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直感アイディティンティー  作者: みつ


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10/10

ロング グッドバイ

【数週間後…。】

私は自転車立ちこぎで坂をクリアし朝霧の中を道場へと向かう。

出社前の1時間だけ朝活する日課になっていた。

警官だれもが使用できる道場に着く。


ロッカーで袴に着替え、

私は一人、演武を復習…。


手刀!

真空投げ!!


「型は上手くなりましたね♪」

その声に私が振り向くとサリーが同じく袴姿で、やってきた。


彼女に「そろそろ、実践といきますか…。」と言われ、

サリーと私は定位置に立つ。



私の頭に記憶が過る…。



……刑事課を去る時に初めてサシで警部に食事に誘われた…おめかしして店に…。

「ちゃんとしれば、それなりじゃない♪」と警部に言われ私は、

(…国立女子大の準ミスのキャリアが…( `д´))

と上から目線の、オベッカに少々ムッ!と思ったが

「恐縮でございます…。」と、あっけらかんと警部に述べた。

「まぁ今日は食べて飲んでちょーだい♪」と返され、コース料理が次から次へと運ばれてくるから私は手を休まずに、ひたすら食べていた。

「まだ、食べれる?」と聞かれ、

もちろんです!と言った私に薄い生ハム料理が出され、私は、それを食べ終わる頃、

警部が述べた。

「私の、おばあちゃんが単身、この国に来た移住者でね……おばあちゃん、前にいた国で、それは新卒の就職に懸けていたんだって…」

私は、話す警部の顔を見ていた。遠目から見ていても綺麗だったが側で見ていても、そうだった。

「おばあちゃん、朝、命運を絞った企業面接に、とっておきの香水を己にかけて電車に乗ったら駅を降りて『いざ、面接へ!』と意気込んだ、その時、皮膚に痒みが出てね……とても美しい容器に入った香水だったらしいの……ろくに試験もされていない香水だと誰も思わない……それは美しい容器に入った香水だった……おばあちゃん、痒みに耐えきれず皮膚科に直行……面接なんて、それどころじゃなくて……

だから、私と貴女が今宵(こよい)、隣り合わせ……。」


私は何も話せなくて、グラスにも手を伸ばせなくて警部の話の続きを待った…。

「盗まれた貴金属は全て輸入された大手宝飾品ナスリー社製だった…。」

「え?」と驚く私に警部は私の瞳を見据えて言う。

「ダイヤは全て人工品……でも、それが何?

天然品と何が違うの?その区別に私たち自国の人々は何かの価値を問うと貴女(あなた)、思う…?

ミーナさん、

生活安全課に移動しても警察は辞めないで…♪」




…  …



あの夜、

私とサリーの二人きりの密室であった。

サリーが言う。


「カスです、クズです!先輩の旦那は、こんなことにしか生き甲斐を感じ得なかった!!」


私は机の上の貴金属を見て、己左手薬指の結婚指輪を見た。

小さな石が入っていた…

記憶を手繰(たぐ)り寄せる……ペアリングである彼の、それには石がなかった…。


そして目の前にある机の上に、彼の、それは無い…。

(彼は自身の指輪をここに置き、去ってはいない…!)

サリーの声がする。

「…先輩と、あたいが黙っていれば迷宮入りです…。」







 澄んだ空気の中、私たちは向かい合っていた。

私は、サリーに聞く。

  武道派の彼女に隙を作る…。

「…サリー、貴女、結婚しないの…?」

「柔道三段、剣道二段、合気道初段の、アタイより弱い男は、いりませぬ!!!」


うっ……!




静寂の中、私は初手を繰り出そうとする。


私と旦那の絆は特別である!と私は固くなに思っていた…それは決して嘘ではない……でも最近ふと思う……消えた旦那は私の何処が好きだったのだろうか…?、と…。



『 ……見果てぬ世界…  …この広い広い世界の

… それは……どこか遠い港で一人の男が薬手の指輪を外し海に投げる…

「…あばよ!」と… … 』




(ハッ!!私は今サリーと向き合っていたんだった…!)


「キエーーーーー!!」と出せる目一杯の声を発した私に、「先輩、それ悲鳴じゃないっすか!

     明らかに弱そうです!」とサリーが笑う。



 道場の窓から私たちに朝日が差し込む…


この惑星では夜分、誰かがクタクタで眠りに就く時、

私たちの朝が始まっている……。


【オシマイ】

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