確認作業再開-後-
《マスターリクエスト……認証……比較ステータス表示させます》
氏名:
年齢:20
種族:人族♂
生命力:280
魔力:150
力:90
体力:75
知力:40
器用度:45
敏捷度:12
表示されたステータスを見て、健三は思う。知力が自分より低いだけで他は軒並み高いぞ、しかも平均2~3倍は違ってるじゃないかと……
「この世界の人達は、こんなにも能力が高いのが普通なのか?」
当然、沸き起こる疑問を素直にぶつけてみた。
《マスターは、何か思い違いをしてらっしゃいませんか?》
システム88の答えに、憤りを感じる男。
《表示されているステータスは、この世界で【1次産業】に従事している人の平均値です……農業・漁業・林業・狩猟これらの仕事に従事して、毎日、朝から夕方まで体を使って働く人達と、スポーツを普段する訳でもなく、アルバイトで体を動かす訳でもなく、毎日毎日、大学と部屋を往復しているだけのマスターと、能力に差が生じるのは、当然の結果です》
システム88からの、容赦のカケラもない言葉を受け、男は、うなだれる。
「しかし……この手の現象の場合、大体のラノベでは、チートと呼べるような、歴然とした差が……」
《マスターご自身が、ありのままの能力でと望まれたと、私にはインプットされておりますが?》
《それと、今は紛れもない【現実】です、何ですか?ラノベだとかチートだとか、マスターはこれが、ゲームや小説での出来事と、お考えでしょうか》
完璧な答えだった……自分が確かに望んだ事でもあった、あったのだが、ラノベ等では、こんな展開にはならないと言う、多少の打算の気持ちあり、多くを望まなかった。完全に、裏目に出てしまったようだ。
「の…能力の差は、分かった……そ……それで、知力だけが高いのは、知識チートをやれって事だよな?」
男は、最後の希望である、知力の高さにすがる。知力は、この世界の人達と比べ、倍の数値もあるので、そう考える気持ちも分からなくはなかったのだが……
《知力が高いのは、この世界が日本と比べて、教育に対して後進だからに過ぎません》
《この世界でも、一応は義務教育と言うシステムがあり、日本と比較した時に、誰もが中学1年生程度の学力を有しています》
《この世界の人達は、老いも若きも、男性も女性も、簡単な計算能力と、読み書きの言語能力を持っています》
こんなはずでは無かったと言う思いが、どんどん強くなるが、男は最後の悪あがきをしようとする。
「中学1年生って事は、大学に通ってた俺には、学力のアドバンテージがある訳だ、この差を上手く活かせれば……」
《不可能だと断言いたします》
システム88の言葉を受け、訳が分からないまま、次の言葉を待つ男。
《マスターにお聞きしますが、ラノベ等でよくある知識チートの【火薬】の原料と配合比率は知っていますか?》
《【銃火器】等の構造は?【蒸気機関】の仕組みは?》
男は、最後の悪あがきも、しっかりと防御され、手痛いカウンターまで喰らい、何も言えなくなった……
男は思う……
(そこは、テンプレでもいいじゃん!)
と……