季節は巡る
あけましておめでとうございます。目標としていた年内完結は出来ませんでしたが、もう少しお付き合い願います。
それから、寒さが本格的に訪れる季節に入ると流行り病は猛威を振るった。
老人や子供を中心として、多くの民の命が失われた。
だが、事前に行っていた対策が功を奏して、他国の症例と比べて被害は最小限に抑えられた。
ロードとカリカもピアを支え、日々の政務に励んでいた。
そうして、冬が過ぎて春も終わりに差し掛かっていた。
政務室の窓から見える薄紅色の花も残り少なく、花の間から若葉が覗いていた。
「そろそろ花も終わりのようですね。」
「ああ、今年も見事に咲いて美しかったのに残念だ。」
今日の政務も一段落着き、ロードと窓の外に目を向けていた時、ドアを叩く音が響きカリカが入室してきた。
「カリカ?どうかしましたか?」
ロードはいつもより表情が硬いカリカに心配を含ませた声をかけた。
「・・・・殿下。カーライル嬢が・・・亡くなった。」
「っ!?どういうことですか!?」
「3日前に流行り病で、だそうだ。先程、街の共同墓地に葬られたと・・・。」
報告によると、シャロンはずっと治療院で流行り病の患者の世話をしており、そこで感染した可能性が高いと。
「・・・そう、か。」
「殿下・・・。」
それきりピアは言葉を発することなく、窓の外を眺めたまま立ち尽くしていた。




