——さて、3回目はどうでしょう? (2)
そうして、僕もアマンダも20歳を過ぎた頃。
アマンダは、セオ・ペナヤカという男性に出会った。
彼はとても柔和で温厚、優しく穏やかな人で、出会ってすぐに僕も好感を持った。
ただ。
僕は、セオくんがアマンダをどこか怯えたような視線で見ているのだけが、気がかりだった。
しかし、セオくんがアマンダにプロポーズをして。
アマンダも、白く滑らかな頬を可愛らしく赤らめさせ、「喜んで」と承諾し。
無事つつがなく、豪華で盛大な結婚式も挙げて——
アマンダとセオくんは、一人の男の子を産んだ。
彼の名前は、「ロア」。
とても素敵な響きの、美しい名前だ。
しかし、セオくんはその名前が付けられた時、目を見開き硬直し、もっともっと怯えたような表情になった。
アマンダは、にぃっと——そう、あの小学5年生の大げんかにアマンダが巻き込まれ、頬に傷を負った時の、あの悪魔のようでありながら無邪気な笑みを浮かべていた。
その姿はまさに、堕天使のようだった。
そうして、セオくんとロアと一緒に幸せに暮らしているのを微笑ましく見つめながら、僕は僕自身の結婚相手を今探している最中である。
しかし、今日はアマンダに呼ばれている。僕は早めに仕事を切り上げ、家に帰ることにした。
「あー、りあむくんー! へへーっ、りあむくんー」
「あぁ、ロア。久しぶりだねー」
にこぉーっと花がぱぁっと開くように愛らしく、綺麗に屈託なく笑うロアの可愛らしさにやられ、へにゃっと笑みがこぼれる。
ロアは、セオくんにとても似ている。
穏やかでのんびり、心優しく大きな音が苦手。可愛らしくくりっとしたこぼれんばかりに大きな栗色の瞳、ふわふわのやわらかく繊細な栗色の髪。
何もかもが場を和ませる清涼剤で、皆に愛されるような子だ。
ただ。
彼も、母であるアマンダを怯えるような素振りがある。
アマンダが虐待とかをするような性格には思えないんだが……。
「あぁ、アマンダ。久しぶり」
「お兄ちゃん! 久しぶりー」
ふふっ、と、アマンダは僕にそう笑いかける。
彼女がどこか楽しそうに見えて、ぴくっと片眉を上げて言った。
「アマンダ、今日はどこか楽しそうだね?」
「え? えぇっ、そりゃあね! 今日は楽しいことが待ってるから、お兄ちゃんも楽しみにしててね!」
楽しいこと……?
頭にクエスチョンマークを飛ばす僕に、更にアマンダは笑ってしーっと指を紅唇にあてた。
「それは、その時のお楽しみ!」
そして、食事が始まった。食事は全てアマンダが作ってくれており、とても美味しかった。ソースやドレッシングまでも計算されつくしていて、もうミシュラン五つ星いけんじゃないかと本気で思ったくらいだ。あ、いや別に僕はシスコンではない。
ロアも終始にこぉーっと笑っていて、はしゃぎ疲れたのか最後には寝てしまっていた。
「それで? アマンダ。話って言うのは?」
「あ、うん。それなんだけど——」
ロアにミルクを与えていたアマンダは、ぱっと顔を上げてセオくんにロアを渡すと、真摯な瞳で僕を見た。
「お兄ちゃん。今、幸せ?」
「え? 、いきなりなんだ……? まあ、幸せだけど……」
「……まあ……、か……」
「……?……」
いきなりなんだと思い、ぎゅっと眉根を寄せる。
「ねぇ、お兄ちゃん。紹介したい女の子がいるんだけど、その子……婚約者候補になったら、幸せ絶頂期?」
「それは……まあ……婚約者がほしいとは思っていたけど……」
「じゃあ、呼ぶね。……あ、もしもしサーヤ? 今どこ? えっ、もう着いたの⁉ あ、そうなのね……じゃあ、入っていいわよ」
アマンダはその場で電話をかけ、誰かと会話をした。その直後、軽快なインターホンのチャイム音が鳴って、「あ、来た来た」と言ってアマンダが出た。
「——はいこちら、サーヤ・アルム。綺麗でしょー? でもこれで私と同い年! そして頭もいいし運動もできるし優しいし、気遣いができる子なの。どう? お兄ちゃん!」
「え、まあ……いい女性だとは思うけど、ね……。そんなすぐに決められはしないよ」
「じゃあじゃあっ、今からデートしてきなよ!」
「……は?」
「デートしたら、決めれるでしょう?」
……彼女は、いったい何を言っているんだ……?
僕に、このサーヤという美しい女性と結婚してほしいと思っているのか……?
まあどっちにしろ、アマンダは頑固だ。一度決めたことは頑として譲らない。
「えぇと、アルム……さん。あなたはいいんですか?」
「サーヤ」
「へ?」
「サーヤと、お呼びください。私もリアムさんとお呼びしますから」
……。
「はぁ……。では、サーヤさん。あなたはいいんですか? デートは」
「ええ。もちろん。アマンダから聞くあなたは、実によい殿方。一生を添い遂げたいと思うような殿方でしたので、私も一度はデートしてみたいと思っていたんです」
……。
……はぁ?
「……はぁ……。じゃあ、デートを……」
「ええ。行きましょう」
どこか弾んだような声で、サーヤさんはそう僕をせかした。
デートは、公園に行った。
お互いのことを話して、打ち解けていくにつれて、本当にサーヤさんはとてもいい人なんだということがわかってきた。
そして、僕と相性がとてもいいことも。
「あっ、お兄ちゃん、サーヤ、お帰りなさい! どうだった?」
ふわっと微笑んで、アマンダがそう僕たちに問う。
「……結婚、することにしたよ」
「はい。リアムさんは、アマンダの言う通りとてもよい殿方でした」
「ああ。サーヤは、アマンダの言う通りとてもいい女性だった」
僕たちは、ふっと微笑み合った。
両親は、しばらくぽかんとしていたが。
「っ、よかったじゃない!」
「いい女性を見つけられて、よかったな!」
と、とても喜んでくれた。
——なん、で。
なんで、こんなことになったんだ——。
長すぎるので、3つに分けて書きました。
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