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不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第1部【出逢い】篇 4章《残虐の女王が求めるもの》
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162話【心の成長】



◇心の成長◇


 サクラが推測(すいそく)した【異世界召喚】と【転体魂再(てんたいごんさい)】の共通点。

 “神“にも“魔王”にも不可能な事を、どうして“召喚”が可能にしているのか、ローザが言う『私は再構成されている』と言う言葉の確証(かくしょう)はどこから来たものなのか、それを聞く為、エドガーはローザの言葉を待つ。


「私は――元の世界。正確には過去の世界で味覚(みかく)を失っていた……環境(かんきょう)境遇(きょうぐう)、《石》の副作用……家族間のトラブル……はぁ~、()げればキリがないけれど」


 元の世界での事を思い出して、ローザは眉間(みけん)(しわ)を寄せる。


「でも……この世界に“召喚”されて以来、私の味覚(みかく)は戻ってる……」


「――そっか。だからあんなに食べ物に感動してたんだね……」


 エドガーは優しく笑みを浮かべて、ローザが食事をしている風景(シーン)を思い起こす。

 ローザは恥ずかしそうに目を()らして、続ける。


「そう考えると。私の身体が再構成されている……って言われても、納得(なっとく)できない?」


「確かにそうかもっ。あたしも、小並感(こなみかん)丸出しだけどさ……身体が強くなった気がするんだよね」


 ローザの予想にサクラが同意する。


「あの場所……う~ん。言いにくいから……そうだなぁ、仮に【魂再場(こんさいじょう)】ってことにして、そこで出て来たあの人(・・・)……まぁ人か分からないけど。その人が言ってたんだよ、『ステータスはランダム』だって」


「ステータス……身体能力の事ですね」


 サクラが言うステータスを説明するメルティナ。

 メルティナは続けて、自分の見解(けんかい)()べる。


「ワタシの場合、元々身体を持ちません。人工知能でしたから。それでも、気付いた時にはこの身体(ボディ)になっていました……前のマスターと瓜二(うりふた)つの身体に――これは、ワタシの記憶媒体(きおくばいたい)……今は“(たましい)”と言うべきものから読み取り(ロード)したのではないかと想定(そうてい)できます」


「やっぱりそうなると、可能性が高いね……そだ、【忍者】はなんかないの?」


 サクラがメルティナの見解(けんかい)を聞いて、やはりと(うなず)き。

 他の意見がないかと、同じタイミングで“召喚”されたサクヤに聞くのだが。


「……【魔眼()】が(うず)かなくなったな……」


「……また中二病みたいなことを……」


「――そうではないっ!そうではないが……わたしは……その……」


 サクヤはテーブルに――バンッ!と手をついて、普段からこう言う話についていけない自分を(なげ)く。

 しかしエドガーは、そんなサクヤに優しく(さと)しかける。


「……サクヤ。ゆっくりでいいよ……落ち着いて。無理についてこようとしなくていい。僕達は――(けっ)して君を置いてなんかいかない。もし遅れてたとしても、絶対待つ。そういう状況じゃなかったとしても、君が追い付いてくるって信じてるよ――だから、一緒に歩いていこう……ね?」


「……――あ、主様(あるじさま)……」


 その時だった。

 サクヤの中で――何かが(はじ)けたのは。

 それは、サクヤにしか分からない事であり、サクヤだけの《能力(スキル)》だった。


 【忠誠(ちゅうせい)(あかし)

 今まで発動していなかったサクヤの能力。

 あの場所、【魂再場(こんさいじょう)】で(さず)けられた力。

 それが今、何故(なぜ)か発動したのだ。


「――な、なんだ……この感覚」


「サクヤ?」


「【忍者】?――どうしたのよ?」


「……い、いや、分からぬ」


「はぁ?」


 本人すら知りえぬ“ステータス”の状態。


「……もしかしたら。サクヤ……少し動かないでください」


 唯一、“ステータス”を確認出来る人物、メルティナが、立ち上がって【解析(アナライズ)】を発動する。

 網膜投影で、メルティナはそれを確認する。


 【解析結果】

 ・サクヤ/【忍者】

 ・【忠誠(しゅうせい)(あかし)

 |LV:65

 |HP:8567/8567

 |MP:449/449

 |STR:670(+装備472)

 |INT:238

 |VIT:371

 |MEN:277

 |AGL:1125(+装備556)


 ・【忠誠(ちゅうせい)(あかし)

 ・【忍術(にんじゅつ)

 ・【状態異常軽減じょうたいいじょうけいげん

 ・【幻想能力開放げんそうのうりょくかいほう

 ・【ジュエルスキル・黒瑪瑙(ブラックオニキス)


