第74話 旅の仲間はお友達/天真乱舞
-旅の仲間はお友達-
あたしは今、いつになく機嫌がいい。
アルマグリッド武芸大会の全日程が終了し、今日は表彰式の日。
ヴァリスは人間のそんな式典になんか出たくないと言ってさんざん駄々をこねたけれど、負けた人たちのことを考えれば辞退するなんてとんでもないと皆に諭されて、しぶしぶ参加することになった。
そんな嫌々ながらに出ていた式典だったにもかかわらず、エリオットくんと並んで表彰を受ける彼の姿はすごく颯爽としていて、会場のみんなの注目を集めまくりだった。
もちろん、Cランクのぽっと出の冒険者でありながら、これまで三年連続武芸大会優勝のエリオットくんと引き分けたというのも大きいんだろうけど、それだけじゃなく、ヴァリスって自然体でも気品があるというか、何をやってもさまになるんだよね。
会場中の女性たちに溜め息をつかせていたその姿を思い出して、あたしはにんまりと笑みを浮かべる。
「いつまでにやにやしてるのよ、アリシア。気持ち悪いわね」
「えー? いいでしょ、別に」
ガアラムさんの工房に戻ったあたしたちは、受賞を終えたヴァリスとエリオットくんを囲んで、ささやかなお食事会の最中だった。うん。数日前にも誕生日パーティーをしたばっかりだけど、何回やってもこういうのはいいよね。
「でも、ルシアとシャルは残念だったね。あのまま参加していれば、間違いなく優勝だったろうに」
エリオットくんは、器用な手つきで料理を取り分けながら、そんなことを言い出した。
「いや、まあ、俺もああいう式典みたいなのは苦手だし、ちょうどよかったんじゃないか? だいたい、俺らまで賞金もらってたら独占もいいとこだぜ」
確かにルシアくんの言うことも、もっともだった。今回、ヴァリスとエリオットくんが同時優勝したせいで、二人は優勝賞金と準優勝賞金を足して2で割った金額(二億ガルドずつ!)をそれぞれもらったんだけど……。
「うん。エリオットもこのパーティに参加する以上、資金的には十分すぎるものがあるわけだしな」
そう、エイミアの言うとおり、あたしたちのパーティは、恐ろしいことに『魔神殺しの聖女』と『最強の傭兵』を新規メンバーに加えることになったのでした。
エイミアはともかく、エリオットくんまでとは思わなかったけれど、心強い仲間には違いない。
「でも、ほんとにいいのかしら? わたしたちといるということは、この前みたいな事件に巻き込まれる可能性が高いということよ?」
「シリル。その話ならもう何度もしただろう? 君たちといれば、『ルギュオ・ヴァレスト』の真実に近づける。……それに、僕はエイミアさんと、その、冒険者を一緒にできれば、それでいいんだから」
「あはは。嬉しいことを言ってくれる。わたしもエリオットとパーティが組めるなんて夢にも思わなかったからな。大歓迎だ」
エリオットくんとしては相当の勇気を振り絞っての発言だったはずなのに、エイミアってば本当にあっけらかんとしていて、ちょっとだけ彼が気の毒になる。
「そう……。確かに二人がいてくれたらすごく心強いことは確かだし、二人がそれでいいならわたしとしても大歓迎だけどね」
ほんとにシリルちゃんってば、素直になったなあと思う。ルシアくんとの夜間デートの後、さらに物腰が柔らかくなったんじゃないかな?
