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契約してからすぐのこと【ガラス職人の息子は初恋の王女様を守りますより】

本編始まる以前の話。

まだフィアしかいない段階のフィア目線

 俺の名前はフィア。

 誇り高い召喚獣の一種である《ファイヤーバード》である。

 異界で生まれ育った俺だが、現在は契約主がおり人間たちの暮らす世界へ顕現していることが多い。異界で人と契約をしているものたちからいくつか話を聞いていたが、こんなに長時間呼び出される話は聞いたことがなかった。

 そもそも普通はそんなことが出来ないのだ。

 しかし、俺の主はそれを簡単になしてしまう。それだけの力を所持している。

 本当に面白いと、俺は思わず笑い声を上げそうになるが心の中にとどめておく。

 何故なら目の前でのんびりとしている主の思い人―――ナディア様に悟られるわけにもいかないからだ。

 召喚獣は戦闘能力が高い存在だ。中にはそういう能力が低いものもいるが、それでも何かしらの能力には優れている。

 召喚獣と契約を果たす者は、何らかの目的があり、召喚獣と契約をし、行使する。

 ――――《ファイヤーバード》という種族は戦闘能力の高い種族である。炎を司る空を舞う者。それが、俺の一族。だからこそ俺たちが呼ばれるのは戦いの中が多いと、数少ない知り合いが言っていた。

 が、俺はそんなものとは関係のないことに主に使われている。

 俺にかせられていることは、主の思い人であるナディア様を守ることである。

 そもそも俺を呼び出し、契約をした理由がナディア様である。

 呼び出された時俺は驚いた。小さな子供だったから。この俺を呼び出したのがそんな存在で驚き戸惑ったのは当然である。次に主が驚くほどに魔法を使いこなすのにも驚いた。

 そして俺と契約する理由まで聞いて確信したことは、こいつ変だというそんなことである。

 というか変だろう? 面白いだろう?

 人の世の中の常識を知らない召喚獣である俺でさえおかしいと思うぐらい、色々ずれているのだ。寧ろ平然と自分は平凡だと言い放って、普通の中に紛れていることに俺は驚いたぐらいである。

 第一、召喚獣と契約した理由が初恋の王女様を守りたいからって。正直聞いたとき耳を疑った。今考えれば本当に主はずれすぎてて面白すぎるって思うけどさ。

 召喚獣に守らせなければ危険なほど初恋の王女様が危険な目にあっているのかと考えればそうでもないし。主の初恋の王女様はそれなりに危険だけど、正直召喚獣の護衛じゃなく、人の護衛でも守れそうなぐらいである。だというのに、ナディア様の周りの護衛はそれなりの危険さえも防げないほどしかいない。

 父親である王はナディア様をかわいがってはいるらしいが、結局ナディア様の立場は身分の低い者の腹から生まれた存在で、とるに取らない存在なのだ。

 ……なんていうか、俺の主である存在の思い人がそんな立場ってなんかやだなーってもやもやしたりもする。てか、主もあの年であれだけ魔法を使えたら普通に有名になれる。英雄として大成するとかもできそう。なのに無自覚とか。

 無自覚なのは面白いことだけど、俺の主すげぇんだぜって素直に自慢してまわりたいから有名にならないかなと期待していたりする。

 今は隠れていられるけれど、あんなに色々おかしい主がいつまでも隠れておけるとは俺は考えていない。無理だろう。なら、その時まで俺は主の召喚獣として隠れている主を見ながら面白がろうと思った。

 主は存在が面白い。行動も面白い。

 ナディア様が大好きすぎてみていて笑えてくる。

 他の人に対してなんでこんなに冷たいんだと思うほど興味ない癖に、ナディア様のことにはどうしようもないほどに関心がある。

 ナディア様ナディア様ナディア様ってそのことしか言っていない。

 俺はナディア様を守るために契約された召喚獣で、主のそばにいるよりナディア様の傍にいる方が多いという謎な状況になっている。で、時折王宮に忍び込んでくる主に色々報告したりする。

 ……俺以外の召喚獣とも契約してくれよと思う。ずっとナディア様に張り付きっぱなしっていうのもなーっていや、まぁいいんだけどな? でも召喚されっぱなしになるとは思っていなかった。主はどれだけ魔力量があるかまったく底が知れない。

 ナディア様は俺がじーっとみていることにも気づいていない。小型化している俺ってただの鳥にしか見えないし。でもあまりにもずっと周りにいたら色々なんだこいつって思われそうだ。

 ……つか、主は普通にナディア様と会えばいいと思うんだが。えらい存在になってナディア様とずっと一緒にいるとかそんな感じになれば一番良いと思う。なんで主は無自覚なんだろうか。

 俺は存在を気づかれてもまったく構わない。主の存在にまでナディア様が行き着いた方が色々と面白いことになりそうだからだ。

 ナディア様と主がともにいるようになったら今より断然面白くなるはずだ。とそんな未来を思って俺は心の中で笑った。




 そんな未来に到達するまで二年もかかることを俺は知らない。




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