確認作業2話
【ステータス】
男が、頭の中に教えられたキーワードを思い浮かべると。
《キーワード確認……起動致します》
明らかに機械的な女性の声が聞こえた。
《個別ユーザー登録がされていません、この個体をユーザー登録いたしますか?》
自分に与えられた能力なのだから、当然の帰結として、男は自身の事が登録されるべき個体であると認識し、それを当然の如く考えた。
《個別ユーザー登録認証、この個体を登録いたします》
《私は、システム88、これからよろしくお願いいたしますマスター》
機械的な声だと思ったら、どうやら相手は何かしらのシステムだったらしい。
《マスターよりリクエスト……ステータス表示……認証……ステータスを表示いたします》
name:unknown
age:20
type:humanoid(M)
Hit Point:100
Magic Point:100
「ちょ……ちょっとタイム、えっと……システム88さんだっけ?」
「何で英語表記なの?いや…別にいいんだけど、出来たら見やすいように慣れた日本語表記でしてくれないかな?」
《マスターリクエスト……認証……これより日本語を標準言語に設定いたします》
氏名:不明
年齢:20
種族:人間♂(地球人)
生命力:100
魔力:100
力:30
体力:25
知力:80
器用度:15
敏捷度:8
【固有スキル】
意志疎通
ウィルス耐性LV.Max
病原菌耐性LV.Max
【保持スキル】
鑑定LV.Max
《ステータス表示完了、別途指示あるまで表示をキープいたします》
男は、次々と表示されていくステータスを食い入るように、心の目で見つめている。ある程度の時間、表示されたステータスを見ていた男は、色々と疑問も湧いてきた。
「システム88さん……質問したら答えてくれたりするのかな?」
《マスターリクエスト……認証……解、私に与えられた知識で答えられる質問に対しては、答えられます》
どこまでも、親切設計で出来たサポートを付けてくれてものだと、男は光の人型に、改めて感謝した。
「聞きたい事は色々とあるが、まずは、氏名が不明って何?」
《マスターから質問……受付完了……解、私はマスターの氏名を聞かされていない為、不明と表示しました》
《マスターの氏名を、教えていただければ、即座に変更は可能です》
システム88の答えを聞き男は、なるほど。と納得した。確かに男は、これまで光の人型からも氏名で呼ばれる事も無くまた、こちらから氏名を名乗るタイミングも無かった事に思い当たる。
「俺の名前は……」
男が自分の氏名を告げようと思った刹那、ふと思考が中断を要求してきた。
「そうだな……この世界で、名乗っておかしくはない、ありきたりの名前を教えてもらえるかい?」
男は、この先の人生が終わる日まで、この世界の中で生きていく事に思い当たり、普通に溶け込んで生活出来る為、この際、日本で名乗っていた氏名を変える事にした。
《マスターリクエスト……認証……解、分かりません》
男は、どんな氏名が飛び出すのか、秘かに楽しみにしていた。楽しみにしていただけに、システム88の回答に、思わず、コケそうになってしまった。
「いや……分からないってどういう事?」
《マスターからの質問……受付完了……解、私、システム88は、マスターがこの世界に転生するに当たり、マスターのサポートをする為だけの目的で、ゼロから新しく構築されたシステムです……マスターの今まで生きてきた地球の事などは、インプットされていますが、この世界の事は、何もインプットされていません》
システム88の答えを聞き、男は素直に思った……
(こいつひょっとしてポンコツ?)と。
この話数で、確認作業を終え、街に向かうはずでしたが、思いの外進みませんでした。




