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不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第1部【出逢い】篇 3章《近未来の翼》
124/383

113話【決闘~休憩2~】



◇決闘~休憩(きゅうけい)2~◇


 この会場で、先程の試合の状況を把握(はあく)していた人物は、ローザとサクヤの他にもう一人、上空にいた。

 メルティナ・アヴルスベイブは、【解析(アナライズ)】したサクラのデータを見比(みく)べる。


【解析結果】

 ・サクラ/【女子高生】

 ・【高揚(こうよう)

 |LV:22

 |HP:2366/2366

 |MP:398/398

 |STR:151

 |INT:422

 |VIT:128

 |MEN:189

 |AGL:206


 ・【叡智(えいち)(ひらめ)き】

 ・【ハート・オブ・ジョブ】

 ・【(かばん)/スマホ】

 ・【ジュエルスキル・朝日の雫(ホワイトサファイア)


 これが試合前のサクラのステータスだ。

 そして、これが直前のデータ。


【解析結果】

 ・サクラ/【軍人】

 ・【H・O・J(ハート・オブ・ジョブ)

 |LV:22

 |HP:2366/2366

 |MP:398/398

 |STR:151(+1377)

 |INT:422(+411)

 |VIT:128(+231)

 |MEN:189(+231)

 |AGL:206(+570)


 ・【叡智(えいち)(ひらめ)き】

 ・【ハート・オブ・ジョブ】

 ・【(かばん)/スマホ】

 ・【ジュエルスキル・朝日のホワイトサファイア


 体力(HP)魔力(MP)は変わらないが、それ以外の基本ステータスが異常に上昇されている。


「()内は……あの【古い銃(アサルトライフル)】の威力(いりょく)でしょうか……それとも……スキルの上昇効果?」


 攻撃力(STR)だけを見れば、異常な数値(すうち)だ。

 メルティナよりも高いのだから、それが(うかが)える。 

 サクラのステータスにそれ以外の大差はないが、まるで人が変わってしまったような口調(くちょう)に、いきなり素人(しろうと)とは見えなくなった動き。


検索(けんさく)完了。あれは、軍人の動きと断定(だんてい)


 ステータス表記に書かれている様に、メルティナの検索(けんさく)結果も同じ。

 下にいる少女は到底(とうてい)軍人には見えないのだが、メルティナの【解析(アナライズ)】は間違いない。


「初めて見たときは完全に一般人だと認識(にんしき)していましたが、考えを(あらた)めなければならないようです」


 メルティナが“召喚”された時、現場にいたサクラは完全に【少女A】だった。

 だが、今の戦闘を記録したメルティナには、サクラがただの女の子には見えてはいない上に。

 記録(メモリー)にも【軍人】の戦闘として記録(きろく)した。


「次は……エドガー・レオマリスですか……彼の能力は……」


 メルティナは次の試合の出場者、エドガーを【解析(アナライズ)】する。


「解析……完了しました……――これは」


【解析結果】

 ・エドガー・レオマリス/【召喚師】

 ・【契約の(あかし)】×4

 |LV:13

 |HP:2209(+4400)/2209(+4400)

 |MP:247(+200)/247(+200)

 |STR:172(+440)

 |INT:210(+440)

 |VIT:147(+440)

 |MEN:152(+440)

 |AGL:129(+440)


 ・【召喚/異世界召喚】

 ・【契約の(あかし)】×4

 ・【能力複製(スキルコピー)

  ・【炎熱操作(えんねつそうさ)】・【心内把握(しんないはあく)】・【危険感知(きけんかんち)】・【記憶領域増大きおくりょういきぞうだい

 ・【???】証不足。

 ・【???】証不足。

 ・【???】証不足。


 エドガーのステータスは、平凡(へいぼん)以下だった。

 だが恐ろしい事に、異常なまでの補正(ほせい)がかけられていた。


「……これが、異世界人の(あるじ)の……効果……」


 発動状態であろう【契約の(あかし)】は、異世界人四人分の効果を上掛けされているようで、全てのステータスに上乗せされている。

 更には能力(スキル)の多さ、そして不明度の高さだ。


「……【能力複製(スキルコピー)】ですか。契約している人物、その能力(スキル)劣化版(れっかばん)……と推測。各順に、ローザ、サクラ、サクヤ、当機(とうき)と予測……それ以外にも、表記不明なものが複数。証不足。と書かれているという事は……契約者の数で増大されると推測できます」


