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異世界人と銀の魔女  作者: NewWorld
第3章 覚醒する精霊と湖底の魔鍵 
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第27話 気持ち悪い人/最高傑作

     -気持ち悪い人-


 ギルドの中はとっても広い。ツィーヴィフの町のギルドも広かったけど、こっちはそれよりさらに広かった。貴族の屋敷とかでもここまで大きくはないんじゃないかな?

 よく偉い人たちに目を付けられないよね。


「ギルドの組織力、影響力を考えれば、それに干渉しようなんて自殺行為でしかないわ」


 シリルちゃんはこともなげに言うけれど、冒険者ギルドって国よりすごいってこと?


「ある意味ではそうね」


「いやいや、そんなことはございませんよ。我らギルドは各国の皆様方のご理解とご協力のおかげで成り立っているようなものですからな」


 いきなりそう声をかけてきたのは、でっぷりと太った男の人だった。

 ヴァリスみたいな金髪碧眼。でも、ヴァリスなんかとは似ても似つかない下品な笑顔。着ている服もけばけばしいし、ジャラジャラと装飾品を身に着けた姿は、成り金商人みたいな感じがする。

 

「あなたは?」


 不機嫌そうな顔で振り返ったシリルちゃんの声は、凍りつきそうなほどに冷たかった。


「ああ、申し遅れましたな。わたくし、このカルナックギルドのマスターをやらせていただいているコルラド・フサインと申します。以後、お見知りおきを」


「で? そのギルドマスターさんが一介の冒険者に、何か御用かしら?」


「はは、御謙遜を。今や押しも押されもせぬAランク冒険者にして『氷の闇姫』の異名まで持つ御方が『一介の』とは到底言えませんぞ」


「……で、何の用かしら?」


 シリルちゃんは同じ質問を繰り返すことで、はっきりと不快感を示しているのに、この人はまったく気付いていない。

 それも、気付いていないふりなんかじゃなくて、本当に正真正銘、まったく気付いていない。

 もしかして、あたしと真逆のスキルでもあるんじゃないかな?というくらい鈍い人だ。


「それに……、くくく、おっと、こんなところでは話せませんな。どうぞ奥へいらしてください。お茶でもご用意しますよ?」


 なんだか、優越感? みたいな感情が見える。人の知らないことを自分だけが知っている、みたいな。なんだろう?シリルちゃんに関係のあることかな?


「……わたしたちは窓口に用があるので、その後でしたらお伺いします」


 シリルちゃんは内心の怒りを押し殺すようにそう言った。その言葉に、コルラドさんは不快そうに顔をしかめたけれど、鷹揚に頷くと、ようやくあたしたちを解放してくれた。


「なんだったのかな?今の人」


「これだけ大きなギルドなら、あり得るとは思ったけれど、早かったわね。まあ、一度わたしたちがここに来たという話を聞いて、戻ってくるタイミングで待ち伏せていたんでしょうけれど」


 シリルちゃんの言葉は、ほとんど独り言みたいだった。

 それから、たくさんある窓口のひとつに、あたしたちは向かう。


「……す、素晴らしい戦績です! 集団認定Aランクの『ヘルリザード』を22体討伐に加え、未開拓【フロンティア】『オルガストの湖底洞窟』の開拓。それも、正規パーティを組んだばかりで平均ランクがほぼCランクのメンバーで成し遂げるとは!」


 窓口を担当する男の人は、わたしたちの差し出したライセンス証を装置で確認しながら、

驚きの声をあげている。いつもは事務的に抑え目の話し方をすることが求められている受付の人(前にシリルちゃんたちが来た時は例外だったみたいだけど)にしては、少し声が大きかったみたいで、周囲の冒険者たちが一斉にこちらを見ているのがわかる。


