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4度目の正直  作者: 冬真
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ピアの心情

ラストまであと少し、もう少しお付き合いください。

流行り病に対しての民への注意喚起にも目途が立った。

調査や政令整備に追われ、気が付けばひと月が経過していた。

爆発的な患者の増加は見られないが、油断は出来ない。

シャロンへの報告もかねて教会へと向かうため、ピアは外出の支度を終え、城門へと向かっていた。

その道中、廊下を曲がるとミルトニアの姿があった。

ピアが来るのを待っていた様子だった。

「殿下!!」

ミルトニアは、ピアの姿に気づくと慌てて駆け寄ってくる。

「殿下、最近とてもお忙しいとお聞きして・・・。体調を崩されてはいないか気になっていました。」

「ああ、すまなかった。この通り元気だよ、ありがとう。」

微笑むピアにミルトニアは体の力を抜いて、息を吐く。

「良かったです。殿下を訪ねても会えなくて・・・、心配で・・・、寂しかったです。」

「・・・・・そうか。」

「でも・・・、また一緒にお茶を飲んだり、お話ししてくださいますか?」

「・・・・ああ、近い内に機会を作ろう。」

ミルトニアに微笑んで答えて、ピアは歩き出す。

「殿下・・。今からどちらに行かれるのですか?」

ミルトニアの声にピアは足を止め振り向く。

「・・・・街に視察に下りるつもりだ。」

「わ、私もお供しては行けませんか?久しぶりに殿下と歩きたいです。」

ミルトニアが何かしたいと言ってくることは滅多にない。

いつもピアが提案をして、それに素直に従う彼女にしては珍しい。

叶えてあげたいが、それだとシャロンに会うことが難しくなる。

「すまないが、今日は連れていけない。それに、病が流行している中でミルトニアを連れて行って、ミルトニアが病に倒れでもしたら大変だ。もう少し経ってから出かけよう。」

迷ったのは一瞬で、気が付けば断りの言葉が出ていた。

再び歩き出そうと前を向くと手が引かれ、振り返るとミルトニアがピアの手を両手で包み引き留められた。

「私は・・・・・。」

「・・・ミルトニア。」

「・・・・私は、殿下をお慕いしています。ずっと一緒に居たい・・・、誰よりもお側でお仕えしたいです。」

空色の瞳からは涙がこぼれ、繋がれた手から震えているのが分かった。

「・・・君の気持ちは嬉しいよ。」

「・・・・っ!!」

「ただ・・・、私に同じ気持ちが君に返せるか考えさせてほしい。」

「・・・・・・・・・・・はい。」

ピアはミルトニアの手をそっと解くと、城門へと向かって歩き出した。

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