 もし、エドガーが更に沢山の異世界人と契約するようなことがあれば、どうなってしまうのか。


「……くっ……」


 ザ――ザザ――ザザザザ――


 メルティナの脳裏(のうり)に浮かぶ、エドガーを囲む沢山の人間達。

 女性だけではなく、男性もいる。

 その中には、当然のようにメルティナも()り。

 まるで古参(こさん)のメンバーと言わんかのように、成熟(せいじゅく)したエドガーの(そば)にいた。


「――ぐ……今のは……なん、なのですか……?」


 メルティナは【解析(アナライズ)】の画面を切断(せつだん)し、見えたビジョンを否定(ひてい)するかのように、頭を(かか)えて浮遊(ふゆう)する。

 そんな中、戦闘を終えたサクラがエドガー達のもとに合流して行った。





 歓声(かんせい)(つつ)まれる舞台(ぶたい)に、救護班(きゅうごはん)とみられる騎士達が大勢(おおぜい)集まり、血溜(ちだ)まりに(しず)むカリーナ・オベルシアの治療(ちりょう)に当たる。

 カリーナはまだ生きていた。(じゅう)によってダメージを受けたのは、手足だけだったのだ。


 まるで熟練(じゅくれん)の狙撃者の様に。

 (ねら)った的を外さなかったサクラの銃撃(じゅうげき)が、かなりの腕だと分かった。

 サクラは、服部(はっとり)少佐は、急所を狙わなかった。

 手足数十か所は打ち抜いたが、命は(うば)わなかったのだ。

 (きた)えられた身体を持っているのなら、あのまま(だま)っていても、命に別状は無い筈だ。


「……任務(にんむ)完了……これより帰還(きかん)する……」


 まだ口調(くちょう)の変わらない少佐は、カリーナ・オベルシアが運ばれていくのを見届けてから、エドガーの待つ待機所へと向かった。


「――サクラ!」

「サクラぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「サクラ……よくやったわ」


 エドガー、エミリア、ローザが、戻ってきた少佐に(ねぎら)いの言葉を掛ける。

 だが、その少佐さんは。


「――いえ、私は任務(にんむ)遂行(すいこう)しただけです……ローザさんの足元にも(およ)びません」


 と、何故(なぜ)かローザを謙遜(けんそん)し始めていた。


「そ、そんなことより……その口調(くちょう)はなんなの……?」


「そうだね……サクラらしくないと言うか……」


「いいじゃないっ!勝ってくれたんだよ!?(しゃべ)り方なんて気にしなくてもいいよ~」


 エミリアだけはサクラの口調(くちょう)を気にせず、嬉しさ(あま)って()きつこうとする。

 だが、サクラはそれを手で(せい)した。


「――いえ、この勝利はまだ一歩。エミリアさんの為……頑張りましょう」


「……」

「……サクラ?」


「さ、さん?……ええっ!いつものように“エミリアちゃん”って言ってよぉっ!」


 ローザは眉頭(まゆがしら)を押さえて上を向く。

 エドガーは、(あま)りにも違うサクラの様子に困惑(こんわく)し。

 エミリアは、自分をちゃん付けで呼ばないサクラに、ようやく疑問(ぎもん)を持ったのだった。


「――やれやれ……もうよいだろう?……サクラよ、その憑依(・・)()かぬか……」


 今までメイリンとアルベールの所にいたサクヤは「やれやれ」と言いながらサクラに近づきそう言った。


憑依(ひょうい)……?」


「はい、主殿(あるじどの)。今、こ奴はサクラであってサクラではない。そんな気がするのです……ならば、(のろ)いか憑依(ひょうい)……自己暗示(じこあんじ)(たぐい)かと思ったのです。主殿(あるじどの)……サクラの(ひたい)の《石》も、主殿(あるじどの)(ひたい)(もん)も……(かす)かですが光っていますし……」


