暫く身を潜めていた方が……いや、いっその事この姿のままの方が良いのか?」
「どちらにせよココから追放される事は間違いありませんね」
「ぐぬぬ……」
「……因みに、女騎士様を捕らえたオークはどんなオークだったんですか?」
「ダニエルだ」
「……(笑)」
「最初は屈強で野蛮で童貞なオークに囚われたのだが、イケメンで優しいダニエルが機転を利かせて自分の部屋へと導いてくれたのだ」
「で、そこで出された食事に何か盛られたと……」
「もしかしたら私を逃がすためにワザと……?」
──ドンドンドン!!
「!?」
──ガチャ!
「大変です!! やたらイケメンで小さいオークがやって来ました!!」
「ダニエルだ!!」
女騎士は素早く外へと向かい、城門で彷徨いていた同じくらいの背幅のオークと熱い抱擁を交わした。
「ダニエル!! その格好はどうしたんだ!?」
「オオ! オンナキシー!! ワタシモ オクスリキメテ キマシター!」
二人は抱き付いたままグルグルとその場を回った。
「じゃ、出掛けるから」
「コウエン イキマショー」
「んほぉぉぉぉ!!!! ブランコ乗るぅぅぅぅ!!!!」
女騎士はオークと手を繋ぎ、そのままその場を後にした―――
「……何だこれ?」
アリサは酷く困惑してその場で呆然と立ち尽くすしか無かった…………。
そして部屋へと戻りクチャクチャに丸まった羊羹の空き箱を部屋の真ん中へと置いた。
読んで頂きましてありがとうございました!!
(*´д`*)