第23話 世界規模ダンジョン
空が、
完全に
覆われていた。
雲では
ない。
大陸の
中央上空に、
逆さの
黒い大地。
◆
世界規模
ダンジョン。
出現から
三分で、
全国家が
非常事態を
宣言した。
◆
戦闘機が
旋回し、
魔導砲が
配置される。
だが、
誰も
先に
撃てない。
◆
魔力圧が
桁違い。
近づくだけで、
意識が
削られる。
◆
「……人の
戦場じゃ
ない」
荒神龍斗は、
前線に
立っていた。
各国の
代表探索者が
距離を
保つ。
◆
「侵入すれば、
帰還不能の
可能性が
高い」
誰かが
言う。
「それでも――」
◆
龍斗は、
空を
見上げた。
宝槍が、
静かに
共鳴する。
◆
「……俺が
行く」
誰も、
止めなかった。
◆
次の瞬間、
重力が
反転。
龍斗の体が、
空へ
引き寄せられる。
◆
境界突破。
◆
足元に、
崩れた
都市。
空には、
赤い
月。
世界規模
ダンジョンの
内部。
◆
即座に、
敵影。
数百。
人型、
獣型、
機械型。
◆
統率が
取れている。
「……軍勢」
◆
突撃。
龍斗も
走る。
宝槍が
光を
引く。
◆
一突きで、
三体。
薙ぎで、
十。
だが、
波が
途切れない。
◆
空から、
魔力砲。
地上から、
突進。
背後から、
奇襲。
◆
龍斗は、
止まらない。
避け、
打ち、
踏み込む。
◆
血と
光が
混ざる。
足元が
見えなくなる。
◆
「――数で
押すつもりか」
龍斗は、
足を
止めた。
◆
宝槍を
天へ
掲げる。
蒼金の
魔力が
収束。
◆
「――竜神領域
最大展開」
◆
半径
数百メートル。
空間が
支配される。
◆
敵の
動きが
一斉に
鈍る。
重力、
魔力、
方向感覚。
すべてが
狂う。
◆
龍斗は、
歩いた。
突き。
確実。
薙ぎ。
静か。
◆
敵軍が
崩壊する。
だが――
奥。
◆
玉座。
そこに
座る
存在。
◆
人の形。
だが、
背後に
無数の
影。
◆
「ようこそ、
竜神」
声が、
直接
脳に
響く。
◆
「我は
管理者」
「世界を
更新する
者」
◆
玉座が
崩れ、
立ち上がる。
影が
実体化。
◆
「――来る」
龍斗は、
構える。
◆
一斉攻撃。
影が
刃となり、
砲となり、
鎖となる。
◆
龍斗は、
跳び、
回り、
突き返す。
だが、
一部が
掠める。
装甲が
砕ける。
◆
「……まだ、
足りない」
竜の声が
重なる。
◆
「――完全融合、
承認」
◆
龍斗の
背に、
竜の
影。
輪郭が
重なる。
◆
視界が
澄む。
管理者の
動きが
手に取るように
わかる。
◆
踏み込み。
一瞬。
距離が
消える。
◆
突き。
管理者の
胸。
防御壁が
砕ける。
◆
「……なぜ、
人で
いられる」
管理者が
叫ぶ。
◆
「選んだからだ」
龍斗は
答える。
◆
宝槍が
唸る。
「――竜神終式
《界断》」
専門用語。
世界と
ダンジョンの
境界を
断ち切る
最終技。
◆
光が
走る。
管理者と
世界が、
分断される。
◆
崩壊。
全てが
白に
溶ける。
◆
次の瞬間、
龍斗は
地上に
立っていた。
空は、
元に
戻っている。
◆
各国の
観測装置が、
一斉に
沈黙。
世界規模
ダンジョンは、
完全に
消滅した。
◆
静寂。
そして、
歓声。
◆
龍斗は、
宝槍を
下ろす。
膝が
わずかに
震える。
◆
竜の声が
穏やかに
響いた。
「……世界は、
守られた」
◆
龍斗は、
遠い
空を見る。
次は、
何が
来るのか。
それでも――
歩みは
止めない。
新生竜神として。




