第一話 卒業
俺のモチベが保つ限り月曜と木曜の7:00に更新します
俺の名前はエドワード・ケイン。
攻撃能力に長けた魔法に優れる、雷系の超魔導者だ。超という字が入っているが、別に特段強いとかそういうわけではなく、理論的に説明できる範囲の魔導を超えているというだけなので、この漢字には惑わされないようにしてもらいたい。
今日、アルンハム王都の名門学校である、「プーキム冒険者学園」を首席で卒業したと同時に、ちょうど誕生日を迎えてハタチになった。
進路は既に決まっている。
実は…うん、勇者になっちゃった。
普通にめんどくさそうだし、俺そこまで強くないし、よくわからん。わからんけど、まぁ任されたならやるしかないかっていうことでやろうと思う。
「すまん待たせたな。卒業おめでとう、ケイン君。」
先王アルンハム様直々に迎えにくるとは…いや、ビビるて。
黒髪黒目の地味な見た目の俺とは対照的に、先王は蒼色の瞳と赤い髪をもつ、背中に刺青が入った派手な見た目のがっしりとした男性だ。
年齢は確か30ぐらいと聞いたことがある気がする。先王にしてはなんかチンピラみたいな見た目をしているが、これでもめっちゃ優しく、おまけにしっかりと強い。ありえないほど強い。控えめに言って完璧超人。てかもはや人かどうかすら怪しい。
「あ、ありがたきお言葉。お忙しい中ご足労いただき誠にありがとうございます。王族の者とは手紙で伺っていましたけど、まさか執事とかそういう感じの方ではなく先王自ら来るとは…」
やばい、緊張しすぎて敬語バグってる気がする…そして周りの目がひどい…
「おいおい、もう俺は長いこと王じゃないんだから、もう敬語使う必要ないよ。あと驚かせて悪かったね。」
ペコリと頭を下げた俺に、少し苦笑いを浮かべて話しかけてくる先王。
だけど、もう王ではないから敬語を使うなだと?そんなのできるわけねえだろ王じゃないとしても先王だし年上ぞ。恐れ多すぎるわ。
「いえいえ、王ではないとしても普通に尊敬してますし、てか昔一時期でも王やってたとかえぐいですし…俺なんてまだ20ですから…」
「そもそも俺なんで王辞めたか知ってる?王だったら自由にできることが少ないの。普通に一般人達と仲良くしてたらその一般人達不敬罪とかになりかねんのよ?もうやってらんないよ王なんて。」
先王はさらに言葉を続けた
「敬意なんて言葉以外にも表せるだろ。あと魔物に俺が目上みたいなやつだってバレたらあれだし。意識して治してけ。できるだろ?首席だし」
そうか、そういう考えもあるな
「わかりました。…じゃなくて、わかった。」
「うん、それでいいんだ。まぁ戦場ではお前が勇者で俺がそれに従う者だから相手は混乱するだけだとは思うけどな。まいっか。敬語嫌だし。んじゃ行くか」
確かに。まんまと騙された。
でもまぁ敬語が嫌とか迷惑とかなら直したほうがいいか。
俺と先王は馬車に乗ってギルドに向かった。王都のど真ん中とかだと先王がいることがわかるとお祭り騒ぎになるため、これから俺らが拠点にするのは町外れのギルドだ。
そしてギルドに着いたら適当なクエストを受けて初めての実践だ。実際に戦ってみて話にならないほど弱かったらリストラされると脅されている。しっかりと追放されないように真面目にやるしかない。まぁ手が抜けそうだったら抜くが。
そう思っていると、馬車の中で先王が話かけてきた。
「解ってると思うが、油断はするなよ。いくらお前が強いとは言え、普通の駆け出し冒険者から見たらまず勝てないだろっていうクエストを受けるからな。」
「ああ、解ってま…解ってる。学園では実際に魔物とかと戦ったり、対人戦とかはしてないからな。」
「まぁ実際にやったことなくても威力測定用練習的がバグって測定不能になる程度には強い魔法打てるんだし、心配しすぎもするなよ。」
「そうだな。適度に緊張しておくよ。あと、そんなことよりなんか寒くないか?」
窓の外を見てみると、3月ももうすぐ終わるというのに地面に氷が張っていた。
「確かに寒いな。もう3月も終わるのになんなんだこの冬みたいな寒さは。」
そしてその寒さは進むにつれて強くなっていた。
…嫌な予感がする。いつもはヘラヘラして遊んでいる自分も、流石にこの違和感の前には警戒する。
ギルドに着いた時、そこには氷漬けになった建物と沢山の魔物がいた。
ここまで読んでくれてありがとう
ちなみにあらすじは多分3話ぐらいまでのネタバレあるよ