 前回(100話)調べた時と、ステータス自体は変わらない。

 しかし、名前の下の【発動状態】と思われる箇所(かしょ)に、【忠誠(ちゅうせい)(あかし)】が記載(きさい)されている。

 そして、新たな能力が増えている事だ。


能力(スキル)の発動を確認しました……【忠誠(ちゅうせい)(あかし)】ですね。以前は発動していませんでしたが、これの詳細(しょうさい)は分かりますか?」


「【忠誠(ちゅうせい)(あかし)】……それがわたしの、能力」


 見たところ、ステータスに上昇効果(バフ)傾向(けいこう)は無い。


「それと、前に見た時よりも能力(スキル)が増えています。【幻想能力解放げんそうのうりょくかいほう】……でしょうか」


幻想能力(げんそうのうりょく)……?また中二っぽいわね……」


 サクラが(あき)れ気味に言うが、言われたサクヤは。


「いや、わたしのせいではないであろう……!」


「――ふむ。その力がどうかは、(おの)ずと戦えばわかる事だ、今は別件(べっけん)であろう?」


「あ、そうそう……【忍者】が言った、眼が(うず)くとかって言う話だったね――能力や【転体魂再(てんたいごんさい)】と関係あるのかな?」


 フィルヴィーネの言葉に、サクラが少しだけ脱線(だっせん)した話を戻す。

 しかし、サクヤがほんの少しでも心を落ち着けたのなら、(おん)の字だろう。


 話は戻り、ローザがそれに答える。


「可能性としては、私の味覚(みかく)と同じ感じ……かしらね。サクヤが元の世界で、眼に何らかしらのハンデを負っていて……それが解消された、とか」


 身体を再構成されたことで、元の世界で(わずら)っていた病気や障害(しょうがい)がリセットされた。

 そういう可能性だろうか。


 ローザはパン(がゆ)の器をコツコツとスプーンで軽く叩き。


「身体の再構成の話は、一旦(いったん)終了ね……」


「うん」


「じゃあ次は……どうして、その“神”や“魔王”が出来ない筈の――再構成?を……エド君が……【召喚師】が出来るのかって事だね」


「僕にそんな事をしている自覚は無いんだけど……」


 エドガーは単に生まれつき持った血の力(・・・)を使っているだけなのだから。


「私の国に、【召喚師】なんて職業の者は一人もいなかった」


 ローザはフィルヴィーネを見る。

 フィルヴィーネは、リザを肩に乗せて野菜炒(やさいいた)めを食べていた。

 しかし、しっかりと話は聞いていたようで。


「……そうだな、【召喚師】……我の国《魔界》にも……ましてや《天界》にもその様な者はいなかったと記憶している。第一、そのような力を持つ者が居れば、【主神(しゅしん)】が(だま)ってはいまい。彼は管理者でもある……世界のな」


 【主神(しゅしん)ザフィルセイオス】は、異端者(いたんしゃ)――(すなわ)ち、世界に異常を来たすものを見つける力があった。

 “神”も“魔王”もが出来ない神秘(しんぴ)を超えた力を持つものがいれば、真っ先にスカウトされるか、始末(しまつ)されるかをしている筈だ。

 少なくとも、ローザやフィルヴィーネがいた時代に、【召喚師】と言う職業の人物は存在していなかった。


「……少し気になるとすれば、【転竜(てんりゅう)の玉石】を使ったとしても、今この世界より先……――この時代の未来に転移(てんい)する事が出来なかったことだが……それに、“神”の存在が感知できないからな」


 つまりは、“神”は(ほろ)びた可能性だ。

 それは《魔界》も同じであり、フィルヴィーネが(おさ)めていた《魔界》にも、今転移(てんい)は出来ない。

 【転竜(てんりゅう)の玉石】は、存在している場所(・・・・・・・・)にしか、転移(てんい)が出来ないのだから。


「エドガー、【召喚師】の歴史(れきし)はどれくらいなの?」


「え?う~ん。僕……父……祖父……は確実だとしても、それ以上は……」


 ローザの質問に、エドガーは考えながら答えるが。

 考えるも、心当たりは無い。


書斎(しょさい)に、それらしいものが(しる)された書物(しょもつ)とかはないのですか?主様(あるじさま)……」


「だね。日記とかさ」


 サクヤとサクラが、ヒントになりそうな(しょ)はないのかと問う。


「ごめん……歴代の【召喚師】の事は正直分からない。少なくとも、【召喚の間】は何代もの【召喚師】が使っている筈だから……百年、くらいは続いているはずなんだけど。それと本も同じだよ。あるとすれば……祖父が(はたら)いていたって言う……【リフベイン城】だけど」


「――!」


 その言葉に、ローザだけがハッとし。そして告げる。


「そう……なら、ローマリアの依頼(いらい)尚更(なおさら)断れないわね……」


「!!」

「……ローザさんっ」

成程(なるほど)……一理ある」


「イエス。ワタシもそれが最重要(さいじゅうよう)だと思っています」


 エドガーは無言だ。

 サクラはやはり反対なのか、険しい顔をし。

 サクヤは「うむ」と納得(なっとく)している。

 そしてメルティナも肯定(こうてい)する。


「――さ、次の話に移りましょうか」


「いや、ローザさん……!」


「サクラ。落ち着いてください……あなたがエキサイトしては、マスターが口を出せなくなります」


「それは!……そう、だね……ごめん……」


 ほんの少し、ぶり返してしまった気まずさを(かか)えたまま、話は進んでいく。

 最後は、異世界人達全員が体験している、あの場所――【魂再場(こんさいじょう)】についてだ。


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