第五話
はい、祓戸です。スリゼルの能力確認回です。
「でもスキルの詳細ってどうやって見るのかな?」
スリゼルは光が一切通らない地下監禁室で一人呟いていた。
「んー、ステータスいじってたら見れたりしないかな?」
スリゼルはそう言ってステータスと呼ばれる半透明な板をつつく。
それがたまたまスキルの認識阻害に触れた時、変化が起きた。
認識阻害……視覚情報、感覚情報に干渉し相手からの認識を阻害する。
「なんか出た…これがスキルの詳細かな?」
正しい方法では無いがスキルの詳細を見る事に成功した。
「でも思ってた詳細と違うなぁ…視覚情報って何だろう?」
視覚情報とは見た目・表情・しぐさ・視線などの視界から得られる情報のことだ。感覚情報はそのままの意味。認識阻害はその全てを少しずらして相手に伝える。
ただしずらす項目、見た目・表情・しぐさ・視線などが多いほど見破られやすい。
「まあこれは相手がいないと分からないなぁ。使い方は何となく分かるし良っか」
スキルは持ち主が認識した時から使い方が分かる。
そうじゃないと使い方が分からないスキルがあるからだ。
「じゃあ次は生物錬成だね」
生物錬成……生命在るものを作ることができる。空想の生物でも良い。
「これは…とても強いね」
まるで神の御技。このスキルで空想の生き物だったフェニックスや玄武を生み出せる。
もちろん生み出す生き物の格が高いほど消費する魔力は多い。
「試してみよっかな。最初は…」
スリゼルが思い描くのは腕で抱えられるほどの大きさ。
青で半透明の粘性生物。
その名はスライム。
目の前の床が魔法陣を描き光輝く。
久しぶりの光を目にしたスリゼルは思わず目を閉ざす。
光が収まった魔法陣の上には一匹のスライムがいた。
「成功…かな?」
「きゅ!」
肯定するようにスライムが鳴く。
「へー。スライムって言ったら魔物だけど襲いかかってこないんだー」
魔物は基本的に同族以外に襲いかかる。それも見境なく。
なので魔物は発見したらその場で処分が常識である。
「これも生物錬成の効果かな?良いね…思ったより自由度が多い。
生物錬成と相性がいいのは…配下強化かな?」
配下強化……配下の潜在能力を引き上げ、強化する
「潜在能力って何だろ?」
一応スリゼルはまだ4歳だ。難しい言葉は何となくしか分からないのである。
が、実はこっそりメイドに鍛えられていて普通の4歳児よりは圧倒的に知識はある。
「まあ使ってみたら分かるかな?えいっ」
スリゼルはスライムに向かって手を向ける。
すると目の前にステータスと同じ半透明の板が出てきた。
名前:なし(0)
種族:スライム
状態:健康
スキル
軟体、吸収
称号
スリゼルの配下
強化項目
・身体能力
・魔導
・スキル
「えっと…この三つの中から強くする所を選べばいいみたいだね」
ちなみに魔導とは魔物だけがもつ魔術、魔法のことだ。基本的に魔物一体につき一つしか持てない。
強さはピンキリで持っていない魔物の方が多い。
当然スライムは持っていない。
「上げるとしたらスキルの吸収かな?ボクと一緒に色んな事を吸収していってほしい」
スリゼルは一緒にいてくれる存在を欲していたようだ。
慣れたとはいえここは光も入らない真の暗闇。
4歳の子供からすれば大泣き案件である。
「じゃ、スキルの吸収を強化っと」
強化した後のスライムのステータスはこれだ。
名前:なし(0)
種族:スライム
状態:健康
スキル
軟体、吸収+
称号
スリゼルの配下
成功である。
能力が向上し+が付いたが今の所どう強化されたのかは不明だ。
「やった。成功。このスライムは……名前がないのは不便だね」
悩むスリゼル。
今まで生きてきて名前をつけるなどのイベントは一切無い。
そのため一切捻らずに…
「スライムだから、イムにしよう!」
後ろ二文字をそのまま流用するのである…
結果イムは新しい称号を得る。
名前:イム(0)
種族:スライム
状態:健康
スキル
軟体、吸収+
称号
スリゼルの配下、名持ち個体
いかがでしたでしょうか?スリゼルの漂うチート感……
ですがスリゼル本人は一切戦闘力が無いのでバランスが取れていると思います。
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