「でも、明日にはもう出発するだなんて、急な話だねえ。僕としてはもう少し残ってくれたほうが嬉しいぐらいなんだけどな」
「うむ。わしらに遠慮する必要ならないぞ。最近、お主たちのおかげで【魔法具】製作の依頼が多くなって、ありがたいぐらいなんじゃからな」
ハンスさんとガアラムさん。二人には本当にお世話になった。ハンスさんには、ちょっと困らされたこともあったけどね。
「そんなんじゃないわ。今回は【フロンティア】に行って戻ってくるだけだし」
「それもじゃが、『天嶮の迷宮』じゃろう? このメンバーで万が一があるとも思わんが、もし、『光剛結晶』のことを気にしておるなら……」
そう、シャルちゃんの『差し招く未来の霊剣』をつくるのに、ガアラムさんはサービスですごく高価な材料を使ってくれた。そしてそれは、『天嶮の迷宮』でしか採取できない超貴重品だった。
「違うって言ったでしょう? それはついでよ。本当の目的は他にあるから、それこそ気にしないでよ」
シリルちゃんはその本当の目的、というのをまだ話してくれていない。口で説明するのが難しいからだということだけど、なんだか『決意』みたいなものが見え隠れしているから、相当重要なことなんだと思う。
「ガアラムさん、ハンスさん。シャルに素敵な剣をくれて、本当にありがとうございます。シリルお姉ちゃんはこう言っているけれど、やっぱり恩返しも、ちゃんとさせてください」
「…………」
その言葉に、ガアラムさんとハンスさんがぴたりと黙る。
……うわあ、この二人、表情には出していないけれど、物凄く感動してる。人の言葉で人がここまで感動している姿、あたし、はじめて見ちゃったかも。
「ああ、シャルちゃん! ほんとに君って、なんていい子なんだ!」
「ふーむ。まあ、そう言われては仕方ないのう。とにかく、あそこは特に危険な【フロンティア】じゃ。気をつけて行ってくるのじゃぞ?」
「はい!」
そして翌日。あたしたちは旅支度を済ませると、早速『天嶮の迷宮』へと出発した。
そんなに遠くにあるわけでもないし、急ぐ旅だというわけでもない。なにより、これから【フロンティア】に挑むというのに、7人になったメンバーを乗せて飛んだりしたらシリルちゃんの【魔力】がもったいない。ということで『ファルーク』ちゃんには乗らずに歩いて向かうことなった。
──その道すがら。
「なあ、そういえば『天嶮の迷宮』って、どんなところなんだ?」
草もまばらで、小さい低木が少し見える以外はごつごつとした岩がむき出しになった平原地帯。そんな景色をなんとはなし眺めながら歩いていたら、ルシアくんがそんな疑問を口にした。
「もう、前にも言ったでしょう? 峻険な山岳地帯の【フロンティア】で、これまで開拓されたのは数十年前の一度きり。ある意味【フロンティア】の中では最高難度を誇る場所の一つよ」
シリルちゃんは呆れたように返事をするけれど、やっぱりなんだか、ルシアくんへの意識の向け方が他の皆に対するものとは違うんだよねえ。好意はもちろんのこと、『仲間意識』みたいなものも強い。というか、何か二人だけの秘密を共有しているみたいな?