「あ、申し訳ございません!」


 受付の人もそれに気づいて平謝りしてきた。

 周囲の視線を痛いくらいに感じる。あたしの場合、実際に驚きや疑い、羨望や嫉妬の感情がはっきりとわかる分、なおさらそれを強く意識してしまう。


「アリシア、大丈夫?」


「う、うん」


 シリルちゃんは相変わらず、優しいなあ。あたしのちょっとした様子の変化に気付いてくれるんだもの。さっきのコルラドさんに対する冷たさからは、まるで別人みたいに暖かい。シリルちゃんって冷静なように見えて、実は好悪の感情だけははっきりしているんだよね。

 と、そこへ気を取り直したように受付の人が言葉を続けてくる。


「そ、それでは報奨金ですが、……二億五千万ガルドを口座に入金させていただきます」


 ええ!? に、二億五千万って、そんなにもらえるの!? 

 あたしは声を出さなかったのが不思議なぐらい驚いてしまった。だって、二億五千万ガルドっていったら、一般庶民の年収の軽く五十倍はいく額だよ?


「ええ、よろしく」


 シリルちゃんは全然驚いた様子もなく、受け答えをしているから、これがほんとの相場なんだね。

 見ると、シャルちゃんもびっくりして口をポカンと開けている。うーん、可愛い!


「シリルお姉ちゃん。冒険者って、すごく儲かるんだね」


 実際、地方領主からみても二億五千万ガルドは大金なんだろうな。


「今回は特別に運が良かったのよ。【歪夢】、それも未開拓の【フロンティア】のものだから、報奨金も高かっただけ。実際にはこんなに簡単じゃないわよ。覚悟はある?」


「うん!」


 シリルちゃんの問いかけに、元気よく返事をするシャルちゃん。


「それじゃ、この子の冒険者登録もお願いできるかしら?」


「え?そちらのお子さんですか?」


受付の人も驚いてる。さすがに十二歳の子じゃ登録はできないのかな?


「親ではないけど、わたしが後見人。保護者よ。ね、シャル」


「はい! よろしくお願いします!」


 シャルちゃんが勢いよく頭を下げる。


「わかりました。それでは登録しますので、どうぞ別室へ……」


 それから行われた手続きは、ツィーヴィフの時とおんなじで、犯罪者登録の確認と【スキル】登録、それから冒険者種別の確認だった。

 シャルちゃんの【スキル】を確認しても【エクストラスキル】があるってこと以外に驚いてはいなかったから、やっぱりあの装置では【種族特性】までは見えないんだね。


 もっとも、支援系でランクの方をあたしと同じCランクにしてもらうためには、“治癒術士”だけじゃ足りなかったみたいで、結局“精霊紋”も実演してみせることになっちゃたけど。

 受付係の人も驚いてはいたけれど、“精霊紋”自体は歴史上、記録にも残っているし、今でもギルド全体で見ると、あと一人か二人いるらしいってことで、そこまで騒がれはしなかった。まさか他にもそんな人がいるなんて、世界ってほんとに広い。


「【魔鍵】登録はされますか?」


「いえ、Cランクなら十分よ」


 シリルちゃんはそう言って、【魔鍵】については登録を拒んだ。ギルドを相手にしても、手の内はすべて見せないに越したことはないっていうのが理由らしいけれど、シリルちゃんって、ギルドを信用しているのか信用していないのか、いまいち分かりづらいところがある。


 それから、あたしたちは、あの気持ち悪いコルラドさんの元へ向かうことになった。


「別に、わたし一人でもいいわよ」


「そういうわけにはいかないだろ。あんな気持ち悪い親父のところに、シリル一人を行かせられるかって」


「うん。わたしもいく!」


 ルシアの言葉にシャルちゃんも力いっぱい頷いているの見て、あたしは少しほっとした。

 やっぱり、感情なんて読めなくても、あのコルラドって人に抱いた印象は皆おんなじなんだね。

 ヴァリスは何も言わなかったけど、何も言わずについて来る。うーん、相変わらずまったく「見えない」けれど、「言うまでもない」ってことかな?


