size1 ちょっと待ってっ ありえないっ!
楽しいかどうかわかりませんが・・・・・ わかりにくかったらスミマセヌっ。では、本編へ
明るい日差しの差し込む天窓。
私はテーブルの上にある番茶の湯気と一緒に、晴れた狭い空を眺めていた。
皮で出来ている象牙色のソファは、はっきり言って臭い、臭すぎるっ・・・・・。
そう、私は今訪問者としてこの趣味の悪いソファに座っているのだ。私=天津 葉耶はN県に住む二十三歳。
今から、四ヶ月前に大学を卒業したばかりの新社会人。
不況のおかげで、まともな職にありつけないで実家で家事手伝いとバイトをこなし、日々を過ごすごく普通の女である。
まぁ、人と少し違っている所は・・・・これは後で話そうかな。
私はそっと立ち上がって、黒電話の置いてある家具に指を滑らせた。
・・・・どうやったらこんなに埃がたまるのよ。
大体、部屋の隅には蜘蛛の巣がかかってるし、最初に訪ねてきて入ると、勝手に入ったのになぜかお茶がテーブルにのっかってるし。
私はため息をついた。
謎だらけだわ、さすが。
『探偵事務所』なんて怪しい商売はこれくらいスリリングでなきゃね。
─── 多少は想像と違ったけど。
床は磨かれていて、電話には最新機種の機能と逆探知機。
眼鏡をかけた美人秘書が紅茶を持ってきて、ケーキは銀座の有名なモンブラン。
紅茶を飲んでいると、ドアの音。
振り向いた先には顔立ちが凛々しく、ガタイのしっかりした好青年が・・・・。
ガチャリ
想像の世界からドアの開く音で呼び戻され、顔を勢いよくあげた。
「アンタが依頼人か?」
目の前に立っていた男は・・・・ぶっちゃけた話、想像とは正反対だった。
麦わら帽子に、アロハシャツ。
身長は、有に170は超えている。
無精髭はまばらに顔を覆ってて、一世代古いサングラスをかけ、なぜかはいているのは黒のスラックス。
なんなの、この男・・・・。
って言うか、このファッションかなりありえないっ。
呆れた私の顔は相当ヤバかったのか、その男は笑った。・・・・と、いうか吹いた。
「ははっ!なんだ、その顔は」
「はっ?」
「アンタ、依頼人なのかって聞いてるだろ?ちゃんと言葉を返せ」
巧く何かが考えられなくて、文句を言われているにも関わらず、私にしては言い返すことが出来なかった。
そうして私は呆然と突っ立ったまま、その男を見つめ続けた。
そんな私を見てその男は、ポリポリと頭をかき、一人用のソファに座った。
「そんなに見つめられてもなぁ・・・・女性に見つめられるなんて機会にそんな恵まれないんで、そんな凝視されても困るんだが。とにかく、座ってもらえないか」
私ははっとし、イスに静かに座った。
しばらく経ち、ようやく頭が回ってきた私は上目遣いでその男に話しかけた。
「貴方が・・・・過去の事件を解き明かしてくれるっていう追憶探偵?」
「・・・・人はそう呼ぶらしいな」
ニッと笑った男の口は三日月のように踊った