「いや、それは聞いたけどさ。なんで、『迷宮』なんだ? 山なんだろ?」
「そうよ。でも、山は山でも複雑に入り組んだ洞窟があるからね。集団認定Aランクモンスターの存在もさることながら、その複雑な地形が開拓難度を高めている理由なのよ。……これも話したはずなんだけど?」
「そうだったっけか? 面目ない」
うん。これは会話をただ楽しみたくて、声をかけただけみたいだね、ルシアくん。
二人の仲が良くなることは、あたしも嬉しい。特に、これまであたし以外の人を自分に寄せつけようとしなかったシリルちゃんには、これを機に幸せになってもらいたいし。
道中、一番体力のないあたしのために、シャルちゃんは黄鱗の馬『リュダイン』を召喚してくれて、あたしを乗せてくれたりもした。なんだか申し訳ない気がするけれど、シャルちゃん自身は『樹精石の首飾り』を利用した火属性による体力強化がされているらしく、全然疲れた様子はなかった。
「ごめんね、シャルちゃん。『リュダイン』は、シャルちゃんのお友達なのに」
「いいんです。だって、アリシアさんもシャルの大事な……えっと、冒険者仲間ですから」
しどろもどろに言葉を選ぶシャルちゃん。そんな姿もやっぱり可愛い。
で・も! ……許しません。
「ボウケンシャナカマ? すいぶん他人行儀な言い方じゃないかなあ?」
「え? え? で、でも……」
「……お友達」
「え? あっ、と……」
「お・と・も・だ・ち。でしょ?」
シャルちゃんだけじゃなく、エリオットくんもエイミアも。
きっかけは何であれ、一緒に旅をするようになった仲間は、あたしにとって掛け替えのない友人になっていく。あたしには、それが何よりうれしかった。
旅立つ前のあたしには考えられないくらい、たくさんの『お友達』。
「は、はい!」
うふふ。久々に大げさな仕草でコクコクと頷くシャルちゃんが見られたなあ。
相変わらず、すごく可愛い。あたしが馬上の人じゃなかったら、すぐにでも抱きしめているところなのになあ。と、思っていたら……。
「わ、きゃあ!」
「ふっふっふ。愛いやつめ!愛いやつめ! そんな子は、こうだこうだ、こうしてくれる!」
ああ!エイミアったらシャルちゃんを後ろから抱きしめてる!
う、羨ましい……。
「わ、あ、あ、や、やめてください、エイミア様!」
「……様?」
「あ、いえ、エイミア……さん」
「よし、罰として、後しばらくはこのままだ!」
「ええ! そんなあ……」
シャルちゃんが情けない声を出す。でも、あんまり嫌がっている風には見えないし、いつもなら助け舟を出してくれるはずのシリルちゃんも、笑ってその様子を見ているだけだ。
微笑ましいなあ、と思っていたら今度は。
……エリオットくん。
いくらなんでも、シャルちゃんにまで嫉妬することはないと思うよ?
ふと気がついて視線を向けた先には、恨めしそうな目でシャルちゃんとエイミアを見つめるエリオットくんの姿があったのだった。
-天真乱舞-
『天嶮の迷宮』
モンスターの中でもめったに遭遇することのない単体認定Aランクや『魔神』クラスとも呼ばれるSランクを除けば、最悪の存在である集団認定Aランクモンスター群がひしめくことで有名な、難攻不落の【フロンティア】のひとつである。
確かに我らも、このランクのモンスターと戦闘をしたことがあったが、今までの遭遇の仕方は、通常ではあり得ないくらいに運が良かったと言えよう。
次から次へと絶え間なく襲いくる連中を前にしては、魔法使いが集団殲滅魔法を構築している暇などありはしない。
一体一体が単体認定Bランクに匹敵しかねない強さを持ちながら、互いに連携し、息を合わせて攻撃を仕掛けてくる集団が相手では、『各個撃破』など虚しい言葉だ。
我らが現在、遠巻きに見つめているのは『レイガーゴイル』の群れ。
黒い翼に橙色の身体をした、小柄な人型の魔獣。黄金に輝く眼球は貴重な魔法具の材料になるとのことだが、好き好んでこの連中と戦いたがる冒険者はまれだろう。皮膚は硬質化して岩のように固いくせに、打撃を加えても砕けることのない弾力まで備えている。鋭い爪や牙は元より、なにより脅威なのは口中から吐き出される光線だ。人体を貫くに足る威力を持ったそれが、文字通り光速で放たれるのは驚異に違いない。
