第24話 神を恐れる世界
勝利の余韻は、
長くは
続かなかった。
世界規模
ダンジョン消滅から、
わずか
二日後。
◆
国連臨時会議。
全画面に
並ぶ
首脳の顔。
議題は、
一つ。
◆
「――新生竜神を
どう扱うか」
◆
恐怖が、
言葉の
端々に
滲んでいた。
「抑止力か、
脅威か」
「管理不能な
存在は、
危険だ」
◆
結論は、
水面下で
すでに
出ていた。
◆
対竜神
共同作戦。
名称――
《プロメテウス》。
◆
荒神龍斗は、
それを
知らない。
だが――
察していた。
◆
都市郊外。
廃工業地帯。
人気は
ない。
風だけが
吹く。
◆
宝槍が、
静かに
鳴った。
「……来る」
◆
空が、
裂ける。
だが、
ダンジョンでは
ない。
人工の
転移。
◆
現れたのは、
人。
重装。
魔導兵器。
百名以上。
◆
「荒神龍斗」
スピーカー。
「国際連合
共同決議により、
あなたを
拘束する」
◆
龍斗は、
ため息を
ついた。
「……話し合いは」
◆
「不可能と
判断した」
◆
次の瞬間、
砲火。
◆
魔導砲弾が
一斉に
放たれる。
地面が
爆ぜ、
鉄骨が
舞う。
◆
龍斗は、
跳ぶ。
衝撃波を
背に、
空中へ。
◆
空で、
砲弾を
突く。
蒼金の
光。
誘爆。
◆
連鎖爆発。
空が
昼になる。
◆
地上部隊が
展開。
結界。
拘束網。
封印杭。
◆
「……本気だな」
◆
拘束網が
迫る。
魔力を
吸う
特殊構造。
◆
龍斗は、
地に
着地。
宝槍を
低く
構える。
◆
突進。
一線。
封印杭が
折れる。
衝撃。
◆
だが、
次。
背後から
重圧。
◆
大型
人型兵器。
全高
十メートル。
神殺し
仕様。
◆
「……人が、
ここまで
来たか」
◆
兵器が
拳を
振り下ろす。
音速。
◆
龍斗は、
受ける。
金色の
障壁。
衝突。
◆
地面が
沈む。
膝に
衝撃。
◆
反撃。
宝槍を
突き上げる。
関節部。
◆
装甲が
砕け、
火花。
◆
だが、
兵器は
止まらない。
内部から
再生。
◆
「……再構築?」
竜の声。
「人の
模倣だ」
◆
次の瞬間、
上空。
衛星軌道。
魔力反応。
◆
「――来るぞ」
◆
光。
天から、
細い
線。
◆
対神
収束砲。
◆
龍斗は、
迷わない。
宝槍を
天へ。
◆
「――竜神防式
《天返し》」
専門用語。
天からの
攻撃を
返す
防御技。
◆
光線が
曲がる。
空で
反転。
◆
衛星が
爆散。
破片が
流星のように
落ちる。
◆
現場が
静まる。
だが――
人は
止まらない。
◆
人型兵器が
二体、
三体。
包囲。
◆
「……恐れて
いるからだ」
龍斗は
呟く。
◆
恐怖が、
攻撃を
生む。
◆
龍斗は、
一歩
前へ。
力を
抑えない。
◆
「――竜神領域
完全展開」
◆
空気が
凍る。
兵器の
動きが
鈍る。
制御系が
乱れる。
◆
龍斗は、
走る。
突き。
破壊。
薙ぎ。
分断。
◆
兵器が
次々、
倒れる。
火と
煙。
◆
最後に
残った
部隊長が
叫ぶ。
「撃て!」
◆
部下は
動かない。
恐怖で
固まっている。
◆
龍斗は、
宝槍を
下ろした。
◆
「……俺は、
敵じゃない」
「だが――
脅威なら、
そう
振る舞う」
◆
部隊は、
撤退。
誰も、
追わない。
◆
静寂。
瓦礫と、
沈黙。
◆
竜の声が
低く
響く。
「……世界は、
神を
恐れる」
◆
「だが、
恐れられる
覚悟は、
あるか」
◆
龍斗は、
答える。
「……守るためなら」
◆
宝槍を
背負い、
歩き出す。
神と
人の
境界で。




