表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

私はお姉様が大好きである。 【お姉様を糞野郎から引き離したいより】

お姉様を糞野郎から引き離したいの続きというか、物騒な妹の目線。

 「はっ、この程度で私のお姉様を亡き者にしようなんてお馬鹿な奴ね」

 リンカ・ラントです。現在私はお姉様を亡き者にしようとした不届き者を拘束しているの。ちなみに狙ってきた奴はお姉様の惚れている糞野郎のハーレムの一員の一人みたい。

 ふふふ、やはりハーレムなんてダメだと思うの。

 いやね、ちゃんと管理できているなら見直すかもだけど、お姉様に暗殺者を向けてくるとか全然何も管理できてないじゃん!! ってしか思えないよね? 本当なんなの? 私の大好きなお姉様を亡き者にしようとしているとか許されるわけがありえないよね。

 あんなに綺麗で優しいお姉様に好かれながら、俺は皆好きなんだとかふざけているよね? 〆ていい? ぶちのめしていい? 私すごっくハーレム野郎をフルボッコしたいよ?

 そんな感じで苛々しながらお姉様を狙ってきた暗殺者の顔を踏みつけている私である。超絶気持ち悪いんだけどさ。そうしたらなんか女王様を見るような目で見られた。実はよくあることだったりする。

 ちなみにお母様や私やお姉様を狙った暗殺者は私の下僕と化すまではいつも通りの事なんだよ。踏まれて気持ち悪そうな奴とか正直存在そのものが邪魔だよね。でも、使い勝手はいいから使ってあげているの。

 そんなわけでこの踏まれている暗殺者。

 隠している顔を曝け出させたら中々美少年だった。なんで暗殺者やっているんだ? 他にも色々な生き方を選べそうなのにっていうのが一番の感想。

 暗殺者の存在は後からお姉様に「こんなのが居たよ」っては伝えた。あの糞野郎のハーレムメンバーの一員が雇い主っぽいよっていったらお姉様が糞野郎から離れてくれないかなって期待していたけど離れてはくれないらしい。くっそ、そんなのにあの糞野郎が好きなのか、お姉様ぁああああ。

 ふんっ、お姉様がそんなに好きで仕方がないっていうなら無理やり引き離せないんだよ! お姉様には幸せになってほしい。自らハーレムの糞野郎から離れるように仕向けさせられたら一番いいんだけど。

 どうしよう?

 どうしたらお姉様はあの糞野郎から離れてくれるんだろうか。

 お姉様があの糞野郎のハーレムの一員とかおかしすぎる。許せない。私のお姉様は世界で一番可愛いといっても仕方がない存在だというのにそんなお姉様をその他と同一視するとか、あの糞野郎は頭がいかれているんじゃないだろうか。

 「お姉様、あきらめてほしいの!」

 「リンカが心配してくれていることはわかるけど、ごめんね?」

 あー!! お姉様が悲しそうな顔をしている。そんなしゅんとした顔されたら強く言えないんだよー。お姉様お姉様お姉様ぁあああ!! そんな顔しないでー!!

 「お姉様……そんなにあの糞野郎の事が好きですか」

 「糞野郎って………カイン様は本当にやさしい人なのよ?」

 優しいっていうならだれか一人を選べ馬鹿! っていいたいけどそれは我慢する。

 お姉様、優しくて綺麗で自慢のお姉様が、本当に幸せになれる道が私にとっての幸せなんだよ? お姉様、将来的にあの糞野郎と一緒に居て幸せを感じられるの? 嫉妬で狂ってしまったりしない? 辛いって感じたりしない? それとも辛さを感じたとしてもあの糞野郎の傍にいたら幸せの方が勝る?

 沢山、沢山お姉様に聞きたいことはある。だけど、お姉様にそんな一気に気持ちをぶつけてもお姉様は悲しそうな顔をしてしまうだろう。

 お姉様は父親のハーレムをずっと私と一緒で見てきた。

 ずっと見てきたのに、それでもあの糞野郎を好きだと私に言う。

 並大抵の思いではないだろう。それはわかっている。でも賛成出来ない。

 ずっと見てきたから。一夫多妻の醜さを、ドロドロとした生き様を。

 父は全然こりもせずに女遊びに勤しんでいる。女性の方から寄ってくるからかもしれないが、いくらなんでも女好きすぎる。あの糞野郎も来る者拒まず、去る者追わずな雰囲気があるからどんどんハーレムは増えるんじゃないか。

 そんな中でお姉様がないがしろにされていくかもしれないって思うと、本当に私は―――あの糞野郎をこの世から抹消したくなる。

 正直やろうと思えばできるのだ。あの油断しきった糞野郎を殺す事ぐらい。私自身で殺しにかかっても問題はない。それだけの技術は持っている。

 もしくは下僕たちに殺しにいかせるのもありだ。あいつらなら喜々として殺してくれるだろう。

 本当に、存在を抹消したい。あいつが居なくなればお姉様は――って思うけど、きっとそんなことをしたらお姉様はどうしようもなく悲しんでしまうだろう。

 それにもし私がやったのを知られてしまったらお姉様は、私を嫌いはしないだろうけど、悲しそうな目で見るだろう。お姉様は優しいから「私のためを思ったのよね?」って慈愛の女神如く笑ってくれるはずだ。しかし、それでもお姉様が悲しむというのは許せない。

 だから、殺すのは保留。

 本当に、殺さなければならないって我慢できなくなったら殺るかもしれないけれど、今は保留。

 まだ、しばらくは見守る。でも許せなくなったら殺しにかかるから―――そう思って私は口元を緩めた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