だが、決定的なのはやはり、なんといってもその数だ。我はここに来て初めて、『集団認定』というものの真の意味を理解した。
おそらく軽く五十は超えるであろう数の『レイガーゴイル』たち。空中から一斉に襲い掛かり、集団戦法によって数の優位を維持しながら連携して光線を放つ怪物の群れに、まともな人間では全く抗う術などあるまい。
……そう、『まともな人間』なら。
「……うわあ、なんだよあれ。ありゃあ、さすがに引くしかないよな」
ルシアが呆れたような声で言う。不本意ではあるが、その言葉には同意せざるを得ない。
「はははは! 楽しいなあ! うんうん! これが冒険者の醍醐味だ!」
数十匹のモンスターの中心で、笑い声を上げつつ、舞うように戦う人影が一つ。
相手の集団戦法などまったくものともせず、ひらりひらりと鋭い爪の攻撃を回避し、嵐のように四方八方から吐き出される光線すらも、時に敵の身体を盾にし、時に手に宿した光属性魔法でその方向を逸らしてしまう。
「てっきり、“黎明蒼穹”でやっつけてくれるかと思ったのにね……」
アリシアがぽつりとつぶやく。そう、エイミアは【魔鍵】『謳い捧ぐ蒼天の聖弓』を背中に括り付けたまま、戦っているのだ。
アリシアの呟きに、エリオットが苦笑気味に答える。
「『捧げ矢』も無限じゃないし、いざという時の力はいざという時にしか使わないのがエイミアさんの流儀だからね。それに、彼女は【魔鍵】なんてなくても十分に強いよ」
「……でしょうね。“聖騎士”ってある意味、“魔導騎士”よりも戦闘向きな【スキル】なのよ。自身の身体強化が可能な【生命魔法】と近接戦向きの剣術スキル。それに加えて光属性魔法まで使えるんだから」
シリルの言うとおり、我もセイリア城での訓練では、彼ら聖騎士には随分と手こずらされたものだ。だが、それに比しても、あの戦いぶりは規格外と言うしかない。
我がそう言うと、シリルは肩をすくめて言葉を続ける。
「“閃光の聖騎士”は特に希少なのよ。“支配者”級の光属性適性がある以上、細かい制御を無視すれば、初級魔法なら無詠唱でも連発できるわけだし」
「いや、それはわかるけどさ。だとしても、あれだけの猛攻をよく捌ききれるもんだぜ。まるで背中にも目がついてるみたいだぞ?」
「まあね。【エクストラスキル】“弓聖”を持つエイミアさんは、視力は元より空間把握能力が半端じゃないんだ。あれだけの乱戦状態でも、自分と相手の位置関係はすべて完全に把握しているだろうね」
エリオットはルシアの疑問に答えながらも、うっとりした顔でエイミアの戦いぶりを見つめている。
事の発端は、【フロンティア】指定されたエリアに入ってまもなくのことだった。
ごつごつとした岩肌の斜面を歩くこと数分。まだ入り口からさして進んでもいないうちに、我は山頂方向から飛来するモンスターの群れの存在に気付いた。
我がそのことを話すとすぐに、エイミアが実に活き活きとした笑みを浮かべ、「わたしに任せてくれ!」と言い出したのだ。
そして、止める間もなくエイミアは、自身の足に【生命魔法】をかけて強化すると、あっという間にモンスターの群れめがけて飛びかかっていったのだった。
「す、すごいです……」
シャルにいたっては、あんぐりと口を開けたまま、ひたすら「すごい」と繰り返しているような有様だ。
《鏡の盾》!
エイミアは掲げた手の先に光属性の盾を生み出すと、光線の一つを弾き返し、別の敵へと命中させる。命中した敵にダメージは少ないようだが、大きくよろめき、近くにいた他の敵と接触。諸共にバランスを崩して墜落する。
《銀の光条》!
エイミアは瞬時に構築した初級魔法で周囲の敵を弾き飛ばすと同時に、別方向から迫る敵の攻撃をかわしながら掌を前に突きだす姿勢をとった。
すると見る間にその先に、白い【魔法陣】が生まれ、時間とともに黄金色に明滅し始める。
〈魔を降し、邪を滅するは、輝く双剣〉
《聖光の双刃》!
