第四話
はい、祓戸です。今回も見苦しい出来となっております。
しかしスリゼルが成長(?)する大事なところなので見て頂けると幸いです。
スリゼルの精神はメイドの自殺によって大きく歪んだ。
いや正確にはそれはきっかけだ。
自殺で大きく精神を揺さぶられ、地下の光の無い場所で繰り返しその自殺シーンを見ることで精神が歪んだ。
これは仕方のないことかも知れない。むしろよく精神が壊れなかったと言うべきだ。
では精神が歪んだスリゼルはどうなったのか?
これが壊れたとかであれば喋れなくなったり、心を閉ざしたりする。
だが歪む事になると厄介なことに表面上は何も変化しない。
元の喋り方のまま、元の価値観のまま。
しかしどこかしらおかしくなる。
頭のネジがぶっ飛んだり、倫理観が歪んだり、そういう分かりにくい所が変容する。
スリゼルもどこかおかしくなった。
優しい雰囲気はどこか怪しげな雰囲気に。
あり余るほどの元気を詰め込んだような綺麗な瞳は狂気を孕んでいた。
思考もどこか危なげになってくる。
ここは何処だろうと状況を打開するための思考はそのままに。
しかし目的が違ってくる。
元の優しい生活を取り戻すと言う無意識の目的が元の生活を奪った原因を排除する目的に。
メイドの自殺シーンを見ることで削られるはずの正常な精神は歪み切り、むしろ原因を排除するためのブーストになっていた。
メイドの自殺シーンはスリゼルが眠ると再生される。
しかしスリゼルがいる場所は自分が起きているのか寝ているのかさえ分からない暗闇。
だんだんメイドの自殺シーンの再生頻度が多くなり、いつしか一日中、二十四時間ずっと再生されるようになった。
それによってスリゼルの精神はさらに歪む。
歪んで歪んで歪んで歪んで歪んで歪んで
歪み、捻れ、ひび割れ、湾曲し、そしてやっぱり歪んだ。
そして脳がもはやメイドの自殺シーンの苦痛から逃れようと命令を下す。
「どうすればいいかな?」
スリゼルは自殺シーンを見つめながら考える。
この永遠のループから抜け出したい。例えそれが今の活動原動力となっていたとしてもだ。
唯一母と呼べる人なのだ。そんな人の自殺シーンは何度も見たいと思わない。
目の前ではちょうどナイフが心臓を貫いていた。
「っ………」
ああ、もう見るのは嫌だ。ナイフが心臓を貫いた瞬間のあの苦痛に染まった表情。
やっぱり死ぬのは痛いんでしょ?でも最後は……
そういえばナイフで刺す前に何か言ってけど、何だっけ?
「本当の子供ではありませんでしたが愛しています。どうかこれから先も出来れば笑って、
そして悔いの無いように生きてください。だっけ?」
その通りだ。一言一句違わない。
だが歪んだ思考で導き出した答えはとても恐ろしいものだった。
「じゃあ悔いは残らないように、楽しく排除しないとね
話を聞く限り父親が原因だ」
自殺シーンの無限ループによって人間の死を見過ぎたスリゼルは人の死、殺すと言う行為が普通の食事や入浴などの当たり前の行為になっていた。
敵意も殺意も無いただの日常行為。スリゼルはおばちゃんの遺言通りに行動し始める。
「でも排除するって言ってもボクは運動出来ないんだよね…どうしよう…?」
スリゼルは運動神経が無い。それはもうびっくりするほどに。何せ全力疾走を3秒維持しただけで息を切らす。その全力疾走も速いわけではなく、せいぜい早歩きを少し、ほんの少しだけ速くした程度だ。
「でも魔術は使ったこと無いし、スキルは…そういえばおばちゃんがスキルを確認したいときはステータスって念じればいいって言ってたっけ?」
スキルとは神が全ての生き物に与えた異能だ。それを効率良く活用できるように神はステータスという魂の情報を開示する術を広めた。
それによってこの世界にとっての問題が起きるようになるのだが、それは別のお話。
「『ステータス』」
スリゼルが小さくつぶやくと目の前に半透明の板が現れた。
名前:スリゼル (4)
種族:人族
状態:隷属
スキル
認識阻害、生物錬成、配下強化、土魔法、幻惑魔法、魔力強化、悪魔契約、強制親和、????
称号
遊戯神の寵愛 狂気を従えし者
「これが…ボクのステータス」
スリゼルは驚いていた。もちろんステータスが見えることにでは無い。
「なんで…スキルがこんなに多いの?」
もちろん一話で説明した通りなのだが、スリゼルは教えてもらっていなかった。
本当はスキルが判明するようなことはいけないとメイドより上の人が圧力をかけていたのだがおばちゃんは屈しなかった。
「ま、まあいいか。スキルは多いほど良いって言うしね!
じゃあスキルの詳細を見ようか」
いかがでしたでしょうか?最近はちょっと倫理観がズレている小説を読ませていただいているのでその小説と私の小説を比べて落ち込むばかりです。もっと精進せねば!
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