 サクヤの言葉に、エドガーは注視(ちゅうし)する。

 実際、サクラの《石》【朝日の(しずく)】は(こぼ)れる様に(かす)かに光を放っていた。

 よく見なければ確認することは出来ないほどに、本当に(かす)かだが。

 それはエドガーの《紋章》も同じで、同じくらいに(かす)かに光を放っていた。


「……本当だ……よく気付いたね、サクヤ」


 ふふん!と胸を張るが。


「――うっ!……いた、たた……」


 肩の傷が痛むのか、サクヤは傷口を押さえて(うずくま)る。


「だ、大丈夫!?サクヤ……」


「……は、ははは……平気だぞエミリア殿。なに、心配はいらぬさ」


 エミリアの心配そうな声に、サクヤは気を張って強がる。


「……ほれ、サクラ!」


 早くしろと、急かすサクヤ。


「……解除(かいじょ)方法を把握(はあく)していない……私は、もうこのままの可能性がある」


 自分の能力の解除(かいじょ)方法が分からないらしいサクラは、内心不安なのだが口調(くちょう)は軍人そのもの。

 しかし、もう一生このままなのかと、心なしか思い始めた時。


「サクラ!……元に戻って!……僕は元の、普通のサクラが好き(・・)だよ」


「「「……!!」」」


「す……す、好きぃ!?な、何をいきなり……もう、エド君ってば――あ。戻った……」


 サクラは元に戻った。

 どうやらエドガーの天然発言のおかげのようだ。


「……エド~」

主殿(あるじどの)……わたしにも……」

「エドガー……」


「え……あれ?……なにこの雰囲気(ふんいき)




 異世界人三人とエミリアに(にら)まれるエドガーを、観客席の(はし)から優しく見守る二人。アルベールとメイリンだ。


「……良かったね。アルベール」


「ああ、本当にだ……俺はもう、信じる事しか出来ないからな……」


 敗北後、一人(くや)しさを飲み込んでいたアルベールも、恋人となったメイリンのおかげで立ち直ったようだ。

 しっかりとサクラの戦いを見届けて、メイリンは思う。


「……やっぱり、あれ(・・)は夢じゃなかったのね」


「……ああ、ごめんな……メイリン」


「ううん……いいの。むしろ安心してるわ……」


 アルベールは、隣にいるメイリンを見下(みお)ろす。

 反対に、メイリンはアルベールを見上げて。

 二人は目を合わせながら。


「――安心?」


「……うん。エドガー君のおかげで、その……私は、アルベールと」


 メイリンの言いたいことが瞬時(しゅんじ)(つた)わって、アルベールは照れる。

 が、メイリンから視線(しせん)()らさない。


「俺と、何?」


「……もう!意地悪っ」


「はは、冗談(じょうだん)だって……はははっ」


「うふふ……」


 二人は笑い合う。

 メイリンのあの記憶(きおく)は、まだ完全に思い出したわけではない。

 エドガーやエミリア、ローザの活躍(かつやく)でアルベールと(むす)ばれたことは、嘘偽(うそいつわ)りのない事実(じじつ)

 少しずつ。一歩ずつ。確かに歩いていこうと思ったメイリンだった。


「「……」」


 それにしても、この二人。

 よくもまあこれだけの視線(しせん)がある中で、二人の空気を作れたものだ。


「――!?あ、エ、エド……エミリアも」

「あ!い、いつから……?」


 アルベールとメイリンの二人は、エドガー達に見られていた。

 兄のそういった状況(じょうきょう)をまじまじと見たエミリアは、顔が真っ赤だ。


「サクラが元に戻って()ぐだよ……声かけても無視(むし)するから」


「わ、悪い。そ、それよりも……次はエドだぞ……分かってんのか!?」


 誤魔化(ごまか)すように、アルベールは舞台(ぶたい)を見る。

 メイリンは(うつむ)いて真っ赤になった顔を隠しているが、近くにいるローザやサクラにからかわれていた。

 次の試合の準備が進められる舞台上(ぶたいじょう)では、巨大な砂時計(すなどけい)を元に戻す騎士達。

 カリーナ・オベルシアの血溜(ちだ)まりを掃除(そうじ)している騎士達などが、せっせと仕事をしていた。


「……うん。分かってるよ」


 全て分かっている。

 どれだけ頑張っても、(たと)えエドガーが対戦相手を倒したとしても。

 【召喚師】であるエドガーの勝利は――絶対に(おとず)れないという事も。


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