二百六十四話 書きかけ
ユンのお母さんとお話をした。
ラビがお手紙もらってきた。
ユンが拐われた。
ゲルとは違うテント。
恐らくはチュンカの物だろう。
そこにユンとユンの前の騎士さまがいた。
いや、もう一人いるな。
たしかあの子は……。
「ねえ、やめてってば!」
「ええい、大人しくしろ。別にこの程度構わぬではないか」
「やだあ! もうやめてよう!」
無理やりユンに跨がろうとするユンの前騎士。
悲痛な叫びをあげるユン。
「やめーい!」
ズドン!
少し様子を見て飛び出すつもりだったか、堪らず俺はユンの前の騎士さまを翼で叩いてぶっ飛ばした。
「へぶん!」
ごろごろと地面に転がるそれを無視してユンに駆け寄る。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない! すごくカユい!」
「ああ、よしよし、たくさんかいてやる」
ばりばりばり……。
「なぜ貴様がここに!」
「なぜじゃないわ。こんなもん寄越してお前が呼び出したからだろう?」
「ん? ああ、そうだったか……?」
おいおい、しっかりしてくれよ。
「うむ。たしかにこれは余の字だな」
普段からこれなんかい。
なんだか冷静さを失っている
「なんでこんなことをしたんだ?」
「思いで作りだ。余は思い出がほしかった」
「すまん。打ち所が悪くておかしくなってしまったか」
「で、話ってなんなんだ?」
「余の馬を頼む……」
「いや、頼むってなんだよ。それになんでそんなに俺を睨むんだ」
「それについては」