第1部【出逢い】篇 1章~2章までのあらすじ
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◇第1部【出逢い】篇 1章~2章までのあらすじ◇
《第1章【覚醒する日常】》
主人公、エドガー・レオマリスは、国指定の“不遇”職業【召喚師】として、冷遇された日々を過ごしていた。
そんな彼の扱いを知らずに接してきた、幼馴染のエミリア・ロヴァルトは、ある日、彼が【不遇召喚師】だということを知る。
自分が短気を起こしたせいで、彼に頭を下げさせてしまった責任を感じたエミリアは、エドガーにプレゼントを贈ろうと考えた。
次の日、早速プレゼントを見繕っていたエミリアだったが、父である伯爵に呼び出され、あるものを渡される。
それは【消えない種火】と呼ばれる、ルビーの宝石だった。
どこぞの商人から買ったと言う父だったが、なんと詳細は一切覚えておらず、疑問に思いながらもエミリアはその宝石を手に取る。
そこで、エミリアの意識は途切れてしまった。
もう一人の幼馴染である、エミリアの兄・アルベールと一緒に掃除をしていたエドガーに、遅れて来たエミリアが箱入りの【消えない種火】をプレゼントする。
エドガーは父の影響で、コレクターとして様々なアイテムを集めていた。
名前だけは知っていた【消えない種火】が目の前にある事で舞い上がったエドガーは、どんな経緯かも知らずに大喜びする。
しかし、その経緯は、関係者の誰もが覚えていないと言う不思議な事だった。
次の日、アルベールの騎士学校の卒業式が行われ、国の最大の戦力、【聖騎士】への昇格式が執り行われた。
アルベールが【聖騎士】に昇格するも、その年の第一位であるコランディル・ミッシェイラが選ばれることは無かった。
異様な空気の中閉幕したものの、エドガーはアルベールの【聖騎士】昇格に喜び、その日の夜は宿屋【福音のマリス】でささやかなパーティーが行われたのだった。
次の日、酔ったエミリアを迎えに来るはずだったアルベールが来なかった。
聞けば、同窓生に呼ばれて出かけたと言う。
不審に思ったエミリア、そしてエドガーは、その場所を目指す。
呼び出されたアルベールは、誰もいない筈の廃墟で不意打ちを受けてしまう。
倒れる寸前に見た、不意打ちを仕掛けて来た人物は、自分が思いを寄せる女性、メイリン・サザーシャークだった。
こんな所にいるはず無いと、エミリアは見間違いだったと思いながらも後を追う。
しかし、そこで見たものは、鉄パイプを両手で握りしめ、涙を流しながらアルベールを殴り続けるメイリンの姿だった。
廃墟の陰から出てきたのは、【聖騎士】に成る事が叶わなかったコランディルと、その仲間二人だった。
メイリンを操る謎の力を身に付けたコランディルは、エミリアをも巻き込んで排しにかかる。
エミリアは抵抗するも、メイリンを傷つけないように気を遣い、三人に囲まれた状況に成す術が無かった。
そして、遅れて来たエドガーは、何もできない状況に怯えて隠れているだけだった。
しかし、傷つくエミリアとアルベールの姿、そしてこちらに気付いた男。
イグナリオ・オズエスが、隠れていたエドガーを言葉で引きずり出す。
心に微かな火をつけてパンチを繰り出すも、一切通じることなく、エドガーは返り討ちに会う。
万事休すかと思われたが、時間を気にしたイグナリオ達はアルベールを連れて引き上げる。
自分の無力さと、幼馴染が傷付いてしまった事実に、エドガーは気を失った。
目を覚ますと、エドガーは自室にいた。
去り際に言われた『月光の森に来い』という言葉を実行するため、エミリアと協力して“精霊”を“召喚”しようと考える。
父の部屋から見つけ出した“精霊召喚”に関する本。
それに記載されていた“魔道具”の情報は、エドガーがエミリアにプレゼントされた宝石【消えない種火】だった。
宿屋【福音のマリス】の地下にある【召喚の間】に訪れ、準備をしていざ“精霊”を呼び出したエドガーであったが、“召喚”されたのは、なんと“魔人”だったのだ。
吹き飛ばされ、全身に火傷を負うエドガー。
何とか扉を閉じて、最小限に被害を抑えたと安心するが、命は風前の灯火だった。
“魔人”に対しての命乞いにも聞こえた、『た・す・け・て』と言うエドガーの願いに答えたのは、一人の女性だった。
右手に【消えない種火】を輝かせて、“魔人”を一刀にて屠るのは、エドガーが本当に“召喚”した、異世界からの住人だった。
