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まさかのヒロインの姉が転生者とか 【転生者な姉を持つヒロインより】

最後に出てきた転生者目線

 「皇帝様と女帝様は本当にお似合いですわね」

 「ああ、華南様に踏まれたい」

 「華南様、岬様の前では恋する乙女で可愛い」

 「お二人のようになりたいですわ」

 「華南様のおかげで私たち特待生はなんて過ごしやすいのでしょうか。ああ、華南様は私たちの女神」

 私、河野麻美がイレギュラーである如月華南について聞き取り調査をした結果、そんな答えが返ってきた。

 ……私は転生者と呼ばれる者である。頭がおかしいわけではない。確かに前世の記憶が私にある。

 そしてこの世界が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界だと知った時はどうしようもないほど歓喜したものだ。生であの光景が見れるなんてっと。

 だけど、いざ、乙女ゲームの舞台に突撃というわけで三橋学園に入学してみて愕然とした。

 だってゲームと全然違った。

 というか、ヒロインが中等部から入学していて一匹狼の不良君ともう付き合っているとかも意味わからなかったけれどさ。一番意味がわからないのは、如月華南様だよ!

 ゲームで名前しか出てこなかったヒロインの姉君が何故学園に。あと女帝って何。そしてメインヒーローと付き合っているし、どういう事?

 あとさ、ゲームではヒロインの如月緋色が学園に入学した時、身分による差別とかすごく多くてそれを頑張って乗り越えていくって話なんだけどさ。

 今の学園そういうのないんだよね。寧ろ特待生にとって生活しやすい環境になっているっていうか。

 私も特待生でさ。そういうの大変だろうけど、でもゲームを生で見たいって思いで飛び込んできたから拍子抜けしちゃった。

 というか、本当女帝様なんなの?

 ゲームでそんな存在欠片もなかったよ? 私が知らない同人の世界か何か? とか困っていたら女帝様が接触してきた。

 「ねぇ、二人でお話しましょう?」

 正直青ざめた。入学した時に「えええええ、ヒロインが中等部から入学してもうくっついてるってなにそれ」って思わずヒロインちゃんの前で叫んじゃったんだよ! 女帝様シスコンだって噂だから怖くて。

 しかもね、女帝様大好きな周りが「貴方何したの?」「華南様の敵なら潰します」的な目を向けてて怖い。怖すぎる。

 私はどうなってしまうんだろうかっていう遠い目をしながら女帝様にドナドナされた先で、

 「貴方も転生者?」

 女帝様に穏やかな笑みで問いかけられて拍子抜けした。

 っていうか、貴方もって……。

 「女帝様も?」

 「ええ。というか、女帝様ってやめてよ。同じ転生者でしょう? もっと親しみを超えて、そうねぇ、華南先輩とでも呼んでくれればうれしいわ。ちょっとやりすぎちゃって先輩付け皆してくれないのよね」

 女帝様、凄く気さくな方だった。

 あと先輩呼ばわりされたいらしい。……それはそうだ。女帝様は正直気軽に話しかけていい存在ではないみたいな雰囲気があるもの。女帝様、女神様、華南様とか、そんな呼び方しか私自身聞いたことがない。

 「えっと、じゃあ華南先輩」

 「ふふふ、いいわね。先輩呼びってなんだかいいわね。今までされたことなかったけれどうれしいわ」

 「そ、それはよかったです。ところで、ゲームと違うのは華南先輩のせいなのでしょうか……?」

 「ああ。それはそうよ。私は前世から岬のこと本当に大好きだったの。この世界に転生したと知った時、何が何でも前世からの思い人である岬を手に入れて見せるって頑張ったの。お勉強を頑張って中等部に入学して岬に会えた時は本当にうれしくて、『貴方を私のものにするわ』って宣言したいのをうずうずしながらやめて……」

 「……華南先輩は、ゲームの皇帝と現実の皇帝をごちゃまぜにしていたりします?」

 「いいえ、確かに同じところはあるわ。でも乙女ゲームだったころと違ってこの世界では選択肢で全てが決まったりなんてしないもの。ふふ、心配してくれていたのよね? 私がゲームと現実をごちゃまぜにしていないか」

 ゲームの皇帝と、現実の皇帝。

 二次元と三次元の違い。ここが現実であるからこそ、違いはたくさんあるだろう。それをごちゃまぜしていたら……。

 ゲームでの認識のみを気にして、現実の皇帝を見なかったら。

 そう思って問いかけたけど、心配は杞憂だったようだ。

 「ゲームの岬より、現実の岬のほうがいいわ。もっともっと、好きになったもの。緋色のことだってそうよ。私は緋色に幸せになってほしいって思ったから、自分を磨きなさいって言ったの」

 「だから、ハイスペックなんですか」

 「ええ。だって乙女ゲームの攻略対象になるような優秀な男の子たちと緋色がたくさん会うのはわかっていたもの。緋色がどんな選択でもできるように、緋色に努力を促すのは当然でしょう?」

 穏やかに笑う華南先輩はおねえちゃんの顔をしていた。それは乙女ゲームのヒロインだからこそ如月緋色を機にかけているのではなく、ただの姉として帰任かけているというあかしだ。そのことに正直安心した。

 「そう、ですか。まぁ、私も正直乙女ゲームを見れないのは残念ですけど、ここは現実ですからそういうこともありますよね」

 「ふふ、岬と一匹狼君以外はまだ彼女もいないのよ? 気になる方がいるなら頑張ってみてもいいかも」

 「え。いやいや、私モブですからね? ヒロインとそのヒロインの姉ってわけではなく、完全モブ!」

 「関係ないわよ。緋色は彼氏いるし、乙女ゲームのようにはどうあがいてもならないし、気になる子がいるなら突っ込めばいいわ」

 なんだかそんな風に笑われたけど、前世でもイケメンなんぞとかかわったことがほとんどない私には難易度が高すぎることだった。

 だから無理ですーって否定したんだけど、なぜか偶然が重なって私が攻略対象とかかわってしまうのは別の話である。




 ---まさかのヒロインの姉が転生者とか。

 



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