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不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第1部【出逢い】篇 4章《残虐の女王が求めるもの》
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176話【ショック!】



◇ショック!◇


 装甲車【ランデルング】を再び操縦(そうじゅう)したローザ。

 帰り道は更に()れた様子で、荒野のデコボコ道など目にもくれず走らせた。


 その結果、帰った時にはほぼ全員が車酔(くるまよ)いしてグロッキー状態だった。

 中でも、運転していたローザが一番()っていた。

 運転している間は、それはもう気持ちよさそうにしていたのをサクラが目撃しているが、王都北門まで辿(たど)り着き、【ランデルング】から降りた瞬間に。

 「ぁぁ……私はもうダメだわ」と、音を上げた。


 自分の魔力も【消えない種火】の魔力も回復しきっていないからか、ローザの顔は青ざめていた。

 今までにないくらいに具合を悪そうに、果てには「もう二度と運転はしない」と言い出すくらいには駄目(だめ)だったらしい。

 しかしサクラは「このタイプは、また()りずに運転する」と言っていたので、きっと大丈夫なのだろう。

 そして、全員で帰宅(きたく)し――ローザが回復するまで話しは待つことになったのだが。




 なんと――十日だ。

 十日間、ローザは寝込んだ。

 フィルヴィーネとメルティナが、魔力以外の、何か別の原因(げんいん)かもしれないと、わざわざ調べてくれる事までして検査(けんさ)したが、診断結果(しんだんけっか)は、重度(じゅうど)車酔(くるまよ)い。フィルヴィーネもメルティナも、ただそれだけしか言わなかった。


 これに一番ショックを受けたのは、勿論(もちろん)ローザ本人だとエドガーは感じたが。

 多少回復したと思った数日前は、恥ずかしがって部屋から出てこなかった。

 その間の数日で、フィルヴィーネをメイリンに紹介(しょうかい)したり、リザは“悪魔”だけど(がい)はないと必死に説明したり、マークスにエドガーが(にら)まれたりと、いろいろな事があったのだが。

 ローザはまるで反応しなかった。


 出てきたのは、サクヤと仲良くなったルーリア・シュダイハが【福音のマリス】に遊びに来た時に、散々(さんざん)(さわ)いだお陰だ。

 それを見たサクラが「天照(アマテラス)天岩戸(あまのいわと)みたいだね」と、言っていたが、エドガーはさっぱり分からなかった。


 どうやらサクラの世界の“神”様のお話らしい。

 エドガーは興味(きょうみ)(しめ)したが、サクラが「から元気で人の話を聞くのはよくないよ~」と説明を投げた為、お(あず)けとなってしまったのが痛い。

 本当は、ローザが元気がない事に対して、自分自身も戸惑(とまど)っていることを知られたくなかっただけなのかもしれないと。サクラには気付かれていたのだと、エドガーは思った。


 帰宅して(すで)に十日。その間にフィルヴィーネとリザの部屋は用意された。

 まるで義務(ぎむ)かの様に、メイリンが頑張ってくれた。

 申し訳ないと心底(しんそこ)思う。


 (ちな)みにフィルヴィーネとリザの部屋はローザの向かい側、201号室だった。

 202号室はローザ、隣の204号室はサクラとサクヤ、さらに隣の206号室はメルティナとなっている。

 分かりにくいが、最奥(さいおう)の角部屋が201、そして向かいが202号室。

 フィルヴィーネの向かいがローザの部屋となり、サクラ達の部屋である204号室の向かい側が、203号室、空き部屋となっている。


 「分かりにくい!なんで数字で並んでないの!?」とは、サクラが“召喚”されて初日に言った言葉だったりする。

 順番に数えていくと、左201、203、205、207、209となり、右202、204、206、208、そして通路となっていた。

 これは二階で、一階の客室(きゃくしつ)も同じ仕組みになっているのだが、誰だこの構図(こうず)で部屋割りしたのは――エドガーの母親。マリスだった。


 客がよく入っていた昔も、「あれ?201の隣が202じゃないの?」と変な苦情(くじょう)が入ったことがあった。

 その時マリスは「面白いでしょ?」と、ケラケラ笑っていた。

 それを、エドガーはサクラのリアクションを見て思い出していたりした。





 そんなこんなで、フィルヴィーネとリザが【福音のマリス】に住み始めて、あっと言う間に十日が()っていた。

 【火の月64日】、【ルノアース荒野】でローザ、メルティナがフィルヴィーネと戦ってから十日。

 この間にもいろいろあるのだが、ローザに言えない事だったり、エミリアやアルベールが未だに来なかったりと、時間は本当に一瞬のようだった。


 (ちな)みに、本当に(ちな)みになのだが。

 この十日間の(あいだ)に、宿屋【福音のマリス】に客は一人も来ていない。残念。


 そして次の日。

 王城からの使者(ししゃ)が来るまで、ローザは引きこもりと化していたのだった。


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