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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

天才少年

作者: 羽里あき

「この子は天才だよ!」



幼い頃の僕はよく賢いと言われた。



「またテストで100点をとったんだって?すごいじゃないか!!!」


「いつも勉強してて偉いわねぇ」



勉強をしなくても100点を取れて当たり前だった。

こんな簡単な問題も解けないやつがいるのか。

かわいそうに。



「あいつまたかけっこで一位だったってよ!」

「すげええ!!!あいつって何でもできるよなぁ」



運動も普段特に何もしていなくてもできた。



「君やっぱてんさいなんだな!」

「すごいね!!!」



みんなが僕のことを天才だと讃えた。

そうか、僕はすごいやつなんだ。






中学に入るとテストで100点をとることは少なくなった。

友達と遊ぶのに夢中で勉強時間をあまり確保できていなかったから。

それでも高得点は取り続けていたし、運動神経も悪くはなかった。



「お前なんでもそつなくこなすよなぁ」

「テストもいつも高得点でよぉ、お前の頭ほしいよマジで」

「てか〇組のやつがまた100点取ったってよ!」

「マジか、やっぱ次元が違うわ」



テストも運動も以前よりはうまくいかなくなった。

でも変わらず高得点は取れていた。

ちょっと勉強すれば100点もとれるのだ。

だって僕は...







高校に入ると高得点どころか平均点も取れなくなった。



「お前また補習かよww」

「ちゃんと勉強しろよなwww」

「まあ俺たち勉強したところでなんもわかんねぇんだけどなwww」

「それなwwwにじかんすう?ありおりはべり?こんなんいつ使うんだよwww」



僕は友人の戯言をききながら一緒に笑ってやる。

なんて低次元な会話なんだろう。

僕はお前らみたいな本物の馬鹿じゃない。

僕は本気を出していないだけだ。

お前たちに合わせて勉強をしていないだけだ。

勉強すればこんな補習なんか受ける必要がないのだ。

だって僕は...







大学生になった。

第一志望には受からなかったため中堅大学に入ることになった。

高校の時に勉強をやらなかったからだ。



「おい、飲み行こうぜ!」

「先輩がテスト内容教えてくれるってよwww」

「それ激アツやん!!!!もう出席だけしようぜwww」

「大学ちょろすぎだろwww」



大学で僕は友人がいなかった。

一人の時間は大切だし、何より周りは僕のレベルより低かったんだ。

僕がいるべき場所はこんな場所ではない。

だって僕は...






就活が始まった。

受けるのは当然大企業。

僕の優秀な能力を大企業で生かしたい。

そして僕の名を日本中に知らしめるのだ。

しかし書類選考すら通らなかった。

書類選考を通っても


「君ねぇ何かないの?大学時代力を入れたこととかさぁ?」

資格なんか取らなくても僕は取れる能力があるからあえて取っていなかった。

「ちょっと声小さいよ?もっとはっきり答えて」

僕は話すのが得意じゃないんだ。

圧迫面接すんじゃねぇよ。

これだから底辺企業は...

「はぁもういいです。面接は終了させていただきます。結果は後日お知らせいたします。」



結果は不合格であった。

企業人事というならもっと僕の潜在能力に目を向けてほしいものだ。

企業というのはこうも見る目がないのか。

それもこれも国が不景気だからだ。

僕が大企業に受からないのは政治家が国を立て直さないからだ。

だって僕は……






とあるSNSにて


「お前みたいなのがいるから社会がよくならない」

「嘘乙w頭使ってから発言しろよ」

「お前調子乗んなよ、運だけのくせによ」

「お前らの仲良しエピに何の価値があんの?見ててイライラするわ」

「おまえ許されるわけねぇだろ〇ねよもう」

「お前みたいなのがいるから日本が悪くなる」

「こんなこともわかんないの?勉強しろカス」

「開示請求?正論言われて涙目ですかぁwww必死だねぇwww」



僕はどの企業にも採用されなかった。

本当に見る目のない奴らだ。

フリーターなんて低俗な職に就くつもりはなかった。

今や僕はネットで無能で馬鹿な奴らを成敗する活動家だ。

高校時代までの友人や両親は僕を馬鹿だともっとちゃんとしろと説教するようになった。

正直何を言っているのやら...

どいつもこいつも愚かで間抜けだ。

こんな腑抜けた社会だから僕が生きづらいのだ。

僕は社会を変える革命家だ。

僕は絶対に正しい。

そうだろう、

だって僕は














“天才なのだから”






ピンポーン


「ん?宅配便か?おい!ババァ!!!誰か来た!!!!」

誰もいないのか。

本当に使えない両親だ。

「しょうがない」


僕は重たい体を起こして玄関に向かう。

こんにちは、羽里あきです!

二作目は超短編ですが少し社会風刺的な感じかも?です。

暗くてすみません...

僕は割と根は暗いのですが、中学までは割と本気で天才だと思っていました(笑)

なので自分がたどったかもしれないIFを、そして現代のネット社会って意外とこういう背景があるのでは?と思って書いてみました。

すごいとか天才とか褒めるというのはすごくいい影響をもたらすこともありますけど、ときに人を狂わせる劇薬であったりします。

今一度自分を顧みて適度に自己肯定感を上げていきたいなと思います!

僕もまだまだ未熟ですので勉強頑張ります!

感想やブックマーク、文章に関する指摘をいただけると励みになります!!

これから長編も挙げていくと思いますのでよろしくお願いします!!!

Xもやっています!

今作が気に入っていただけたらフォローしていただけると嬉しいです!!

https://x.com/hanesatosan

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