異世界からのお客様、ロザリーム・シャル・ブラストリア(ローザ)は、エドガーと契約をしたと話す。
その証拠に、エドガーの右手には【消えない種火】を模した赤い《紋章》が浮かび上がっていた。
【召喚の間】から出たエドガーとローザは、エミリアと合流して休憩スペースまで案内する。
ローザの事を紹介し、納得は言っていないようだが、本能的に強いと判断したエミリア。
ローザも、エミリアの事を気に入っていた。
そして夜が迫る前に【月光の森】に向かうのだが、全速力で走るエミリアに対して、余裕で付いてくるエドガーの体力が、向上した事に驚いたのだった。
【月光の森】に着いたローザは、無防備に火を灯し酒を飲むイグナリオ達に怒りを募らせる。
作戦を立て、アルベールを救うために行動を開始する。
奇襲にも似た行為だったが、ローザの言葉通りに進む展開に、エドガーとエミリアは各々相手と向き合った。
エミリアは一度負けた相手でもあるマルスに、エドガーはコランディルと対峙した。
そして首謀者であったイグナリオは、ローザが相手をすることになった。
何とか二人を倒し、残るはイグナリオだけになる。
エドガーとエミリアの様子を伺いながらイグナリオとの戦いを流していたローザだったが。
異変を起こすイグナリオを火炎弾で攻撃する。
しかし、爆炎が治まった場から現れたのは、姿を変えたイグナリオ、いや、“悪魔”グレムリンだった。
姿を変貌させたイグナリオは、完全に【魔石】に魅入られていた。
人を操る力を得て、コランディルとマルス、そしてメイリンを操っていたのだが、ついには自身の身体すらも変貌させた。
襲い来る“悪魔”の前に、ローザは苦戦を強いられていた。
しかし、その苦戦に違和感を覚えたエドガーは、戦闘前に立てた作戦の中で『炎は使わない』と言うローザの言葉を思い出す。
エドガーは、必死の思いで走り、ローザに言葉を届ける。
そしてローザは、その言葉に感じた初めての感覚に、異世界に来た実感を得ながら【消えない種火】を輝かせて炎を繰り出した。
天空に舞い上がる一柱の炎。
ローザが放った一撃は、グレムリンを灰燼と化した。
そしてアルベールを助けたエドガー達は、警備隊に見つからないうちに家路につく。
異世界に辿り着いたローザは、満足そうに笑みを浮かべる。
退屈な世界にさよならをし、新たな世界を故郷とすると誓った。
愛しさすら感じる《契約者》とその幼馴染、これは退屈しなさそうだと、ローザは新たな人生を楽しく過ごしていこうと、心を弾ませた。
《第2章【忍者VS女子高生】》
ローザの新しい日常は、刺激に溢れるものだった。
毎日を自由に寝て起きて、おいしいものが食べられる。
それだけで、元いた世界とは雲泥の差であった。
そんな時、ローザは一人、【下町第三区画】に足を運んだ。
エドガーが【鑑定師】マークス・オルゴと話しをしている時、待てずに行動を起こしたのだ。
そこで、自分が財布を落としている事に気付き、絶望する。
更には、その財布が足元に落ちていた事を指摘されて更に絶望。
指摘してくれた少女に何故か親近感を覚え、ローザはエドガーを待った。
その後、エドガーに掛けられた歯の浮くようなセリフに、ローザは鬱屈した気持ちを切り替えて貰った。
一方でエドガーの幼馴染エミリアは、騎士学校の任務で、後輩達の演習管理を任されていた。
そこで同窓生の騎士学生、リューグネルトにからかわれ、後輩達をも巻き込んで一騒ぎ。
なんと、リューグネルトがエドガーの宿に泊まることになったのだ。
突然のお客様に、エドガーはリューグネルト・ジャルバンこと、リューネを部屋に案内するも、エミリアまで宿泊すると言い出した。
エミリアとリューネは、【福音のマリス】の名物、温泉に入るのだが、そこでは、国に対して、存在を隠そうと心に決めたばかりの、ローザが温泉に浸かっていたのだ。
気まずさの中で、リューネは一足先に温泉から抜け出し、エドガーのもとへ向かった。
エドガーの部屋である管理人室へと足を運んだリューネの姿に、エドガーは驚かされる。
リューネは、何ともきわどいネグリジェでエドガーのもとへやって来たのだ。
一度変な誤解があったものの、リューネはエドガーにマッサージをしたいと言い出し、有無も言えないままに、エドガーは微睡に飲まれる。
そして気づいた時にはリューネはおらず、何故か全裸のローザが、自分の身体に跨っていると言う状況だった。
部屋を確認すると、今日【鑑定師】のマークスから受け取ったばかりの《化石》が無くなっている事に気付く。
