表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4度目の正直  作者: 冬真
31/40

2人の距離

椅子の倒れる音がして、床に倒れ込むようにシャロンの体を引き寄せた。

腕の中ではシャロンが距離を取ろうともがいている。

シャロンが唇を食いしばり、泣くのを耐えている姿を目にして衝動的に抱きしめてしまった。

拒絶されているのは分かっていたが、それでも離れたくなくて腕にさらに力を込めて、シャロンを抱きこんだ。

「殿下っ!」

シャロンの焦った声が耳元で聞こえる。

抱きしめた体は見た目と違わず細く、以前よりも少し痩せてており心が痛んだ。

「離し―――――」

「すまない。」

ピアの言葉にシャロンの動きが止まった。

「いつも、辛い時に側に居られなくて、本当にすまない。」


昔から、近くて遠かった。


ピアが知るシャロンは強い棘を纏った美しい薔薇にも似た姿だった。

どんな状況でも冷静で、感情を荒げた所を見たことはない。

幼い頃に1度だけ泣いてる姿を見たことがあったが、あの時も、人気のない庭園の端で1人で静かに泣いていた。

泣き声も漏らさず、立ち尽くして涙を流していた。

眉間に皺を寄せて、今の様に唇を食いしばって辛いのを我慢するように。

その時は泣いてる姿に驚いて、固まってしまい、ただシャロンが立ち去るまで見つからない様に隠れて見ているだけだった。

きっと、いつもひたすら苦しみや悲しみに耐えて、何処かでああやって泣いているのだろうか。

「せめて、今は君の近くに居させて欲しい。」

大人しく腕の中にいるシャロンをピアはさらに強く抱きしめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