勉強会の日常風景
私の目の前で争う2人。
「シャロンは俺と結婚するんだ!!」
「違う!結婚するのは僕だ!」
どうやら私は今、モテ期というやつらしい。
「じゃあ、どっちがシャロンにふさわしいか勝負だ!!」
「受けてたつ!!」
私をめぐって争いあう。
そんな2人を私は止めることも出来ずに見つめるだけ。
「先に木のてっぺんに着いた方が勝ちだからな!」
「おう!!」
「ちょっと待ちなさい。」
それが幼児相手でなければ、どんなに素敵なロマンスだろうか・・・。
「この木は高いから危ないでしょ!こっちの木にしなさい!!」
勝負に選ばれた木はなかなか高さのある木だった。
対して指定した木は幹は太いが低めの木であり、地面も芝生で覆われているので万が一落ちても、芝生がクッションの役割をしてくれるだろう。
まぁ、落ちたらすかさず受け止める気ではいるが・・・。
そんな私の気遣いが無駄になるほど、幼児達はさくさくと木に登り、するするっと降りてきて勝敗はあっさり決まった。
「シャロンは僕と結婚するんだ!!」
「・・・・・ぐすぐすっ。」
1人は頬を上気させ晴れやかに駆け寄ってきて、もう1人は鼻をすすりうつむきながら歩いてくる。
怪我がなくて何よりだが、この後はどうしたらいいのだろう・・・。
「えーっと、2人の気持ちは嬉しいのだけど・・・。私と貴方達とは年が離れているでしょ?だから結婚は出来ないわ。」
『年なんて関係ない!!』
「でもね、貴方達が結婚できる頃には私はもうおばさんよ?」
『それでもシャロンは可愛いから大丈夫!!』
・・・どこでそんなセリフを覚えてくるんだろうか。不覚にもちょっと、ときめいてしまったではないか。
「・・・ごめんなさい。それでも私は貴方達のどちらかを選ぶことは出来ないわ。結婚は出来ません。」
とゆうか、まだ付き合ってもいないのに結婚とか子供って極端なんだから。
「ほら、休憩時間は終わりよ。書き取りの練習をしましょう。」
元気がなく落ち込んだ様子に可哀想な事をしたかと心が痛んだが、いくら子供でも真剣な思いに正面から返事をした私は間違ってないはずだ。
と言い訳をして落胆した様子の2人を促して、教会の中に戻り勉強の続きを再開させた。
周りの子供達も2人を心配して慰めているから大丈夫だろう。
「大丈夫よ。女の人はシャロンお姉ちゃんだけじゃないわ。」
「そうよ。2人にはまだ大人の女だっただけよ。」
・・・君たちはいったい何歳なんだい。実は転生者だったりするんだろうか・・・?
その後、本日の勉強会が終わり帰る頃には私に求婚した2人が別の幼女とそれぞれ手を繋いで楽しそうに帰って行った。
それを見て、子供の心変わりの早さと最近の幼女の女子力の高さが恐ろしくなった私だった。