「そ、そう。なら、仕方ないわね……」


 シリルちゃんはなんだか、ついて来て欲しくなさそうな感じだけど、そんなに遠慮しなくてもいいのに。


 案内されたギルドマスターの部屋は、建物の最上階にあった。ごつごつした飾りつきの扉の向こうには、豪奢な調度品がずらっと並んでいて、王侯貴族の応接室みたい。

 そして、コルラドさんは、その部屋の大きすぎるテーブルの向こうに置かれた、これまた豪奢な椅子に腰をおろしたまま、あたしたちを出迎えた。


「やあやあ、よくお越しいただきましたな。シリル殿。さ、そちらにおかけください」


 コルラドさんは、あたしたちなんて眼中にないみたいで、シリルちゃんにだけ視線を注ぎ、向かいのソファに腰掛けるように勧めてくる。


「……」


 シリルちゃんは、無言で言われた場所に腰かけると、あたしたちにも座るように促した。

 なんだか、雰囲気がピリピリしてる。シリルちゃんから一方的に発しているものみたいだけど、コルラドさんはよく平気な顔をしてるよね。


「さて、それでは改めて。ようこそ、カルナックギルドへ。いやはや、聞きましたぞ?王国の聖騎士団どもでさえ、開拓までは手もつけなかった『オルガストの湖底洞窟』を開拓されたとか。さすがは『最高傑作』ですな。『上』の方々もさぞお喜びでしょう」


 またしても、醜いまでの優越感、虚栄心が目に見える。

 なんだろう、最高傑作?その言葉を口にした時が一番その感情が強くなったみたい。


「知った風な口を利かないことね。わたしはわたしで好きにしているだけよ」


 シリルちゃんの口調がこれまで聞いたこともないくらい、高圧的でとげとげしいものになっている。コルラドさん、というよりはギルドそのものに対する嫌悪の情、それからだんだんと強くなってくる『焦り』の感情……。

 焦り? いったい何に焦っているの? 

 あたしのそんな疑問の答えは、次のコルラドさんの言葉ではっきりした。


「いや、わたしも驚きましたとも。ギルド本部の幹部クラスか一部の大規模ギルドマスターにのみ知らされる秘密。偉大なる叡智の担い手にして世界の真の支配者たる『魔族』。……その誇り高き『魔族』の血をひき、『最高傑作』とまで呼ばれる御方がまさか、一介の冒険者などに身をやつしているなんてねえ」


 え? 今、この人、なんて? 『魔族』って言った? 

 どうしてこの人が……それを知っているの?



     -最高傑作-


 『魔族』。それは千年前に『神』とともに『竜族』の隔離に関わったとされる種族だ。

 二百年近くの長きにわたり、『竜の谷』に隔離・封印されていた我ら『竜族』は、封印から脱した数百年前の時点において、封印される前からは考えられない世界の変容に驚愕した。

 『神』が滅んでいたことは、封印時の危機的状況からいっても、予想の範囲内だったのだが、封印されている間に夢にまで見ていた外の世界が【瘴気】に満ち溢れ、『精霊』の気配もなく、『神』に(けが)された人間や狂えるモンスターが跳梁跋扈する有様となっているなど、いったい誰に想像できただろう?


