平民な日常
久しぶりの更新です~。
朝起きて、朝食を食べ、家事をこなし、仕事へ出る。
仕事が終われば、教会へ向かい子供達に勉強を教える。
そして家に帰り、夕食を用意し、残った家事をして眠る。
毎日同じ事を繰り返しなのに、毎日がとても楽しくて、朝起きる度にワクワクする。
身の回りの事は全て誰かがしてくれて、何不自由なく暮らしていた『貴族の私』だった時は、毎日似たような日々にうんざりしていたのに。
確かに、最近ではベッドに入ると深い闇に落ちて夢も見れない程、くたくたに疲れる日も多い。
それでも、『平民の私』の世界はキラキラ輝いている。
「こんにちわ~。」
「シャロンお姉ちゃん!!」
「来るの遅いよ~!」
「今日は何して遊ぶ!?」
教会の扉をあけると子供達に取り囲まれる。
「遅くなってごめんね。でも、お土産があるのよ?」
手に持っていた袋を広げると、子供たちが中をのぞき込む。
「わぁ!!りんごだ!!」
「真っ赤だね!」
「果物屋さんから頂いたの。あとで皆で食べようね。」
教会に向かいう途中で、「傷が付いて売り物にならないから子供達と食べなさい」と貰ったリンゴを見せると子供達は喜んでいる。
私が教会で子供達に勉強を教えている事を知っている町の人たちは、子供たちのおやつにと色々分けてくれる。
自分達の生活だけでも大変なのに、とても有難いことだ。
「今度、果物屋さんにみんなでありがとうって言いに行きましょうか。」
『はーい!』
声をそろえて大きな声のいい返事が返ってきた。
「シャロンお姉ちゃん!果物屋さんって、男!?女!?」
「年はいくつくらい!?」
男の子2人が駆け寄ってくるなり、質問をしてくる。
「ん?男の人よ。年はそうね・・・私よりは少し上かもしれないわね。優しそうなお兄さんだったわよ。」
『!!!!!!』
「だ、ダメだよ!!きっとソイツはシャロンお姉ちゃんの事が好きなんだ!ダメだからね!」
「そうだよ!リンゴでカイジュウしようとしているんだ!気を付けなきゃあぶないよ!!」
答えを聞いた2人はすごく慌てているようだった。
「2人とも果物屋さんに失礼よ。せっかく善意の気持ちでくれたのに。」
「きっとシタゴコロがあるんだよ!!・・・・それとも、シャロンお姉ちゃんはソイツのことが好きなの!?」
「っ!?そうなの!?」
「・・・・・下心なんてあるわけないでしょ。それに、私は果物屋さんはいい人で好きよ。ほら、皆もそろそろお勉強始めるわよ。」
2人の背中を押して、勉強の準備をするように促すと2人はしぶしぶ皆の輪の中へ戻っていった。
『下心』なんて言葉何処から覚えてくるのだろうか。
「あの2人ったら、この前の木登り対決で、お姉ちゃんにフラれたの忘れたのかしら。」
「ああいいうのを『ミレンがましい』って言うらしいわよ。それに『ミグルシイ』んだって。」
「へー、そうなんだ。・・・でも、シャロンお姉ちゃんってドンカンよね。」
「えーと、、果物屋さんに、お酒屋さん、本屋さん、この前は郵便屋さんだっけ?」
「うん、船乗りさんも居たよね。船が出るからシャロンお姉ちゃんと会えなくなるって、船乗りさんすごく泣いてたよね。」
「それなのに、お姉ちゃん全然気が付かないんだもんな~。」
「シャロンお姉ちゃん、皆に優しいから誰でも好きになっちゃうよ。」
「それに美人だしね~。」
『男ってバカね~。』
「?どうしたの?」
後ろを振り返ると、女の子達が立ち止まって何か話している様子だったので声をかけた。
「ううん!何でもない!」
「早く行こう、お姉ちゃん!」
走り寄ってきた女の子達は私の手を取り軽く引っ張った。
「何を楽しそうに話していたの?」
「うーん、そうだな~。みんなシャロンお姉ちゃんが好きって話かな?」
何故、疑問形の答えなのかは分からないが、子供達に好きと言われたことは嬉しかったので「ありがとう」と返しておいた。