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4度目の正直  作者: 冬真
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日常

「これいじょう、かれにちかづくのはやめて!」

「待ってくれ。彼女は悪くない、悪いのは私なんだ。」

「ちがうわ!あなたはわるくない!あなたのやさしさをわたしがカンチガイしてしまったのがいけないの!」

「いや・・・、私が彼女への気持ちを抑えられなかった。私のせいだ。」

「このっ・・・ドロボウネコ!トモダチだってしんじてたのに!」


1人の男に2人の女。


気持ちの良いほど真っ青な空の下で繰り広げられる愛憎の物語。

友情と愛情が絡まり縺れ合う。

互いに惹かれあう運命が周りを傷つけていく。


幸せの終着点は果たしてどこにあるのだろうか――――。



子供の観察力には驚かされる。

どこであのような修羅場を目撃したのだろうか。

再現する演技力からも実際の現場の凄まじさが伝わってくる。

(おままごとってこんなモノだったかしら・・・。)

シャロンは幼少期から貴族教育を徹底されていた為、おままごとする機会には恵まれなかったが、これがおままごとの普通なんだろうか。

シャロンは教会の庭にある椅子に腰掛け、現実を追求したおままごとを眺めていた。

しばらくすると、一段落ついたらしく子供たちはまた他の遊びを始めだした。

「どうにか上手く出来ていただろうか?」

「はい、最初より大分上手になっていますよ。」

「そうか、それは嬉しいな。」

おままごとを終えて子供たちに目を向けながら、皇太子は言葉どおり嬉しそうに笑った。

(まさか『皇太子様』が子供のおままごとに参加するなんて・・・。)

治療院での再会で居場所が知られてしまった為、咎めがあるかと覚悟していたシャロンだったが、そんなこともなく。

変わった事といえば、度々、皇太子が教会へ訪れるようになっている事ぐらいだ。

先ほどのように子供たちに混ざって遊び、勉強を教える事も手伝ってくれている。

子供たちも遊び相手と先生がもう1人増えて嬉しそうだ。

ただ、皇太子の身分を明かす事は出来ないので、教会のシスターや子供たちには以前に仕事をしていたお屋敷の方と話してある。

「殿下」と呼ぶことも出来ないず、名前の「ピア様」と呼ぶことにもしている。

皇族は民の前に出ることが殆ど無く、顔を知られていないことが幸いして、今の所隠し通せている。

「そろそろ、学問の時間じゃないか?」

ピアに言われて時計を確認すると、休憩も終わる時間だった。

「ピア様のお時間はいかがですか?」

「学問が終わるまでは居られるよ。」

「そうですか、子供たちも喜びます。」

シャロンは子供たちに声を掛け、教会の中に入るように促す。

「シャロンお姉ちゃん!あのお話して~。」

「前も同じ話じゃなかった?」

「え~、だって面白いんだもん。」

「そう?なら良いけど・・・。」

子供たちと楽しそうに笑うシャロンを見て、ピアにも自然と笑みが浮かんでいた。

「ピアお兄ちゃん!早く、行こう!」

子供たちに急かされ、ピアもシャロンと子供たちの輪の中へ入っていった。

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