状況証拠から、リューネが持ちだしたと想定せざるを得ないエドガー達は、リューネの後を追う。
ローザの力の簡易版である炎具現化を使い、エミリアに槍を作ったエドガー、ローザも服を炎で作り出してエミリアと共に纏った。
リューネが宿から距離を置くと、空に一筋の赤い柱が上がり、リューネの目の前に落ちてくる。
ローザの炎によって舞い上がったエドガーとエミリア、そしてローザだった。
危険なものだと、返してくれと言うエドガーに、リューネは認めない。
戦う覚悟を決めていたのか、リューネが使った小さな紫石は、【石魔獣】と呼ばれる怪物を生み出した。
何とか撃退するも、リューネを迎えに来たと言う謎の男が、更に【石魔獣】を増やして撤退。
リューネも《化石》も、奪われてしまった。
帰り道、ローザに言われた『異世界人を“召喚”しなさい』と言う言葉を、エドガーは考えていた。
宿に帰ると、温かなスープが用意されていて、エドガーは何も考えずにそれを飲む。
もの凄い不味さに意識をハッとさせたエドガーは、このスープを作ってくれたローザとエミリアに感謝しつつ、新たな【異世界召喚】をする覚悟を決めた。
翌日、エドガーは“召喚”の為に“魔道具”を揃える。
そして【召喚の間】でローザと一度、模擬戦をこなし、エドガーは再び、異世界の住人を招く。
新たに呼び出されたのは、二人の少女だった。
【忍者】のサクヤと、【女子高生】のサクラ。
まるで双子のように似ている二人だが、全くの他人らしい。
とてもギスギスした二人に事情を説明するが、意外なほど簡単に受け入れてくれた。
明るくも心に深い闇を抱くサクラが、額に着けられた《石》に気付き、心の声が聞こえる能力【心通話】を使える事が分かる。
闇の世界に生きて来たサクヤもまた、心に希望の光を抱いていた。
そんな二人の協力を得て、《化石》の復元を阻止するため、捜索を開始する。
少しして、王都中が騒がしくなる。
東の区画にある収監所【ゴウン】から黒煙が上がり、【石魔獣】が出現したのだ。
エドガーの宿に向かっていたエミリアは、逃げまどい混乱する王都民をなだめようと奔走するが、逆上した男に組み付かれ、乱暴されそうになる。
それを救ったのはサクヤだった。
自分達を動物仲間だと言い、サクヤは大いに笑う。
民を守るために残ったエミリアに、エドガーから託された槍を渡して、ローザとサクヤは先行したエドガーとサクラを探す。
【石魔獣】に追いかけまわされるエドガーとサクラを助け合流すると一路、収監所【ゴウン】を目指す。
リューネは、レディルの仲間ではあるエリウスと言う少女に助けられ、その恩義を果たすために共に行動していた。
収監所の騒ぎもエリウス達が起こしたものだが、なんともザルな警備に辟易するエリウス。
最後の警備兵をリューネに倒させ、収監所の最奥まで来たエリウス達は、当初の目的通りに、聖王国の英雄、【月破卿】レイブン・スターグラフ・ヴァンガードを脱獄させる。
そして収監所の中央広場で、無数の死体の山を贄に、レディルが《化石》を使い【タイラント・リザード】を復活させ、その場を去った。
エドガー達が駆け付けると、既に人気は無く。
中途半端な復活とはなったが、【大骨蜥蜴】となって襲い掛かってくる。
エドガーとローザは応戦するも、元の世界でも一般人だったサクラは慌てふためく。
しかし、サクラが見つけたコアらしき骨を狙い始めると【大骨蜥蜴】は球体の様な形になって襲ってくる。
建造物が多い中でローザは炎をうまく使えず、強力な“魔道具”で蘇った【大骨蜥蜴】は手強かった。
全員の力で何とかコアの骨を破壊する事が出来たエドガー達であったが、疲れ果ててしまった一行は動くことが出来ずに休んでしまう。
一方で、王都民を守るために【石魔獣】と戦っていたエミリアは、勝手な行動をする民の行動でピンチに陥る。
それを助けたのは、親友でありながら、今回の事件の一端となったリューネだった。
二人の騎士学生の力で【石魔獣】を撃退し、リューネは去っていった。
別れを惜しむ暇もなく、エミリアは悲鳴が聞こえた方角へ急ぐ。
そこでは、火事場泥棒ならぬ火事場人攫いを目撃し、エミリアはそれを撃退。
せっかく助けたと思った少女も姿を消してしまい、エミリアは虚しさを抱えたまま、エドガー達と合流するために【福音のマリス】へと向かった。
へとへとになりながらも、ローザ達は【福音のマリス】へと帰ってくる。
待っていたエミリアと合流して、朝日が昇る中、サクラはやっと、異世界でも朝日は同じなんだと、笑顔を見せるのだった。




