ペンギン三兄弟 〜 17話 赤ずきん の巻
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
もしも3羽が、
赤ずきんちゃんのお話になったら.....
ある春の日、ゴンおかあさんが言いました。
「ドンちゃん、森の向こうのおばあさんに、アンパンを届けておくれ」
「ゴンかあさん、このパンどうしたの?」
「もちろん作ったのよ」
「だいじょうぶ?ちゃんと食べられるの?」
「当たり前じゃない。おかしなことを言わないで。さあ、このずきんをかぶっていくのよ」
「いやだ、こんな赤いの。カッコ悪い」
「そんなこと言わないの。ほら、とってもカワイイわよ。小さいドンちゃんにはお似合いよ」
ドンちゃんは、仕方なく赤ずきんをかぶって
パンを持って出かけました。
途中でお花畑を見つけたドンちゃん。
「おばあさんにお花を持っていってあげよう」
と、お花を摘んでいると、
チョロチョロチョロっと何かが動きました。
「あ、トカゲだ!かわいいー!」
ドンちゃんは、トカゲが大好きでした。
ピョン、ピョン、ピョンと何かが跳ねました。
「わあ、カエルだ!かわいいー!」
ドンちゃんは、カエルも大好きでした。
ガサガサガサ、と何かが歩いてきました。
「あ、サングラスしたタヌキだ!かわいくなーい」
チャン「おい、だれがタヌキだって?おれはチャンオオカミだぞ」
ドン「へー、オオカミなの?新種かなあ」
ドンちゃんは、ジロジロとオオカミを眺めました。
チャン「ところで、赤ずきんちゃん、どこへ行くの?」
ドン「あ、おばあさんのところにアンパンを持って行くの」
チャン「へー、美味しそうなアンパンだねえ。気をつけてね」
ドン「うん、オオカミさんありがとう、バイバイ」
ドンちゃんは、やがておばあさんの家へやってきました。
ところが、さっきのチャンオオカミが、おばあさんに化けて、ドンちゃんをまちぶせしていたのです。
「赤ずきんちゃん、いらっしゃい、よく来たわね」
「あら、おばあさん、どうしてそんなにキレイな声なの?」
「ドンちゃんが来てくれてうれしいからよ」
「おばあさん、どうしてサングラスをしてるの?」
「カッコイイからよ」
「おばあさん、どうしてそんなに顔が大きいの?」
「それはね、おまえの持ってきたアンパンをた・べ・る・た・め・さ!」
チャンオオカミは、ドンちゃんが持っていたパンの入ったカゴを取り上げました。
すると、
「ギャー!」
チャンオオカミの悲鳴が響きました。
ドンちゃんが持ってきたカゴの中には
アンパンの代わりに、トカゲとカエルとヘビが入っていたのです。
ドン「ねえ、だいじょうぶ?」
ドンちゃんは、目を回してたおれたチャンオオカミの顔に、ヘビをのせながら
心配そうにのぞいていました。
おしまい
(注)本当のおばあさんは留守でした。