 そんななか、『竜族』が、封印から脱して最初に考えたのは復讐だった。

 『神』はいなくとも、『神』に加担した『魔族』を探し、報いを受けさせようとした。

 しかし、狡猾なるかの種族はどうやって隠れおおせたのか、数百年を経てもなお、見つけることは叶わなかった。

 ゆえに、我もまた、『竜族』の先達からは、『魔族』とは憎むべき存在であると伝え聞いている。


 一方、人間種族の間では、『魔族』の存在は畏怖の対象であるらしい。『竜族』が封印されていた二百年の間に『魔族』によって人間がどんな目にあわされたのかは分からないが、人間の世界にあるどの書物を見ても、諸悪の根源であったり、最後の黒幕であったりといった記述が多いことからも、そうなるだけの理由はあったと見るべきだろう。


 コルラドという男が口にした言葉は、我はもとより、アリシアとシャルにも大きな動揺をもたらしたようだ。二人とも驚いた顔をしてシリルを見ている。


「『魔族』の血をひく『最高傑作』として生み出された以上、『上』もあなたには大きな期待をかけているはず。だからこそ、こちらの世界で冒険者に身をやつし、今また開拓を成功させた。そうではありませんかな?」


 コルラドの口調や表情は、自分がそのことを知る数少ない人間であることが誇らしいといわんばかりだ。


「……あなたは『上』に、わたしのことは『不可侵領域』だと、軽々しく話してはならないと、言われなかったの?」


 シリルの声は、あくまで低く、抑えられたものだ。だが、これまでとは比べ物にならない鋭利さをもってコルラドを貫いていた。


「へ? いや、むろん、あなたが来たからこうして話を……」


 ここにきて、この鈍い男もようやく彼女の言葉の鋭さに気付いたようで、せわしなく瞬きを繰り返しながら、しどろもどろに弁解を始める。


「わたしが連れの人間にそれを話していないかどうか、確認もしないで話すことを、『上』は軽々しいとみなさないでいてくれるかしらね?」


「な、いや、わしはそんな……」


「駄目、ね。『上』の手を煩わせることもないわ。わたしがここで、殺してあげる」


「な、なにを馬鹿な! わしを殺すだと! わしはこの城塞都市カルナックのギルドマスターだ。わしを殺したらどうなるか、わかっているのか!」


 シリルの冷酷な言葉に、コルラドは震えあがりながらも虚勢を張るが、すでに立ち上がり、腰が引けている。


「あなたのかわりの『人間』なんて、いくらでもいるでしょう?」


 シリルはことさら「人間」という言葉にアクセントを置いて話している。まさか本当に『魔族』だとでもいうのだろうか?


「ひ、ははは! こ、殺せるものか! わしにはこれが、あの方々から頂いた【魔装兵器】があるのだ! わしにはどんな攻撃も効かんぞ!」


 そう言ってコルラドは、身に着けていた装飾品類を見せつける。


「無駄よ。【魔装兵器】に刻まれた古代文字はね、その意味を理解する者が使用しなければ、本来の半分の効果も発揮できないわ。つまり、あなたには使いこなしきれないものよ。でも、わたしにはできる。だから、それはわたしの前では無意味なの。……ほら、ね?」


 シリルは冷たくそう言い放つと、掌をかざし、黒い虫をコルラドに飛ばす。恐らく初級魔法をさらに簡略化したものだろう。蚊に刺された程度の効果しかないに違いない攻撃だが、それは何の抵抗もなく、コルラドの顔に当たった。そしてそれだけで、奴が恐慌をきたすには十分だったようだ。


「ひ、ひい! た、助けてくれ! わし、はそんなつもりじゃ……」


「なら、二度と、わたしには関わらないこと。他から借りた力を自分のものと勘違いして、覚えたての知識を振りかざしても、確かに優越感や特権意識を味わうことはできるでしょうけど、死んでしまったのでは元も子もないでしょう?」


