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いち行でひとを殺すことば

作者: 中川京人

いち行でひとを殺すことばがあるという



ああそれは呪文のことですと 暗闇から声がした

古よりいくつか伝わります とても全部はお見せできませんがね

立ち去れ 袋をかぶった者

匿名のおまえたちは

おまえたちの日用品がそう呼ばれることに期待しただけだ



いち行でひとを殺すことばはあるのか

ありますとも 忘れているだけですと ドアが開いて澄んだ瞳が語る

ひとはみな それを聞いて生まれてくるのです だからみな 死ぬ運命なのです

立ち去れ 三百代言

わたしはおまえの手には負えない



いち行でひとを殺すことばとは何なのか

痴れ者が立ち上がって言う

それはね いち行といっても 四億文字くらいあるんですよきっと

読んでいるうちに死んでしまいますよきっと



いち行でひとを殺すことばはどこにある

あなたそれはいけませんと 美しいひとがため息をつく

そんなものを探してはいけません わたしたちは ひとを生かすことばを知るべきです

地雷で枕の代用なんてできませんもの



いち行でひとを殺すことばを捜しているんですか

律儀な人物がささやく

それはあなたの中にあります

わたしに教えていただければ

そのひとは来週のうちには死にます



いち行でひとを殺すことばはないのか

もちろんあると 詩人がうめく

わたしの詩の中にある 人には見せられない



詩人よ あなたの言うことが信じられない

似たことばが この世に出ないということも


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