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転生者とヒーローの関係【転生者と悪役令嬢の関係より】

リクエスト希望者が複数いたので、もう一本書いています。

 俺の名前は、フェイシス・ヒューズ。

 ヒューズ公爵家の長男として俺は生まれた。幼い頃からこういっては反感を買うかもしれないが、俺は何でもできた。正直昔の事を思えば、俺は何でもできて、そして周りから可愛がられている自覚もあって、周りを見下していた面もあった。

 ――――あいつに、イスカ・エマートルに会うまでは。

 当時九歳だった俺は、魔法をすぐ使えたし、基本的にどんな武器でも使えた。

 ある日、あいつが突然喧嘩を売ってきた。なんか勝負しろって。最初は意味がわからなかったが、あのエマートル家の三男の噂は聞いた事はあった。王家からも信頼の厚い騎士の家系で、それでいて、エマートル家の三男は昔から自分を磨いていて強いと噂だった。

 最初の戦いでは、俺が勝った。

 それであいつは凄い悔しそうな顔をして、「覚えてろよ! 次はかつ!!」なんて言って去って行ったわけだが、俺は俺で冷や汗をかいていた。あいつは強かったのだ。俺が、少しでも油断すれば負けるぐらいに。

 無意識に周りを見下していた俺にとっての衝撃は、凄かった。

 今までなんとなくでもなんでもできた。だけど、あいつが現れてから、俺はまじめに魔法や武器の鍛錬をするようになった。なんでも使えるけれど、剣に絞ったのは、あいつが剣を使っていたからっていうただ単純な理由で、母上はそれに「子供らしいフェイが見れて嬉しいわ」と喜んでいた。

 それから俺とあいつは時間さえあれば競い合っていて、でも十歳以下の大会では俺はあいつに負けた。あいつが優勝、俺が準優勝。

 で、あいつはそこでミシュカンダル公爵家の悪魔と知り合いだという素振りを見せた。

 黒髪を持つ、不吉な存在だと噂されている少女だ。

 ……その少女に手を振るあいつは、どうしようもなく嬉しそうな顔をしていて、正直驚いた。

 「……イスカ、知り合いか?」

 「前に教会であった。可愛いだろー?」

 そんな言葉に驚いて、正直あいつにとって少女は特別なことが気に食わなかったというか……。俺にとってイスカは親友のような位置付になっていて、そのイスカの特別な存在を俺が知らないのが気に食わなかったというか…。多分言ってほしかったのだ。

 それで……あれだ、思わず口にしてしまったのだ。

 「惚れてるのか? 悪趣味だな。あんな黒髪の――」

 と、思ってもないことを。そしたらイスカはそれはもう恐ろしい顔をした。

 「今度同じ事を言ってみろ。お前とは喜んで縁を切ってやる」

 「……す、すまんっ!」

 あいつの目は本気だった。

 それから、イスカはエミリア・ミシュカンダルと婚約をした。イスカには沢山婚約の話が来ていただろうに、あえてエミリア・ミシュカンダルを選んだのだ。

 そしてまぁ、俺もイスカの婚約者には会ったのだが、あいつ、エミリアに本当にべたぼれだった。

 「ほら、フェイ、これが俺のエミリア。可愛いだろう?」

 「……イ、イスカ。何を言って」

 「本当の事だし。ほら、照れてるエミリア可愛いだろう?」

 ………こいつは本当に俺と同じ年なのだろうか? と正直思った。一心に愛情を注いでいる様子にそんなことを思った。

 十二歳で同棲して、15歳から通う学園に入学する前に結婚と出産までして…イスカに呆れた。結婚がはやい貴族も多いけれど、学園に入学する前にもう子供いるとか、普通ではない。

 エミリアが黒髪だからって理由で、いちゃもんをつけてくる連中もいたがイスカが全部どうにかしていた。

 ……イスカは、友人が沢山いた。人付き合いが得意だというべきか、敵を作らない人間だった。

 俺の周りもイスカの影響で人が多くなっていた。友人も結構いる。

 ただ嫌なのは、俺に婚約者がいないからと迫ってくる令嬢たちか。イスカは結婚してても迫らせて大変そうだが、イスカとエミリアは本当に仲が良くて、それを見た大半はイスカへの告白をあきらめる。というか、別れさせようという動きがなく、「イスカ様とエミリア様はお似合い」と認めさせているところが、イスカの凄いところだ。

 まぁ、そんな感じで楽しく学園生活を送っていたのだが(令嬢たちだけ困ったが)、二年に上がった時、エミリアの義妹が入学してきた。

 ………リンカ・ミシュカンダルは、はじめてあったが、面白いというか、ずれているというか……。

 イスカに「お嫁さんにしてください」、「第二夫人になりたい」と特攻したのだ。いやな、確かに王族貴族は愛妾をもったりもする。女にだらしない大貴族なんて正妻と五人の妻だけではなく、多くの愛妾がいたっていう話だが。

 イスカは、エミリア以外興味ないだろう。義妹にばっさり「俺にはエミリアだけでいい」って言ってたし。

 まぁ、その関係でリンカと俺は交流を持った。

 リンカ・ミシュカンダルは……イスカの第二夫人になりたいとかいっている変な奴だけど、悪い奴ではなかった。寧ろ、何でイスカの第二夫人になりたいのかって聞くと、ふーんって思って、興味を持った。

 それで、交流していくうちに俺はリンカを好きになってしまっていたわけだが……。リンカはイスカのお嫁さんになりたいらしいし、どうするかと悩んで、悩んで、そして俺はイスカに相談した。……イスカ以外にも友人はいるけれど、一番本音を話せるのはやっぱりイスカなのだ。

 イスカは俺の言葉に、

 「……ヒロインはヒーローとくっつく運命なのか。まぁ、いいや、協力する。リンカもいい男が見つかればあきらめるっていってたし、お前のかっこよさをもってすれば大丈夫だろう」

 といった。

 最初の台詞は意味がわからなかったが、手伝ってくれるなら助かる。

 そしてイスカとエミリアに応援されながらがんばって、俺はリンカと婚約した。

 改めて思うと、俺はイスカに多大な影響を与えられている。イスカが居たから俺は周りを見下さなくなった。イスカが居たから俺は友人が出来たと思う。イスカが居たから俺は鍛錬をまじめにやるようになった。イスカがいたからリンカと出会った。

 …本当に俺はイスカに感謝をしてもしきれない。

 「イスカ、いつもありがとな」

 って素直に口にしたらイスカは照れていた。





 

 ―――転生者とヒーローの関係

 (ヒーローはそしてヒロインとくっつきました)




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