「は、はい、はい! わかりましたあ!」


 みっともなく土下座するコルラドを無視し、言葉もなく見つめる仲間の視線を悲しげに受け止めながら、シリルは立ち上がる。


「さ、行きましょう……」


 ギルドを出て、宿に着くまで我らは一切口を開くこともなく、無言のままだった。


 ……そして、宿に着くと、シリルの提案で宿泊部屋のひとつに集まり、全員が車座になって向かい合う。


「たぶん、近いうちにこうなるだろうなって思ってたんだけどね。思ったより早かったけど、まあ、よかったわ。隠し事もあまり長くしたくなかったし」


 シリルはそう、口火を切った。


「あ、あたしは、“真実の審判者”で知っていたけど、ね……。でも、どうしてギルドの人が知っているのか、『上』って何なのか。わからないことも、たくさんあるよ」


 どうやらアリシアが驚いていたのは、シリルが『魔族』であることとは、別の理由によるものようだ。

 一方のシャルは、黙ったままシリルの顔を見つめていたが、やがておもむろに口を開く。


「わたしは、小さい時から色々な本を読んでいるけど、どの本にも『魔族』は凶悪で恐ろしい存在だって書いてあったの」


 シャルが口にした言葉に、シリルはまるで苦痛を感じたかのように唇を噛みしめた。

 人間から忌み嫌われ、恐れられている存在としての『魔族』。その事実を人間である仲間たちに話せなかったというのは、想像に難くない。だが、こうなることがわかっていて、コルラドの言葉をどうして否定しなかったのか? 我の問いに、シリルはこう答えた。


「……楽しかったからよ。昨日の夜、皆で過ごした時間。わたしにとってすごく幸せだった。だから、もう、隠すのはやめようって思ったの」


 シリルの目には涙が浮かんでいる。その涙に我は、迂闊な質問をしたことを悔やんだ。

 沈黙が落ちかけたところへ、今度はシャルが再び口を開く。


「でも、本に書いてあったことの方が嘘なんだよね? だってもし、シリルお姉ちゃんが『魔族』なら、『魔族』がそんなに悪い人たちなわけないもの」


「! あ、ありがとう。シャル」


 シャルの言葉に、それまで俯いていたシリルはゆっくりと顔をあげた。


「……そうね。じゃあ、聞いてくれる?」


「うん、聞かせて」


「ああ、まあ、俺には『魔族』もなにもわからないから、教えてもらわないとな」


「我も興味はある」


 それぞれの言葉に頷くと、シリルは居住まいを正してから語り始めた。


「わたしは、正確には『魔族』じゃないわ。……人間と『魔族』の【因子所持者(ハイブリッド)】よ」


「【因子所持者(ハイブリッド)】? それって確か、あの薬、『混沌の種子』とかって奴でモンスターの因子が混ざって生まれてきた『亜人種』のことだろ?その、『魔族』っていうのはモンスターじゃないんだよな?「【因子所持者(ハイブリッド)】なんてあり得るのか?」


 ルシアの疑問はもっともだ。確かに、天然でモンスター以外の「【因子所持者(ハイブリッド)】といえる存在は“精霊紋”所持者ぐらいだろう。


「じゃあ、『混沌の種子』は誰が何のために造ったのだと思う?」


「数百年前の狂気の天才魔導博士、だっけ?」


「それが、『魔族』よ。あの忌まわしい『混沌の種子』は、わたしという『最高傑作』を生み出すためだけに造られ、実験という名のもとに、数千、数万という数の人間を、数百年にわたって犠牲にし続けたのよ」


 人間にモンスターの因子を混合する実験とは、おぞましいとしか言いようのない所業だ。


 だがしかし、だ。

 その実験の結果が目の前にいる黒髪の娘なのだとして、確かにそれは衝撃的な話には違いないかもしれないが、いまさらそれが何だと言うのか?

 だと言うのに、シリルはなおも、自分の罪を懺悔でもするかのように言葉を続ける。


「ルシアが助けたポーラだって、わたしの犠牲者よ。『亜人種』として生まれたことも、『混沌の種子』に苦しめられたことも、すべてわたしが原因なの。わたしが……」


 まったくもって、馬鹿馬鹿しい。実にくだらない。我らも酷く見くびられたものだ。

 とは思ったものの、それを彼女に伝えるべきは我ではあるまい。もっと相応しい者がいる以上、その者に任せるとしよう。


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