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決意はしたけど我慢できなかったの

シリーズものの書き方これであってるんですかね?

機械音痴はこういうの調べてもわかんないからやだ。

稼ごうと強く決意した私がまず一番最初に考え、二人に言ったこと。それは、


「ねえ、ネル、ニル、川に行かない?」


体の汚れ落としたい。だった。



我慢できなかった。もう私はこの世界で十二年間生きてきて、お風呂というものなんて入ったことないなんていう前世では信じられないような人生を送ってきたけれど、前世の記憶を思い出したせいで、そっちに引っ張られてしまい、今の自分の、煤と泥だらけで、一日でかいた汗でべとべとしている状態の身体が耐えられなかったのだ。


生い茂る草木の影で服を脱ぎ、三人揃って川に入る。ニルは男の子だけれどそんなもの関係ない。流れてくる川の水をかけて浅瀬で二人の頭をごしごしと擦って洗ってあげる。こびりついた泥はなかなか落ちなかったけれど、念入りに何回も何回も繰り返せば綺麗な本来の色の亜麻色の髪になった。


「それじゃあ私が頭を洗っている間はこの布で体を洗っておいてね」


二人に家にあった布を渡し、自分の頭を洗うのに集中した。二人よりもひどい状態の髪は普段の仕事のせいだ。日雇いの仕事なんてろくでもない。煙突の煤掃除や、生ごみの処理、とにかく汚れるような仕事ばかりだ。


強固な汚れのせいで、私の髪の毛は一向に私の指を通そうとしない。むかつく。まるで頑固なおじちゃん相手に話をしているかのような気分だ。


なんかい指を通してもするりと流れることなく汚れの引っかかる髪にそろそろイライラしていると、ネルとニルがやってきて私の髪を洗うのを手伝い始めた。


「お姉ちゃんの髪、きれいだから私も洗う」

「ぜんぜん汚れ落ちないね」


小さな手が私の髪に指を通して一生懸命汚れを落とそうとしてくれる。髪を持ってくれていないので頭ごとひっぱられて少し痛い。


「二人とも、髪、抑えててくれないと痛いよ」

「おさえるってどういうこと?」

「お姉ちゃんいたいの?」


でも気持ちはありがたくて、くすぐったいような嬉しさに思わず笑いが零れた。


三人で奮闘することしばらく、ようやく全員で満足いくほどに汚れが落ち、私は久しぶりに自分の本当の髪の色を見た。体も洗って、すっかり冷えた体で川から出る。そして一応綺麗にしておいた布で体を拭い服を着た。夏とはいえ、夜の少し冷えた風が寒い。


「スース―する~」

「すずしいね」

「二人は強いね。私はちょっと寒いかな」


 ふるるっと身を震わせれば二人は丸い目をきょとんとさせて、お互いの目を見ると、思いついたように二人揃って私に抱き着いてきた。


 「うわあっ‼」

 「ぎゅーってしたらあったかいよ?」

 「あったかーい」

 「あはは、そうだね。ありがとう二人とも。あったかいよ」


 本当に、なんてこの子たちはいい子なんだろう。純粋で可愛い双子。二人の体を抱きしめて、離してもらうと手をつなぐ。そしてそのまま家に向かって歩き始めた。家に着くまでのその間、終始双子は楽しそうで、無邪気な笑顔でいた。ベンスが家にいた時の怯えきった表情なんかではない。


 「ネル、ニル」


 家にかえって、藁のうえに布が一枚かけられているだけの簡素なベッドで三人川の字で寝転がって、麻布を被ったとき、私は二人の名前を呼んだ。二人はにこやかな笑みで「なぁに?」と答えてくれる。


 頑張ろう。この笑顔を守るために。二人に苦しい生活をさせないために。あの父親と、縁を切るために。


 「ううん。何でもないの……ネル、ニル、愛してるわ」


 私の隣に寝ているニルの頭を撫で、ネルとはニルのお腹の上あたりで手をつなぐ。ニルが「ちょっと重いよ」と苦笑いで言っているのに笑っていると、ネルと目があった。目があった瞬間まるで花が綻ぶように破顔したネルはそのルビーのような赤い瞳で私とニルを見ていった。


 「わたしも‼お姉ちゃんもニルも愛してる‼」


 えへへと笑うネルにつられるように、ニルも少し恥ずかしそうにしながらも笑って、自分のお腹の上に置かれている私とネルの手を掴み


 「ぼくも‼お姉ちゃんとネルのこと、愛してるよ」


 と、アクアマリンの瞳を細めていった。その頬がほんのり赤いのが彼を男の子だという事を忘れさせるくらい可愛らしい。


 言い出したのは私だけれど、こうやって言われると少し恥ずかしいような、嬉しいような、くすぐったくてむずがゆい感じがする。


 「ふふっ、ありがとう。おやすみなさい」

 「「おやすみなさい」」


 川の字だった形はいつの間にかぎゅっぎゅと密着していた。


 

誤字、脱字とうあれば報告してくださると嬉しいです!!


お風呂入らない生活ってほんと絶対ありえないですよね……

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