第21話 探索者ギルドの決断
探索者ギルド本部。
地下管制室。
巨大な
立体モニターに、
都市外縁の
映像が
映し出されていた。
◆
「……確認したな」
白髪の
老ギルドマスターが、
低く
言う。
「単独で、
ボス級を
撃破」
◆
室内が
ざわめく。
幹部たちの
顔色が
変わる。
「戦力評価、
S級を
超過しています」
「いや、
規格外だ」
◆
「――問題は、
敵か、
味方か」
老マスターの
一言で、
沈黙。
◆
「……もし、
制御を
失えば」
「都市一つが
消える」
◆
決断は、
早かった。
「監視部隊、
即時派遣」
「最悪の場合、
排除も
視野に」
◆
命令が
飛ぶ。
◆
その頃。
荒神龍斗は、
現場に
残っていた。
瓦礫の
整理を
手伝い、
負傷者を
運ぶ。
◆
力を
使えば、
早い。
だが、
あえて
使わない。
それが、
彼なりの
距離感だった。
◆
空気が
変わる。
複数の
魔力反応。
規則正しい。
「……来たか」
◆
ビルの
屋上。
装甲服の
部隊が
降下。
全員、
ギルド
正規兵。
◆
「荒神龍斗」
拡声器。
「ギルド命令だ。
武装を
解除し、
同行しろ」
◆
周囲の
探索者が
緊張する。
視線が
集まる。
◆
龍斗は、
宝槍を
見下ろし――
静かに
背負った。
「……理由は」
◆
「確認と、
管理だ」
「拒否した
場合は」
◆
その先は、
言わなくても
わかる。
◆
その瞬間。
地面が
震えた。
◆
「――また、
か」
裂け目。
今度は、
三つ。
◆
魔力濃度が
異常。
同時発生。
街区を
囲む
配置。
◆
「……罠だ」
龍斗が
呟く。
◆
裂け目から、
魔物が
溢れる。
人型。
獣型。
飛行型。
混成部隊。
◆
「防衛陣形!」
ギルド部隊が
即応。
結界展開。
砲撃準備。
◆
だが、
数が
多すぎる。
空から、
急降下。
地上から、
突進。
◆
「……市民を
優先しろ!」
龍斗が
叫ぶ。
同時に、
走る。
◆
宝槍を
構え、
低空の
飛行魔物へ
投擲。
貫通。
回帰。
◆
着地と
同時に、
地上の
獣型へ
突き。
連撃。
◆
ギルド兵が
驚く。
「……速すぎる」
◆
空中。
大型の
飛行魔物が
魔力砲を
溜める。
照準は、
避難所。
◆
「――させない」
龍斗は、
跳躍。
ビルを
蹴り、
さらに
空へ。
◆
高度。
重力を
無視した
踏み込み。
宝槍が
唸る。
◆
突き。
魔力砲が
暴発。
内部爆発。
巨体が
崩れ落ちる。
◆
その背後。
人型魔物が
集団で
詠唱。
範囲魔法。
◆
「……まとめて
来るか」
龍斗は、
着地。
足元に、
金色の
円。
◆
「――竜神領域
展開」
半径
数十メートル。
魔力の
流れが
掌握される。
◆
詠唱が
乱れ、
暴発。
魔物同士が
吹き飛ぶ。
◆
ギルド兵が
援護。
砲撃。
連携が
成立する。
◆
「……指揮を
取っている」
部隊長が
息を
呑む。
「自然に、
戦場を
支配している」
◆
最後の
裂け目。
内部から、
異形。
多腕。
高魔力。
明らかに
知性が
ある。
◆
「……指揮官級」
龍斗は、
前へ。
今度は、
ギルド兵が
止めない。
◆
異形が
笑う。
「竜の
器よ」
「こちらへ
来い」
◆
瞬間移動。
背後。
刃。
◆
龍斗は、
振り向かない。
宝槍が
自動で
迎撃。
火花。
◆
「……遅い」
反撃。
柄打ち。
体勢を
崩す。
◆
そのまま、
突き。
核心。
異形が
悲鳴を
上げ、
霧散。
◆
裂け目が
閉じる。
完全制圧。
◆
静寂。
ギルド兵たちが
龍斗を見る。
恐れと、
敬意が
混ざった
視線。
◆
部隊長が
前に出る。
「……ギルドは、
君を
敵と
見なさない」
◆
「むしろ――
切り札として
迎えたい」
◆
龍斗は、
少し
考え、
答えた。
「……管理される
気は
ない」
◆
「だが、
守るために
協力は
する」
◆
老マスターの
通信が
入る。
「――それで
いい」
◆
「荒神龍斗」
「ギルドは、
お前を
一人の
探索者として
認める」
◆
朝日が
街を
照らす。
瓦礫の中で、
人々が
動き出す。
◆
龍斗は、
宝槍を
背負い、
歩き出す。
竜の声が、
静かに
響いた。
「……選んだな」
「人として
生きる道を」
◆
「……ああ」
龍斗は、
前を
見る。
戦いは、
まだ
終わらない。
だが、
独りでは
ない。




