1話
暗闇の中を微睡んでいる感覚を長く…長く感じていた。
あの時から気がついたら何もみえない暗い世界の中に身体を丸めて漂う日々。
既にどれ程の時が過ぎたかなんて分からなくなったけど、この時間にも終わりが近付いてきているのを感じている。
そんな感覚の中、定期的な微睡みに誘われ意識が遠退いていった。
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ある時、暗闇に一筋の光が入り、そこに向けて身体が押し上げられる。
いままでいた場所よりも狭い場所に向けて身体が押され、揉まれ、気がつくと視界は暗闇から光に溢れる場所に出ていた。
不意に背中に衝撃がきて、口から何かが出てきたと思ったら
「□◆◎△△■□□□□□□□□□□□◎◎◎◎◎◎◇◇◇○○○■■△▲▲▽──────!!!」
身体の芯から音が出た。
浮遊感を感じながら光にあふれる視界の中暖かい何かに包まれる感覚でまどろみの中に沈む。
疲れた…眠いな…
目が覚めると目の前に白い何かが見え、そこからほのかに甘い香りを感じた。
思わず口一杯に咥えるとそこから何かが溢れてきたのでそのまま飲んでしまう。
あぁ…これが授乳か?
よく読む転生物では主人公が授乳に忌避感を持って悶えているのをよくみてたけど、実際に体験すると何も見えないから何も感じないな。
腹が減るから飲む、本能に従うだけだ。
満足感と共に目の前の弾力の有るものを押し上げると離れていくのを感じ背中にムズムズ感。
「げぷぅ」
げっぷを、すれば解放感に満足して眠くなる。
寝ていると下半身からの、何か違和感がくる。
違和感、違和感。違和感だ。
何だこれ。
「ぎゃーーーーーーーーーっ」
思わず叫び全身で違和感が無くなるまで抵抗する。
すると、浮遊感を感じてしばらくすると違和感を感じなくなった。
真新しい暖かいなにかに包まれた安心感にまた眠くなる。
そんな日々を過ごすこと気がつくと視界が安定して少しずつ見えるようになってきた。
ここ最近起きる度に自分より一回り大きい人?らしきものが覗き込んでいるのを感じる。
「■■■△▲▽▲▲▽▲▽▽■○◇○■■△▲▲♪」
頬を何度もつつかれ痛いぞ。
するとその人は何かに持ち上げられたのか、視界から遠退いていき、変わりにその人よりもさらに大きいシルエットが近付いてきて浮遊感とゆらゆらした感覚に眠くなる。
また日が経つと、少しずつ頭上で繰り広げられる言葉?が分かるようになってきて、目も見えるようになってきた。
「なんで、○○○○◇◇◇◇はこんなに◎▲○◇◇かな!」
「坊っちゃん!▲○▽▽▽□◎すよ!まだ▽□◎■△○○▲!」
どうやら、最近毎日来ている自分より一回り大きいのは俺の兄らしい。
毎日来てはもう一人のさらに大きい人に怒られているのが見える。
まあ、何をはなしてるのかよく分からないんだけどね!!
もう少ししたら、何を話してるのか分かると良いなぁ。
まさに寝るか泣くかしかできないから手持ち無沙汰なんだよなぁ。
ふぁぁ。
眠くなってきた。
おやすみなさい。