おそらくは中級魔法だろう。気づけば彼女の両手には、黄金に輝く二本の光刃が握られている。
「はあ!」
エイミアは裂帛の気合いとともに、蒼い髪をなびかせながら縦横無尽に舞い踊る。
その両手が別々の生き物のように動くたび、宙を飛び交う『レイガーゴイル』が紙でも裂くように細切れになっていく。
「まったく、呆れるわね。彼女が今、やったことの無茶苦茶さが分かる?」
「いや、どういうことだ?」
目の前の戦いに意識を集中させた我の耳に、シリルとルシアの会話が聞こえてくる。
「あんな乱戦の最中に中級以上の【魔法陣】を構築するのってね、右手と左手で別の図形を同時に描こうとするようなものなのよ」
「そうか? でも、それぐらい器用な奴ならできるんじゃないか?」
「器用な奴ならって、随分簡単に言うわね?」
「だって、そうだろ?」
「一瞬でも気を抜いて、ほんのわずかでも失敗すれば、自分が死ぬって状況でも?」
「……いや、無理です。はい。俺が間違っておりましたです」
「ふふ! わかればよろしい」
ルシアと他愛ないやり取りを続けるシリルの声は、いつになく上機嫌のようだ。
「だが、あれだけ【魔法】を立て続けに使っては、【魔力】切れを起こすのではないか?」
我の質問はシリルに向けてのものだったが、ルシアとの会話に意識を向けていたシリルはそのことに気づかず、我は二度、同じ言葉を繰り返す羽目になった。
「……え? ああ、大丈夫よ。光属性魔法は闇属性とは逆で、持続時間が短くて効果範囲が狭いかわりに、一発の威力が高くて【魔力】消費が低いって性質があるから、見た目ほど消費してはいないはずよ」
なるほど、持続時間が短いからこそ、連続発動も必要になるというわけか。確かに見る限り、エイミアの放つ【魔法】はクラスにしては威力が高いような気がする。
そして、とうとうエイミアは、たった一人で五十匹はいた集団認定Aランクモンスターを殲滅してしまったのだった。
「さすがです! エイミアさん!」
エリオットが一息ついた様子のエイミアのもとへ駆け寄っていく。
「あはは、いやあ、楽しかったな。でも、さすがに少し疲れたよ」
エリオットから手渡されたタオルで汗をぬぐうエイミア。かつて我と死闘を繰り広げたはずの彼が子犬のように誰かに懐いている姿は、少しばかり違和感を覚えるところだ。
「まったく、今回は大目に見るけど、あまり勝手な真似はしないでほしいわ。わたしたちはパーティなんだからね」
シリルは軽くため息をつくようにしながら、エイミアに苦言を呈する。
「ああ、ごめん。悪かった。久しぶりだったから、ついはしゃいでしまった。騎士団にいたころは先頭を切って戦うなんて、絶対にやらせてもらえなかったからな」
面目なさそうに頭をかくエイミア。だが、その顔は反省の言葉とは裏腹に「もっと楽しみたい」という感情で溢れていた。さすがにこれは、アリシアでなくてもわかる。
「……もう、まあ、いいわ。それより、そろそろわたしたちがここに来た目的を話さないとね。……もちろん【フロンティア】開拓じゃないわ。ここ『天嶮の迷宮』は山腹から内部につながる洞窟も含めて広大な面積があるから、そうそう【歪夢】なんて見つからないしね」
「そういえば、『迷宮』って言われているのも、入り組んだ洞窟が多いからなんだっけ?」
「ええ、そうよ。でも、『迷宮』には用はないわ。わたしたちの目的である『魔族』の施設は、特殊な方法でないと入れないけど、すぐ近くだからね」
「『魔族』の施設?」
「ええ。そこで、皆に見てもらいたいものがあるの」
シリルは我ら一人一人の顔をゆっくりと見回すようにして言葉を続ける。
「今まであえて、訊かないでいてくれたのだろうけど、みんなにも知ってもらいたいの。わたしの使命を。……今の世界の真実を。これから案内するのは、『魔族』が世界を観測するために造った施設『天空神殿』よ」